年功賃金制度では、20代から30代の間は、職場への貢献曲線よりも賃金曲線の方が低い位置にあります。
従って、その差額は、勤労者が会社に対して投資している、ということになります。
だから、日本企業の従業員はみな会社への出資者であり、会社の経営に強い関心を持つようになるわけです。
それが40歳前後、管理職になる頃から逆転して、職場への貢献よりも、むしろ支払われる賃金の方が高くなります。
これは若い頃に積み立てた部分を取り返すということになるわけです。
貢献超過部分と支払超過部分とは、長期雇用の間に釣合わなければなりません。
雇用期間を無限に延長すれば、企業としては支払超過が大きくなってしまう。
だから、あるところで線を引いて、終身雇用を打ち切らなければなりません。
その為の打ち切り点を定めたのが定年です。
そして、定年までの貸借関係の残余は、退職金で清算するわけです。
(団塊世代「次」の仕事/堺屋太一/講談社)

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