1、きっかけ  なぜ社会保険労務士が「クレーム」対応に着目するようになったか

(年金トラブル)
・「ねんきん特別便」の対応
・社会保険事務所をとりまく状況

→「正確に説明する」「よく聞く」「あいまいな対応はしない」「平身低頭」
(マスコミが最大のクレーマーなのだが、従来の社会保険事務所職員の対応が原因その他制度やシステムに関するものが要因)


2、評価について クレーム対応については、組織が求める総合的な人材評価要素が
詰まっている。

・クレーム対応ができる人を評価するとすれば、以下の要素になるだろう。
「胆力」「忍耐力」
「総合知識力」担当業務並びにその業務を包括する全体業務の把握、実務処理の把握
「遂行力」説明通りの結果を出すことができる
「人心力」「包容力」怒気を鎮め、翻心させることができる(クレーマーから上得意へ)
「察知力」「手際力」相手の目的を見抜く(クレーマーに変身させない)
「経験」「慣れ」

→いずれをとっても数値化に馴染まないためか、人事制度化がほとんどされない。


○クレーマーの「定義」
・イチャモンをつける人
・理不尽な要求をする人
・無理難題を言って楽しむ人
(私を成長させてくれた人)

○クレーマーの「特徴」
・通常では苦情と言えないものを、大げさに取り上げる
・一つの事に対して、複数の苦情を訴える
・過去の苦情被害を持ち出し、自分を優位に置く
・「苦情ゲーム」として愉しむ
・恐喝には至らないが、対応が困るように脅しを仕向けてくる
・関連先全体に苦情として申し入れをしてくる
・現場で話をすれば解決できることを、本部や関連各所に申し入れる
・一度は解決したと思ったところ、また来る。次に来ない保証はない
・家族など公認の者もいる
・相手が困るのを面白がる「愉快犯型」と、結果として金品を求める「要求型」がある

○クレーマーの種類
・たかり、恐喝
・愉快犯、ストレス解消、優越感
・「リタメイト」‥昔を懐かしむだけのクレーマー(元管理職で、退職後もかつて部下にしていたように、対象を叱ったり、指導しようとしたり、無理難題を吹っかける。クレーム先企業の管理に問題があると指摘し、教育係を要望してくる。他、懲戒処分や人事処分などを要求してくる。)
・話し相手探し(何を要求しているか不明)

○「クレーム」各種
・”苦情”=不満 →要望 (真摯に受け止める必要アリ)
       →諦め (同上)
・クレーム →補償要求 (営業妨害かどうかの判断が必要)

○”苦情”対応対策の意義
・外部からの業務改善提案として(新商品開発などに結びつくことが多い)
・取引先に安全と安心と信頼の認識を与える
・商品以外での付加価値となる

4、クレーム処理組織体制
・同業者情報網(照会)
・現場担当者へのヒアリング
・二人対応体制
・対応責任者にはその件に関しトップと同じ権限を与える
・苦情処理シートや報告書のファイリング
・相談用紙など用意しておく
・ベテランの者を責任者に据える
・対応会議にて全員同じ方針で臨む
・検証会議には開発部などその件に関連する部署責任者も参加する
・保安員を置く


5、時代背景
・社会現象化‥ネット掲示板によるメーカー等企業批判の増大、日常化 
・大企業トップの謝罪の増加‥不正取引等が水面上へ
・社会全体のコミュニケーション不全→ボキャブラリ不足、相手との摩擦を小さくするような話し方や受け応えが下手
・リスクマネジメントの欠落‥情報の蓄積や共有がない、リスクを回避しようとする姿勢がない(消費者が危険を負担するという売り手市場意識の名残り)


6、クレーマーのターゲット
・「安全苦情」(反撃の心配がなく、安全地帯でクレームがつけられる)
→公務員、百貨店、医者、学校、鉄道、タクシー


7、コメント
・「苦情を言うのも苦痛」なはずで、嫌なことに巻き込まれたという意識に気付いて対応することが大事(クレーマーにならざるを得ない事情など)。したがって、原状回復だけでは解決しない。