07年07月17日

相続と家族心理

 行政書士の仕事の中には、相続に関わるものが多くあります。遺産分割協議書を作成したり、遺言書の作成をお手伝いしたり、その他諸々のご依頼が入ります。莫大な財産であればいざ知らず、相続税の対象にならない程度の比較的わずかな遺産を巡るいろいろな問題のご相談も増えています。あえて言えば、故人が遺言を遺してくれていれば、それほど大きな問題にはならなかったように思えることが親族間の確執につながります。そこに、やはり世代間の価値観の違いを感じる事があります。

 少し前の日本では、家督は長男が継ぐのが当たり前でした。だから、あらためて遺言をしなくても皆がそれを納得するものと思っている方が多く見受けられます。また、親の目から見ると、兄弟はお互いに信頼関係ができていると見えるのかもしれません。
 しかし、時代は変わってきています。人間関係のあり方も同様です。以前のような親戚同士の密接な関わり合いはなくなってきているようです。滅多に会わない兄弟同士が親の葬儀で久しぶりに顔を合わせるといったことも少なくはありません。
 相続の法律の中に、寄与分と言って生前の故人の生活に寄与した出費は相続財産から差し引くという考え方があります。介護などの出費や労務はこれに相当します。また、特別受益と言って、生前に故人から受けた贈与は逆に相続財産に組み入れて、そのうえで分割するという考え方もあります。この辺が、相続の問題をさらに複雑にする要因ともなります。

 ご相談を受ける中で強く感じるのは、相続の問題は単にお金の問題ではないことがほとんどという事です。法律ではどうしてもお金の問題ばかりに目が向いてしまいます。結局はお金の問題と割り切る事ができればまだ良いのですが、誰もが納得せず、かえって確執を大きくしてしまう事例も多くあるようです。では、お金ではなく何が欲しいのか?
 そこに、「わかって欲しい心」があるように思えます。遺言がないと故人の意志を正確に知ることはできません。また故人に、こちらの気持ちを伝える事もできません。遺された親族がそんな気持ちをわかりあおうとすることが問題を解決していく上で大切な事ではないかと思います。
 これから、ますます相続に関わる問題は増加していくようです。人間関係が希薄になり、親族間のつながりも希薄で自分本位になりがちだからかもしれません。遺していく家族の確執を避けるためには遺言を遺す事も一計です。また、負担付死因贈与契約といった考え方も知っておくと良いかもしれません。そして何より、相続は心の問題ということをご理解いただく事が、解決の糸口を見つけやすくすることにつながると思います。
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メール:mikikikaku@k6.dion.ne.jp
TEL:042-548-4456
「家庭内の問題相談室」
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07年07月17日 | Category: General
Posted by: sakata
 7月に入って、年金分割に関するご相談が急増してきました。4月の法改正直後は、当初予想していたより年金分割を申請する方が少なかったようですが、3ヶ月たって徐々に増え始めてきているようです。

 年金分割を社会保険事務所に申請する際には、調停などの裁判手続きをするか、もしくは両人の合意に基づく契約書面として、公正証書など公証人が証する書面が必要となります。
 公正証書は、裁判所に行く必要もありませんので、比較的容易に作成してもらう事ができます。近くの公証役場で作成できます。ただし、事前に合意している事が必要です。公証人の前で、お互いが話し合うといったことは基本的にはできません。
 まず、事前に社会保険事務所に行き、「情報提供通知書」の交付の申請をするところからはじめていきます。申請の際には、戸籍謄本、それぞれの年金手帳などが必要です。また、申請してから手元に届くまで、約1週間ほどかかりますので、それも念頭に入れておくと良いと思います。分割率については、お互いの合意が必要です。申請の際に社会保険事務所では相談に応じているようですので、詳しく確かめてみると良いようです。基本的には、50%を最高に双方の合意に基づいて決めていきます。ただし注意したいのは、婚姻期間の限られますので、婚姻期間が短いとその分受取額も少ないということになります。婚姻期間は、法律婚のみならず事実婚期間も算定の内に入るようです。

 離婚はその後の人生をより良くしていくための一つの選択です。離婚すれば、夫婦それぞれが新しい人生を過ごす事になります。そのためには経済的な面での計画も必要です。離婚したほうが良いとか、しない方が良いとかを言う立場ではありませんが、年金分割と言う新しい法律を活用していく事も一つの選択ではないかと思います。離婚を終点と捉えず、人生やり直しの出発点と受け止めていただくことが大切な事と考えています。
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07年07月12日 | Category: 離婚・夫婦関係
Posted by: sakata
 多重債務者を救済する目的で、上限金利が平成21年度に引き下げられる事が決定していますが、同時に総量規制も実施されます。この総量規制というのは、今まで消費者金融ごとに融資限度額が設定されていたのを、個人の融資額全体での融資限度を設ける制度です。例えば、今までであれば、A社の限度額が50万円、B、C、D社が30万円であれば4軒から限度額を借りれば140万円迄借りることが可能でした。そのため、借り入れる金融会社の数を増やせば、かなりの高額の融資を受けることになり破綻を招く要因となっていました。
 これが、これからはその人の年収の1/3までと総量が決められてしまいます。仮に年収300万円であれば、100万円が限度額となります。A社で50万円借りていれば、その後は他の会社では50万円までしか借りられなくなります。上限金利の引き下げとともに実施されることで、今までのような債務破綻に陥るケースは大幅に減少する事が予想されます。

