FPとしてのコンサルティングをする際にやっかいなのが、素人親戚のアドバイスです。

マイホーム取得に関して、事細かに提案して差し上げても、親戚のアドバイスの方を信じる(というか断れない)方もいます。

先日の方はもう1年近く前からの相談者ですが、定年退職後の住まい(一人暮らし)についての相談でした。

マイホームは無かったのですが、様々なことを伺った結果、平屋の新築で土地建物込みで2000万円以内なら買っても良いというアドバイスをしました。

その後、色々と物件を見たり、見なかったりして月日が経ちました。随時不動産の情報もお送りしていました。

すると先日、「建売を買うことにしました。」
と連絡がありました。

どうやら家を探していることを知った親戚が建売のチラシを見て「これはどうだ?」ということで見に行ったら、営業マンにのせられてその場で申込をして、1週間も経たないうちに契約させられていました。

契約を急がせる物件にロクなものは無いのですが、それでも条件に合っていればと思い色々聞いてみると、私のアドバイスとはまったく違う物件でした。

典型的な若いファミリー向けの戸建。

階段は急。
ドアは開き戸。
玄関や廊下の幅は狭い。
総2階建て。
1階に収納はほとんど無い。
冷暖房設備も無い。オール電化でもない。
浴室がせまく湯船の手すり等も無い。
キッチンも将来車椅子でも使えるような配置になっていない。
金額も2150万円とオーバー。固定資産税も高い。

60歳の一人暮らしの女性がここに住んでいいのでしょうか・・・。営業マンも本当にそれでいいと思っているのか・・・・。

一人暮らしですから下記のようなことが起こると大変です。

階段から落ちて脊髄などを損傷して寝たきりにならないか。(実際そのようになった親がいる相談者もいます。)

浴室で転倒して、骨折などしないか。

浴室の温度差でヒートショックで倒れて後遺症が残らないか。

灯油を入れる作業が必要となり、ヒートショックはもとより火災の可能性は高くないか。(年をとると目が見にくくなり、手元も危ないです。)

総2階であるため、壁や屋根の塗装をする際に足場が多く必要となるため高くなります。(100万円単位)

このようなことも考えて、私は提案したのですが、素人親戚のアドバイスで残念な結果になりました。

この親戚はこの提案した家のせいで、この方が寝たきりや車椅子生活になったときに助けてくれるでしょうか?

予算オーバーの上、メンテナンス費用も高くついてお金が無く苦しい生活をしたときに助けてくれるでしょうか?

おそらくそれは無いでしょう。助けないにしても罪悪感は持つかもしれません。(罪悪感を持たない業者よりはいいですが)

安易な素人アドバイスが一生の後悔にもなりえます。


仮に15年間事故がなくても、そのうち1階だけで暮らすようになります。そのとき1階に収納が無いため物に囲まれる生活をします。視力が衰えて、足元もおぼつかない状態で色々不自由があります。そこに石油ファンヒーターがあれば、火災につながる可能性も・・・・。


私の力の無さではありますが、その方の将来を憂います。ただただ事故が無いことを祈るのみです。