初めて電話をする人に対しては、まず名乗り上げを行う。これがマナーである。

ところが、相手側は何の用件でかかってきたかに気を使っているため、用件の方が実は肝心なのである。用件を聞き、自分にどういった関係のものであるかを判断する。そして、誰からかかってきたかについてはもはや覚えていない。覚えていないというよりも記憶していないのである。
この状態のとき、相手側は電話をかけた者に対してあらためて誰何しなければならない。そういう手間をとらせる点で、やはり順序的にマナー違反が濃厚である。まして普通の感覚であれば、既に受話器を置いてしまっている後である。

したがって、最初の名乗り上げは無論正しいが、用件が済んだ後あらためてまた名乗り上げしない場合は正しくないということである。たいてい、必死の頼み事であれば確実性を期すため、「〇〇までよろしく」と最後締めくくることになろう。弱いお願いの場合、よく失敗するというのも道理である。ビジネスその他組織行動の場面では、あまり気乗りのしない企画などで、相手側との連絡関係があやふやになる可能性が高いということである。
さらに、帰属意識の問題が絡む。組織行動においての参加意識の問題である。現代日本企業社会においては帰属意識を薄くする傾向がむしろ経営側に強く、それが従業員に移っている。それで契約関係といった法律がクローズアップされてきた。さらに、労務管理理論がバブル以降の日本社会に対してついていけなくなったという反省もある。結局、今言えることは、法的関係を突き詰めて言った後、フィットした労務管理理論がぼつぼつと出てくるだろうということである。法律関係の彼岸まで見通せたら、足元を見ようとするものである。
11年10月05日 | Category: General
Posted by: roumushi
11年09月08日

モン ギル

労働審判制度においては、社労士資格者が経済団体からの推薦を受け、審判員として活動しているという。ただし、労働者側であるとか使用者側であるとかは関係なく、審判員として中立の立場の義務が課される。
労働者側か使用者側かという差別化は、本来マルクス主義運動が強化したもので、従来は弁護士がそれを引き継いだものとして考えられていた。ただ、近代主義思想においての潮流の一つとしてその運動を位置づける今日においては、またマ主義が継承されにくくなった今日においては、さほど基本的な観点ではない。
ただ、国の諸労働制度において、労公使という区分けにより概括されるのが先例であるので、少し封建的なかたちではあるにしても、疑問も感じさせないまま、今日まで来ている。
弁護士はそれぞれの派に分けて所属している。(代理人としては中立の立場をとることはない。また、絶対数が少ないことによる、相談を含め労使両方からの代理を受けてしまうことを避けるのに役立っている。)社労士においては、経営に接するだけに、双方の立場を身につけることが大切であろう。人数も多いことによって、双方代理となるケースはまずありえそうにもない。

<新司法試験>合格率5回連続低下23.5% 過去最悪更新

《法務省は8日、法科大学院の修了者を対象とした6回目の新司法試験の合格者を発表した。合格者数は2063人(男性1585人、女性478人)で昨年より11人減。合格率は23.5%と5回連続で低下し、過去最悪を更新した。政府が02年に閣議決定した「合格者3000人」には今年も届かなかった。》

《企業内弁護士を目指して建設会社を休職し、今回1回目で合格した立教大法科大学院修了の男性(30)は「預金400万円は使い果たした。一発合格できなければあきらめていた」と話した。独協大法科大学院を修了し、3回目で合格した男性(27)は「費用を親に負担してもらった。お金に余裕のある人しか勉強に集中できない」と話し、「弁護士になりたいが、就職難を考えると安心できない」と気を引き締めた。》

ところで、弁護士会の肝いりで、社労士会に対し、能力担保を形づくる運動が進められてきた。なかでも民事訴訟法については、かつて社労士会において司法研修の際に展開されたものであるが、その後、特定社労士制度によるあっせん和解研修がはさまり、そしてまた労働審判制度を見据えて、各自調停も含めての訴訟手続きの学習等にいそしんでいるところである。まことに長い道のりである。
11年09月08日 | Category: General
Posted by: roumushi
ある壱管内で
・労働審判の年間新規受件数は300程度。内15%が本人申請。他は弁護士つき。
・労働局あっせんは530程度。40%が開始、そのうち70%が和解成立。

・審判の使用者申し立ては0.75%。あっせんは1.5%程度。なお、労働局の総合労働相談には、当然ながら使用者割合は45%位。
※総合相談≒労基法等各法12万件、民事上の相談2万件。

・2ヶ月以内終結、審判26% あっせん98%。
・3ヶ月以内終結、審判65%。

・依然として解雇等関係4割であるが、解雇等を避けた結果のいじめ・嫌がらせなどの事件が増加傾向にある。

・労働局のあっせんは、本人申請が圧倒的に多いがため、会社側に有利な和解内容となっているのが通常である。裁判所での決定額と相当な差が生じている。司法基準と行政基準とに分けられよう。尤も、泣き寝入りしていた頃と比べれば、改善されたには違いない。不服であれば、労働審判を選択することになる。
思考の順序は、裁判から審判、審判からあっせんという段階を踏み、誠実性、証拠、事実確認、有利不利等の要素いかんで落ち着きどころを模索することになる。

※その他
・年金記録の国民への通知方法の模索
11年09月02日 | Category: General
Posted by: roumushi
国民年金保険料の未払い分をさかのぼって納められる追納期間を現行の過去2年間から10年間に延長する年金確保支援法(7月29日に参院で可決)が、4日の衆院本会議で民主、自民、公明各党などの賛成多数で可決、成立した。追納期間延長は3年間の時限措置。

静かに成立してしまったような。うだるような暑さと相変わらずの政情とアメリカ経済の危機と円高とによって。

まだ詳細は未定なので、ざっくりと。
1.3年間の納付期限内に、10年前まで遡って納付できる。付加保険料は不可。
2.65歳以上で受給資格のある者、65歳未満だがすでに老齢基礎年金を繰り上げしている者は特例納付できない。(65歳未満の任意加入者、60未満の被保険者で、受給資格アリの者も可能か?)
3.10年というのは好きな期間を選べるものではなく、施行日から遡っての10年である。要は直近の10年以内の未納期間ということ。

厚生年金の期間がそこそこあり、あと数ヶ月あればという人には朗報。条件に合うかどうか…

他に第3号期間の中に第2号があるケースなどは、届出だけでよくなった。これまで受給者については職権で補正し、被保険者については途切れた期間後の期間につき、あらためて第3号特例届と扶養証明等により認定していたもの。
後は省略。
11年08月10日 | Category: General
Posted by: roumushi
11年07月25日

年金は一身専属性

老齢の年金は、受給権発生日の翌日から死亡日まで支給される。そして、年金は偶数月に支払われ、例えば6月払いであればそれは4・5月分であるから、常に未支給年金についての判断が必要になる。
ここまでは、だいたいどの本等にも書いているものである。ただ実務的にはあと民法上の判断が必要である。

・6月15日の支払日に生存していたか否か。
年金は一身専属性のものであり、したがってその支払日に生存していればそのままであるが、既にその日にはお亡くなりになっていた場合は、受けるべき当人不在のものとなるため、「浮く」。これを法律用語で不当利得といい、未支給年金もしくは返納かの処理待ち状態になる。

したがって、年金法だけの判断で、死亡日まで支給されるものと思い込んではいけない。

以上は、とあるテキストに記載されているのを見て唸らされた箇所であるが、今のところこれに関連した相談を知らない。
11年07月25日 | Category: General
Posted by: roumushi
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