今年の社会保険労務士試験が終った。
今年は受験者数が7万人に達したとのことである。

試験問題については、毎回のように「今年は難しかった」とささやかれている。これは、多くの受験生が過去問を中心に勉強をしているためである。また、受験テキストも然りである。ただし、7割も取れば合格なのであるから、過去問と受験テキストにしぼっても方法としてはまちがいではない。試験は気楽に、クイズでも解くように、というのも良いであろう。(ただ、できれば自分で色々な資料を集めて勉強していく方法がなお良いに決まっている。)

試験範囲は広く、また細かい点を訊いてくるものであるが、ひとつの社会保険体系としてまとまったものと理解していけば、視点も決まってくる。「一即多」の世界なので、結局そうしたものとして捉えているかどうかということにもなろう。横断的理解法というが、これは独特のもので他にはない。法律ひとつひとつをじっくりやりたいという人にはまず向かないだろうし、辛いだけだと思う。尤も、これをすぐ会得できる人も珍しいのだが。

社会保険労務士試験については今後民事訴訟法等係争問題解決業務に必要とされる科目編成につき議論されてきている。
一方、司法修習課程に相当する研修機関をもっていないことから、その実力不足対策が懸念材料としてある。
なお、周知のように、経営権としての労務管理と国家権である労働法並びに労働行政については、スッキリとした関係にあるものではない。したがって、労働法を基礎に置いて労務管理的手法でもってする係争解決手法についてもまた、スッキリとした形があるものではない。
しかも、労働法は憲法を源流とし、それは労働組合の存在を中心に据えたものであり、したがって今はそして将来も機能不全の状態にある。よって、労働組合に換わる全国民をカバーする何某かが期待されるものである。「組織から個人へ」という流れのみでは、労務管理についての観点はカバーされないのである。今しがた「司法修習課程に相当する研修機関をもっていない」と述べたが、それとともに、研修要綱もないのである。というのは、労働組合に換わる全国民をカバーする何某かの機能についての研究もしくは言及は、大学機関を以ってしても着手に至らないのであって、開発途上にあるからである。
消えた年金記録(実際には「未統合記録」がほとんどで、未加入事業所や未適用問題も含まれる)に消えた年金受給者に、またおそらく次もあることだろう。総務省がこうした事業を嫌がりはじめており、「内務省」のような省庁統合行政機関がやはり必要だということであろう。それにしても「宮仕え」は相当辛いらしい‥そこまで遡行しなくてもと。