07年12月26日
遺言の執行
1 遺言書の保管者は、公正証書遺言以外については相続の開始を
知った後、遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出して、「検認」を受け
なければなりません。
検認は、遺言書の形式その他の状態を調査確認し、その保存を
確実にするための一種の形式的な検証手続ないし証拠保全手続
であって、実質的な遺言内容の真否や効力の有無を判定するもの
ではありません。したがって、検認を受けなければ遺言が効力を生
じないということはなく、また逆に検認の手続を経た遺言書であって
も、後にその効力の有無を裁判で争うことができます。
2 また封印のある遺言書は、家庭裁判所において相続人又はその
代理人の立会いがなければ、開封することができません。
3 検認を経ないで遺言を執行したり、家庭裁判所外で開封をした者
は、5万円以下の過料に処せられます。
4 遺言者は、遺言で、遺言執行者を指定することができます。もっとも、
未成年者と破産者は、遺言執行者となることができません。
(1)遺言執行者は、民法では相続人の代理人とみなしているが、これで
は相続人廃除のような遺言の執行を説明することができない。かといっ
て 死亡により法人格を失っている遺言者の代理人であるとするのも形
式的には困難である。論理的には、遺言者の人格の残影を代表するも
のと見ざるを得ないと思われます。
(2)遺言執行者は、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の
行為をする権利義務を有します。そのため、遺言執行者がある場合に
は、相続人は、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるような行為
をすることができません。
したがって、遺言執行者がある場合、相続人が相続財産につきした処
分行為は、絶対無効となります。例えば、遺言執行者がある場合に、相
続人が遺贈の目的不動産を第三者に譲渡し、またはこれに第三者のた
めに抵当権を設定して登記をしたとしても、相続人の当該行為は無効で
あり、受遺者は、遺贈による目的不動産の所有権取得を登記なくして、
当該処分行為の相手方たる第三者に対抗することができます。
知った後、遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出して、「検認」を受け
なければなりません。
検認は、遺言書の形式その他の状態を調査確認し、その保存を
確実にするための一種の形式的な検証手続ないし証拠保全手続
であって、実質的な遺言内容の真否や効力の有無を判定するもの
ではありません。したがって、検認を受けなければ遺言が効力を生
じないということはなく、また逆に検認の手続を経た遺言書であって
も、後にその効力の有無を裁判で争うことができます。
2 また封印のある遺言書は、家庭裁判所において相続人又はその
代理人の立会いがなければ、開封することができません。
3 検認を経ないで遺言を執行したり、家庭裁判所外で開封をした者
は、5万円以下の過料に処せられます。
4 遺言者は、遺言で、遺言執行者を指定することができます。もっとも、
未成年者と破産者は、遺言執行者となることができません。
(1)遺言執行者は、民法では相続人の代理人とみなしているが、これで
は相続人廃除のような遺言の執行を説明することができない。かといっ
て 死亡により法人格を失っている遺言者の代理人であるとするのも形
式的には困難である。論理的には、遺言者の人格の残影を代表するも
のと見ざるを得ないと思われます。
(2)遺言執行者は、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の
行為をする権利義務を有します。そのため、遺言執行者がある場合に
は、相続人は、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるような行為
をすることができません。
したがって、遺言執行者がある場合、相続人が相続財産につきした処
分行為は、絶対無効となります。例えば、遺言執行者がある場合に、相
続人が遺贈の目的不動産を第三者に譲渡し、またはこれに第三者のた
めに抵当権を設定して登記をしたとしても、相続人の当該行為は無効で
あり、受遺者は、遺贈による目的不動産の所有権取得を登記なくして、
当該処分行為の相手方たる第三者に対抗することができます。
07年12月25日
遺言の効力
1 遺言は、遺言者の死亡の時からその効力を生じます。
もっとも、遺言に停止条件を付した場合には、遺言者死亡後に条件が
成就した時に生じます。
2 遺言による財産の無償譲与である遺贈には、特定遺贈と包括遺贈と
がある。前者は、特定の具体的な財産的利益の遺贈であり、後者は、
積極・消極の財産を包括する相続財産の全部またはその分数的割合
による遺贈である。
両者はその効力において全く異なるので、注意が必要です。
(1)共通点は、自然人だけでなく、法人も受遺者(遺贈を受ける者とし
て遺言中に指定されている者)になれるし、また遺言者の相続人も
受遺者になれるところです。
