経営者の方々とお話をする際に「今の経営手法は誰かに教わり今にいたるのですか」といった類の質問をした時に大抵の経営者の方々は、特定の人の名前を挙げる事は出来ない事が多いです。それは仕事の手法に関して経営者の方々は、誰かの方法を盗み見て学び、自分で現場体験を重ねる事で生み出した、暗黙知だからです。
 暗黙知に関して、どう盗むべきかという方法論もことさらあるわけではなく、自らが向上心をもって積極的に仕事に関わることでしか暗黙知に触れることはできないのです。


 ある話で、店舗が汚れている時、管理職の方々は部下に掃除を命じることがあると思います。命じられた部下は、命じられて掃除をしても、本来の仕事ではないので本業が立て込んでいるときは不満さえ抱くでしょう。自ずと四角い部屋を丸く掃除するような雑な作業になってしまいます。
 しかし、同じ人が別の店舗に責任者として着任し、なんとかショップの売上を上げなければならない時に真剣に考えたとします。そこで成績の良い店を視察してみると、非常に掃除が行き届いていて、整然とした印象を受ける。ゴミが落ちていても、従業員がさりげなく取り除いている。
 ここから何を感じとるか。
 どう売上を上げるかを第一義に考えるではなく、清掃という観点から経営や運営の在り方を見直すという事は十分に考えられることです。さらに自発的に清掃に力をいれ、店舗の清潔感を印象づけるマネジメントを行う。結果すぐに売上に直結するほど甘くないと思いますが、長期的にはなぜか利益を上げる結果につながっていくことになるのではないでしょうか。
 同じ清掃一つをとっても、その取り組み方次第では、全く異なる結果を招く。
 一見つまらないことでも熱意をもって取り組むことで、お手本を盗み取り、自分の技能・スキルにすることができるのです。
 これこそが、暗黙知の考え方なのです。これを踏まえて管理職の方々は、部下がこっそり仕事ぶりを覗き見して、あなたのノウハウを盗もうとしている管理職を目指さなければならないのではないでしょうか?

 文責:ワンストップソリューション部


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