相続の問題というと、資産のある家に限られると思っておられる方も多いと思います。しかし、私たちの相談室では、僅かの遺産をどうするかといったご相談がほとんどです。そして、むしろそういったケースの方が問題が複雑である場合が多いようです。
 家族関係は、以前と大きく様変わりをしているようです。少子化や親族関係の希薄さが、相続の問題を複雑化させる要素になっているのかもしれません。

 相続に関わる問題を解決するには、法律的な面以上に、お互いの人間関係とその背景にある心情的な部分を考えていく必要があるように思います。遺された家族が、相続の問題で関係を悪くしてしまうことは避けたいものです。そのために、遺言を遺したり、負担付贈与契約などを用い、生前に自分の意思をしっかりと家族に伝えることは大切なことかもしれません。
 
 最近目立つのが、いわゆる逆縁と言われる相続の問題です。長寿社会の中で、自分より先に自分の子孫が他界することは珍しいことではなくなりました。
 姑より先に夫が他界し、長年住んでいた家の土地が姑名義であったため、姑の死後、夫の親族から立ち退きを求められた例。息子に家屋を譲った老夫婦が、息子と嫁の相次ぐ他界で、ほとんど縁のない嫁の兄弟に権利が移り、家に住めなくなった例など事例は様々です。

 こういった事例では、法律には融通のきかない面があります。相続に関する法律のすべてを熟知することは大変なことかもしれません。でも、未来に備えて、自分の場合どういった相続が想定されるかについては事前に知っておくほうが良いのかもしれません。
 墓所の継承など、今の時代の相続ではまだ様々な問題が起こり得るようです。良い家族関係を継承していくためにも、一度相続と向き合ってみるのも良いかもしれません。

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