ただ、受遺者は遺言が効力を生じた時、つまり遺言者が死亡した時
に生存していなければなりません。遺言者の死亡以前に受遺者が死
亡した場合には、受遺者たる地位の承継は認められませんから、遺贈
は効力を生じません。したがって、受遺者の相続人に承継させるために
は、遺言中に特に受遺者の相続人に承継を認める旨を表示する必要が
あります(補充遺贈)。
(2)特定遺贈においては、受遺者は、遺言者の死亡後、いつでも遺贈の放
棄をすることができます。しかし、包括遺贈では、包括受遺者は相続人と
同一の権利義務を有するものとされるため、受遺者が自己のために遺贈
のあったことを知った時から3箇月以内に限って放棄することができます。
包括受遺者は相続人と同一の権利義務を有するといっても、相続人に
なるのではありません。したがって、遺留分を有しないし、前述のように受
遺者が相続開始以前に死亡した場合には、代襲相続が認められる相続と
異なり、原則として、遺贈が失効するのです。
もっとも、遺言に停止条件を付した場合には、遺言者死亡後に条件が
成就した時に生じます。
2 遺言による財産の無償譲与である遺贈には、特定遺贈と包括遺贈と
がある。前者は、特定の具体的な財産的利益の遺贈であり、後者は、
積極・消極の財産を包括する相続財産の全部またはその分数的割合
による遺贈である。
両者はその効力において全く異なるので、注意が必要です。
(1)共通点は、自然人だけでなく、法人も受遺者(遺贈を受ける者とし
て遺言中に指定されている者)になれるし、また遺言者の相続人も
受遺者になれるところです。
ただ、受遺者は遺言が効力を生じた時、つまり遺言者が死亡した時
に生存していなければなりません。遺言者の死亡以前に受遺者が死
亡した場合には、受遺者たる地位の承継は認められませんから、遺贈
は効力を生じません。したがって、受遺者の相続人に承継させるために
は、遺言中に特に受遺者の相続人に承継を認める旨を表示する必要が
あります(補充遺贈)。
(2)特定遺贈においては、受遺者は、遺言者の死亡後、いつでも遺贈の放
棄をすることができます。しかし、包括遺贈では、包括受遺者は相続人と
同一の権利義務を有するものとされるため、受遺者が自己のために遺贈
のあったことを知った時から3箇月以内に限って放棄することができます。
包括受遺者は相続人と同一の権利義務を有するといっても、相続人に
なるのではありません。したがって、遺留分を有しないし、前述のように受
遺者が相続開始以前に死亡した場合には、代襲相続が認められる相続と
異なり、原則として、遺贈が失効するのです。
07年12月21日
秘密証書遺言
1 自筆証書遺言と公正証書遺言の功罪は順次述べてきたが、その中間
を行くものとして秘密証書遺言があります。すなわち、秘密証書遺言は、
遺言書の存在は明確にしながら、その内容を秘密にし、その滅失・改変
を防ぐことができます。
2 その方式は、以下のようになります。
(1)遺言者が遺言書を作り、その証書に署名し、印を押すこと。
自筆である必要はなく、パソコン等での作成もできます。
(2)遺言者がその証書を封じ、証書に用いた印章でこれに封印をすること。
(3)遺言者が公証人1人と証人2人以上の面前に封書を提出して、それが
自分の遺言書である旨及びそれを書いた者の氏名と住所を述べること。
(4)公証人が、その証書を提出した日付及び遺言者の申述を封書に記載し
た後、遺言者及び証人とともにこれに署名し、印を押すこと。
なお、上記の要件を充たさない秘密証書遺言は無効であるが、それが自筆
証書としての方式を備えていれば、自筆証書遺言としての効力を有します。
を行くものとして秘密証書遺言があります。すなわち、秘密証書遺言は、
遺言書の存在は明確にしながら、その内容を秘密にし、その滅失・改変
を防ぐことができます。
2 その方式は、以下のようになります。
(1)遺言者が遺言書を作り、その証書に署名し、印を押すこと。
自筆である必要はなく、パソコン等での作成もできます。
(2)遺言者がその証書を封じ、証書に用いた印章でこれに封印をすること。
(3)遺言者が公証人1人と証人2人以上の面前に封書を提出して、それが
自分の遺言書である旨及びそれを書いた者の氏名と住所を述べること。
(4)公証人が、その証書を提出した日付及び遺言者の申述を封書に記載し
た後、遺言者及び証人とともにこれに署名し、印を押すこと。
なお、上記の要件を充たさない秘密証書遺言は無効であるが、それが自筆
証書としての方式を備えていれば、自筆証書遺言としての効力を有します。
07年12月20日
公正証書遺言
1 自筆証書遺言の方式は簡単であるが、遺言書の紛失や第三者による
変造の虞があるだけでなく、自書できない場合には利用できない。
その場合には、公正証書によることができる。
2 遺言者が他人の強制・誘導を避け自由に遺言できるようにするとともに、
遺言の存在・内容を明確にさせておくため、公正証書遺言には以下のよう
な煩雑な手続が要求されている。
(1)証人2人以上の立会いがあること。
未成年者や推定相続人などは証人の欠格事由とされています。
(2)遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること。