 今、この移行期間として各金融業者がいろいろな策を講じています。すでに、多くの消費者金融が金利の引き下げを実施しています。また、借入れ審査を厳しくしたり、支払いの滞っている債務者には別契約にして支払いやすい条件を提示したりしています。
 支払いが滞っている債務者への新たな融資を凍結させる事もあるようです。また中には、今までの融資額の金利を今後0%にする事でとりあえずの債務を軽減する条件を提示してくる会社もあります。

 消費者金融にとってこの法改正は企業を存続させるためには非常に厳しいものです。これから、生き残りをかけた営業展開が迫られています。0%金利の条件など、債務者にとって大きなメリットとなる条件を提示してくるのも、ある意味では生き残りのために必要な手段かもしれません。金融会社からそのような条件を提示されたということは、すでに支払い能力を超えた債務を抱えていることを意味します。
 しっかりとした解決をはかるためには、ただ安易に好条件に飛びつく前に、今後の対策をしっかり考えることが必要と思います。消費者金融は便利な面をたくさん持っています。しかし、反面、借りる側がしっかりとした意志を持たないと債務超過に陥りやすい事も現実です。もし、今、返済が困難と感じている時は、できるだけ早く信頼できる機関に相談することが必要ではないかと思います。
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07年07月08日 | Category: 公的融資・債務
Posted by: sakata
 最近のご夫婦関係の相談の一つの傾向として、長年にわたる無視や会話の不存在といったケースが多くなっています。妻が生活上必要な事柄を夫に聞いても、答えてもらえない。夫が子どもの様子を妻に聞いても「あなたには関係ない!」といわれてしまう、などの相談が入ってきます。それぞれの問題には、そこにいたるまでのいろいろな経過があったこととは思いますが、ある意味では、こういった行為は、民法752条に定める「夫婦は同居し、互に協力し扶助しなければならない」という条文に反します。
 夫婦の会話はすべて筆談で、言葉を交わすことはないというご夫婦もかなりの数にのぼるようです。また、メールのやり取りしかできないといったケースもあります。双方が、それを承知で行なっている場合もありますが、多くはどちらかが先に意図的にそれを仕掛けてそれが続くようになってしまっているようです。

 こういった事例は、捉え方によっては「モラルハラスメント」とも言えるようです。人間は、相手に無視され続けると大きな苦痛を感じます。時には、相手の行為によって心を壊してしまうことさえあります。本来、夫婦には相互扶助の義務があります。それを、どちらかが作為的に行なわなければこれは違法ということになります。事例によっては、婚姻を継続しがたい事由として離婚理由にもなり得ます。

 しかし、こういった事例に共通する大きな問題点は、加害側が自分の行っている行為が相手を傷付けていることに、気付いていないことです。また、時には被害側さえもそれに気付いていない事もあるようです。いじめにも似たこういった行為が、今、多くの夫婦間で起きている事を見過ごす事はできません。
 法律の定めを待つこともなく、夫婦とはお互いが協力して成り立つものであるはずです。より良い社会を目指すためには、まずより良い家庭環境を整える事が必要ではないかと思います。それぞれのご夫婦が、まず、自分自身が加害側になっていないかを、相手の立場から冷静に見据える事が大切と考えます。 
07年07月04日 | Category: 離婚・夫婦関係
Posted by: sakata
 家庭内の問題のご相談の中で多いのが家族の借金に関するものです。
「夫がサラ金から借金をしている事がわかったのですが、妻の私に請求がくることはありますか?」こういった質問を受けることがよくあります。保証人になっていれば別ですが、基本的に配偶者の借金を、他方の配偶者が支払わなければいけないという法律はありません。
 また、子どもの借金を親が支払わなければいけないといった法律もありません。未成年の場合、親の監督責任はありますが、未成年は親の承諾なしに金銭貸借の契約を結ぶ事はできません。ただし、いずれの場合も支払ってはいけないという法律もないので、夫や子どものかわりに支払ってしまうケースもあるようです。

 以前は、支払いが滞った時、親や妻が催促を受けたという事もありました。しかし今は、違法な取立てに相当するため監視の目も光るようになり、こういった事例は減ってきているようです。ただし、前述したように夫や子どもに代わって支払ってしまうケースは多いようです。
 夫や子どもが多額の借金を作っていることに気付いた時、家族は狼狽します。利子が高い借金だと雪だるまのように膨れていく心配もあります。また、いずれ家族に請求がくるのではないかといった不安も生じます。そのため、家族は、とりあえず本人に代わって支払って、後で本人に返済させればよいと考えるのも無理のないことです。

 しかし、残念ながらこのやりかたはうまくいかないことが多いようです。日本人は、おしなべて借金をする事に嫌悪の念を抱くことが多いそうです。家族の借金を、臭い物にフタという考え方で肩代わりすると、借金をした本人には甘えの心が起きてしまいます。そのことが再発を起こす原因になることも多くあるようです。また、多くの場合、借金をした本人は全部を家族に告げず、一部を隠そうとします。貸金業者にとって、これは上客です。利子を下げ、限度額を上げて「借りてください!」といった勧誘をされてしまいます。
 借金の催促が別の家族に及ぶ事はありません。もし、家族が多額の借金をしていることに気付いたときは、まず、冷静に対処していく事が必要です。慌てる事はありません。何故、そうせざるを得なかったかを穏やかに聴く事ができるように、頭ごなしに叱るのではなく、良い会話を心がけるところから始める事が大切ではないかと思います。
借金の問題は、本人が本気になって自ら解決して、はじめて本当の解決になります!
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07年06月11日 | Category: 公的融資・債務
Posted by: sakata
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