10年04月07日
新型インフルエンザに関連して労働者を休業させる場合のQ&A
新型インフルエンザに関連して労働者を休業させる場合のQ&A(H21.11月号の記事)
~労働基準法上の標記問題に関する賃金支払についてQ&A方式の通達が出ました~
これから新型インフルエンザの本格的流行が懸念されています。このメルマガでも本年9月号において、感染予防を中心とした内容で発信させていただきましたが、労務管理上その休業に関しての賃金支払問題について、明確な通達がでておりませんでしたが、このたび下記の通り、一定の解釈が出ましたので、お知らせいたします。
以下厚労省の見解です。
感染拡大防止の観点からは、感染又は感染の疑いがある場合には、保健所の要請等に従い外出を自粛することその他感染拡大防止に努めることが重要ですが、その際、欠勤中の賃金の取扱については、労使で十分に話し合っていただき、労使が協力して、労働者が安心して休暇を取得できる体制を整えていただくようお願いします。
新型インフルエンザに関連して労働者を休業させる場合、上記のとおり労使が協力して体制を整えていただくことが望まれますが、法律上、賃金の支払の必要性の有無等については、個別事案ごとに諸事情を総合的に勘案すべきものですが、一般的には以下ように考えられます。
※なお、以下は現時点の状況を基にしており、今後の新型インフルエンザの流行状況等に応じて保健所の要請等が変更される可能性がありますのでご留意ください。(平成21年9月時点)
Q1.労働者が新型インフルエンザに感染したため休業させる場合は、会社は労働基準法第26条に定める休業手当を支払う必要がありますか。
新型インフルエンザに感染しており、医師等による指導により労働者が休業する場合は、一般的には「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当しないと考えられますので、休業手当を支払う必要はありません。医師や保健所による指導や協力要請の範囲を超えて(外出自粛期間経過後など)休業させる場合には、一般的に「使用者の責に帰すべき事由による休業」に当てはまり、休業手当を支払う必要があります。
Q2.労働者に発熱などの症状があるため休業させる場合は、会社は休業手当を支払う必要がありますか。
新型インフルエンザかどうか分からない時点で、発熱などの症状があるため労働者が自主的に休む場合は、通常の病欠と同様に取り扱えば足りるものであり、病気休暇制度を活用すること等が考えられます。一方、例えば熱が37度以上あることなど一定の症状があることのみをもって一律に労働者を休ませる措置をとる場合のように、使用者の自主的な判断で休業させる場合は、一般的には「使用者の責に帰すべき事由による休業」に当てはまり、休業手当を支払う必要があります。
Q3.労働者が感染者と近くで仕事をしていたため休業させる場合は、会社は休業手当を支払う必要がありますか。
新型インフルエンザに感染している者の近くにおり、濃厚接触者であることなどにより保健所による協力要請等により労働者を休業させる場合は、一般的には「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当しないと考えられますので、休業手当を支払う必要はありません。保健所による協力要請の範囲を超えて休業させる場合や、使用者の自主的判断で休業させる場合には、一般的に「使用者の責に帰すべき事由による休業」に当てはまり、休業手当を支払う必要があります。
Q4.労働者の家族が感染したためその労働者を休業させる場合は、会社は休業手当を支払う必要がありますか。
家族が新型インフルエンザに感染している労働者について、濃厚接触者であることなどにより保健所による協力要請等により労働者を休業させる場合は、一般的には「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当しないと考えられますので、休業手当を支払う必要はありません。協力要請等の範囲を超えて休業させる場合や、使用者の自主的判断で休業させる場合には、一般的に「使用者の責に帰すべき事由による休業」に当てはまり、休業手当を支払う必要があります。
なお、Q1~Q4で休業手当を支払う必要がないとされる場合においても、自宅勤務などの方法により労働者を業務に従事させることが可能な場合において、これを十分検討する等休業の回避について通常使用者として行うべき最善の努力を尽くしていないと認められた場合には、「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当する場合があり、休業手当の支払が必要となることがあります。
Q5.新型インフルエンザに感染している疑いのある労働者について、一律に年次有給休暇を取得したこととする取扱いは、労働基準法上問題はありませんか。病気休暇を取得したこととする場合はどうですか。
年次有給休暇は原則として労働者の請求する時季に与えなければならないものですので、使用者が一方的に取得させることはできません。事業場で任意に設けられた病気休暇により対応する場合は、事業場の就業規則等の規定に照らし適切に取り扱ってください。
以上が、このたびの厚労省通達です。どうぞご参考にして下さい。
文責 特定社会保険労務士 西村 聡