口授しないで文書そのものを渡すのはいけないと解されています。
(3)公証人が、遺言者の口述を筆記し、これを遺言者・証人に読み聞かせ
ること。
(4)遺言者及び証人が、筆記の正確なことを承認した後、各自これに署名し、
印を押すこと。
(5)最後に、公証人が、その証書は上述した方式に従って作ったものである
旨を付記して、これに署名し、印を押すこと。
3 公正証書は、一般に公証人役場で作成しなければなりませんが、遺言書作
成の場合にはこの制約を受けません。したがって、公証人を自宅や病院に呼
んで作ることもできます。
公正証書遺言は、方式が厳格で費用もかかりますが、紛失や改竄の虞があ
りません。
また、証人が立ち会うため、遺言の内容が他者に漏れることを心配される人も
いますが、守秘義務を有する行政書士や弁護士などに証人になってもらえば、
心配は要りません。
変造の虞があるだけでなく、自書できない場合には利用できない。
その場合には、公正証書によることができる。
2 遺言者が他人の強制・誘導を避け自由に遺言できるようにするとともに、
遺言の存在・内容を明確にさせておくため、公正証書遺言には以下のよう
な煩雑な手続が要求されている。
(1)証人2人以上の立会いがあること。
未成年者や推定相続人などは証人の欠格事由とされています。
(2)遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること。
口授しないで文書そのものを渡すのはいけないと解されています。
(3)公証人が、遺言者の口述を筆記し、これを遺言者・証人に読み聞かせ
ること。
(4)遺言者及び証人が、筆記の正確なことを承認した後、各自これに署名し、
印を押すこと。
(5)最後に、公証人が、その証書は上述した方式に従って作ったものである
旨を付記して、これに署名し、印を押すこと。
3 公正証書は、一般に公証人役場で作成しなければなりませんが、遺言書作
成の場合にはこの制約を受けません。したがって、公証人を自宅や病院に呼
んで作ることもできます。
公正証書遺言は、方式が厳格で費用もかかりますが、紛失や改竄の虞があ
りません。
また、証人が立ち会うため、遺言の内容が他者に漏れることを心配される人も
いますが、守秘義務を有する行政書士や弁護士などに証人になってもらえば、
心配は要りません。
07年12月19日
自筆証書遺言
1 普通方式による遺言には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言
があります。それぞれ一長一短がありますが、今日は、自筆証書遺言につ
いて記載します。
2 自筆証書遺言は、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに
印を押すものです。
(1)自書でなければなりませんから、他人が代筆したり、パソコンなどで作
成された遺言は、自筆証書遺言としては無効となります。
(2)では、遺言者が他人の手助けを受けて自筆証書遺言をした場合は、ど
うでしょうか。
この場合、判例では、遺言者が自書能力を有し、筆記を容易にするた
めに他人の支えを借りただけであり、かつ、他人の意思が介入した形跡
がない場合に限り、自書の要件を充たすものとして有効とされています。
(3)また、氏名の自書とは、遺言者が何人であるかにつき疑いのない程度
の表示があれば足り、必ずしも氏名を併記する必要はないとされていま
す。
(4)さらに、「平成19年12月吉日」と記載されたものは、日付の確定ができ
ないため、日付の記載を欠くものとして無効となります。
(5)そして、押印は拇印でも差し支えないとされています。押印は、氏名とと
もに遺言者の同一性を明らかにするために必要なものであり、押す印に
は制限がないのです。
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があります。それぞれ一長一短がありますが、今日は、自筆証書遺言につ
いて記載します。
2 自筆証書遺言は、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに
印を押すものです。
(1)自書でなければなりませんから、他人が代筆したり、パソコンなどで作
成された遺言は、自筆証書遺言としては無効となります。
(2)では、遺言者が他人の手助けを受けて自筆証書遺言をした場合は、ど
うでしょうか。
この場合、判例では、遺言者が自書能力を有し、筆記を容易にするた
めに他人の支えを借りただけであり、かつ、他人の意思が介入した形跡
がない場合に限り、自書の要件を充たすものとして有効とされています。
(3)また、氏名の自書とは、遺言者が何人であるかにつき疑いのない程度
の表示があれば足り、必ずしも氏名を併記する必要はないとされていま
す。
(4)さらに、「平成19年12月吉日」と記載されたものは、日付の確定ができ
ないため、日付の記載を欠くものとして無効となります。
(5)そして、押印は拇印でも差し支えないとされています。押印は、氏名とと
もに遺言者の同一性を明らかにするために必要なものであり、押す印に
は制限がないのです。