東京・神田・岩本町の弁理士 栗原弘幸です。
本日、特許庁から「進歩性検討会報告書2007」が発表されました。

この中で肝に銘じておきたいことがあります。

「・・・いずれにせよ、本願発明の認定は、特許請求の範囲の記載の技術的意義が一義的に明確に理解することができない等、特段の事情がない限り、特許請求の範囲の記載に基づいてなされることが原則として確立している。したがって、本願発明の認定に当たって発明の詳細な説明の記載を参酌した上で、これを限定解釈すべきであるとの主張は、通常受け入れられないことに留意すべきである。」

これは、いわゆる、「リパーゼ判決」がどういう場合に適用されるかという問題に関連します。

誤解をおそれず大雑把に言うと、「明細書本文でどんなに限定的なことを書いていても、クレームが広ければ、その広いクレームで特許性が判断される」ということです。

こういう考え方がどういう場合に通用するかというのは議論がありましたが、今回の報告書からは、出願中、特許後の審判を問わず、「特許できるか否かの判断全般」に適用される、と読み取りました。

また、報告書中の「・・・特許を受けようとする発明を特定するために必要と認める事項については、・・・当初自らが想定する物以外のものも含まれ得る可能性がある」
という指摘にも注意したいです。

特許を取れるか否かの問題には、技術レベルの高さが本当に問題になる例もありますが、「クレームが無意識に広すぎた」とか、「発明内容を反映していない」といったものも散見されます。

請求項をきちんと書いておけばまともな勝負をできたのに、・・・ということがないようにするのは弁理士の重要な任務であると考えます。

Entering Japanese (JP) national phase for PCT applications