もっと見る :http://www.nishimura-roumu.com
~労働基準法上の標記問題に関する賃金支払についてQ&A方式の通達が出ました~
これから新型インフルエンザの本格的流行が懸念されています。このメルマガでも本年9月号において、感染予防を中心とした内容で発信させていただきましたが、労務管理上その休業に関しての賃金支払問題について、明確な通達がでておりませんでしたが、このたび下記の通り、一定の解釈が出ましたので、お知らせいたします。
以下厚労省の見解です。
感染拡大防止の観点からは、感染又は感染の疑いがある場合には、保健所の要請等に従い外出を自粛することその他感染拡大防止に努めることが重要ですが、その際、欠勤中の賃金の取扱については、労使で十分に話し合っていただき、労使が協力して、労働者が安心して休暇を取得できる体制を整えていただくようお願いします。
新型インフルエンザに関連して労働者を休業させる場合、上記のとおり労使が協力して体制を整えていただくことが望まれますが、法律上、賃金の支払の必要性の有無等については、個別事案ごとに諸事情を総合的に勘案すべきものですが、一般的には以下ように考えられます。
※なお、以下は現時点の状況を基にしており、今後の新型インフルエンザの流行状況等に応じて保健所の要請等が変更される可能性がありますのでご留意ください。(平成21年9月時点)
Q1.労働者が新型インフルエンザに感染したため休業させる場合は、会社は労働基準法第26条に定める休業手当を支払う必要がありますか。
新型インフルエンザに感染しており、医師等による指導により労働者が休業する場合は、一般的には「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当しないと考えられますので、休業手当を支払う必要はありません。医師や保健所による指導や協力要請の範囲を超えて(外出自粛期間経過後など)休業させる場合には、一般的に「使用者の責に帰すべき事由による休業」に当てはまり、休業手当を支払う必要があります。
Q2.労働者に発熱などの症状があるため休業させる場合は、会社は休業手当を支払う必要がありますか。
新型インフルエンザかどうか分からない時点で、発熱などの症状があるため労働者が自主的に休む場合は、通常の病欠と同様に取り扱えば足りるものであり、病気休暇制度を活用すること等が考えられます。一方、例えば熱が37度以上あることなど一定の症状があることのみをもって一律に労働者を休ませる措置をとる場合のように、使用者の自主的な判断で休業させる場合は、一般的には「使用者の責に帰すべき事由による休業」に当てはまり、休業手当を支払う必要があります。
Q3.労働者が感染者と近くで仕事をしていたため休業させる場合は、会社は休業手当を支払う必要がありますか。
新型インフルエンザに感染している者の近くにおり、濃厚接触者であることなどにより保健所による協力要請等により労働者を休業させる場合は、一般的には「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当しないと考えられますので、休業手当を支払う必要はありません。保健所による協力要請の範囲を超えて休業させる場合や、使用者の自主的判断で休業させる場合には、一般的に「使用者の責に帰すべき事由による休業」に当てはまり、休業手当を支払う必要があります。
Q4.労働者の家族が感染したためその労働者を休業させる場合は、会社は休業手当を支払う必要がありますか。
家族が新型インフルエンザに感染している労働者について、濃厚接触者であることなどにより保健所による協力要請等により労働者を休業させる場合は、一般的には「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当しないと考えられますので、休業手当を支払う必要はありません。協力要請等の範囲を超えて休業させる場合や、使用者の自主的判断で休業させる場合には、一般的に「使用者の責に帰すべき事由による休業」に当てはまり、休業手当を支払う必要があります。
なお、Q1~Q4で休業手当を支払う必要がないとされる場合においても、自宅勤務などの方法により労働者を業務に従事させることが可能な場合において、これを十分検討する等休業の回避について通常使用者として行うべき最善の努力を尽くしていないと認められた場合には、「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当する場合があり、休業手当の支払が必要となることがあります。
Q5.新型インフルエンザに感染している疑いのある労働者について、一律に年次有給休暇を取得したこととする取扱いは、労働基準法上問題はありませんか。病気休暇を取得したこととする場合はどうですか。
年次有給休暇は原則として労働者の請求する時季に与えなければならないものですので、使用者が一方的に取得させることはできません。事業場で任意に設けられた病気休暇により対応する場合は、事業場の就業規則等の規定に照らし適切に取り扱ってください。
以上が、このたびの厚労省通達です。どうぞご参考にして下さい。
文責 特定社会保険労務士 西村 聡
もっと見る :http://www.nishimura-roumu.com