死刑確定後に再審で無罪が確定した免田栄さん(83)=福岡県大牟田市=が「身柄を拘置されたため国民年金の加入機会を失った」として受給資格の回復を申し立てたのに対し、総務省年金記録確認第三者委員会が受理しなかったことが分かった。第三者委員会は「取り扱う事案に該当しない」と説明しているという。

記録の存在自体がないもので、「回復」を目的とする第三者委員会の取り扱い事案ではないということである。少々冷たい表現である。司法省管轄であるならば、訴訟提起を丁寧に教示したかも知れない。国民の問題として、かつてよりも多少横の連繋がみえてきているものの、総務省でも何省でもということにはなかなかならないみたいである。


ところで、社会保険労務士はまだ訴訟代理権を認められるに至っていないものだが、労働相談においては能力担保ができている。その者を別に特定社会保険労務士と呼ぶ。この特定制度は訴訟代理権獲得運動が一段落した際に認められたものだが、この制度において特定社会保険労務士は次の問題に直面する。
・一般の社会保険労務士と異なり、弁護士(司法関係者)が労務管理をするようなことになる。判例水準と中小零細企業の水準とのギャップを実務でどうするかということになる。
・弁護士(司法関係者)と異なり、社会保険労務士の目的は「労使協調による産業育成」である。したがって、双方代理についての法違反観点は独自の解釈を必要とする。また、報酬あるいは手数料については基金なり何らかの分配装置を設けるのが相当であろう。
・訴訟代理権もさることながら、社会保険労務士の目的からすれば、仲裁センターが妥当である。また、この妥当性から特定業務に降り下っていくのが適切である。各ADR機関の対応が基本になるにせよ、弁護士(司法関係者)の謂う「代理」の意味・実務的解釈が結構違うことが明らかになっている。これらにつき、会員内で大議論をする予定である。
・とはいえ、「紛争」=雨が降っていなければならない。紛争前の受諾ほど空振り率の高い契約はないわけであるから、関与する事件は常に雨が降っているものである。「労使協調による産業育成」は程遠く、関与時には司法的な代理性が強い。ただ手段は裁判制度ではないことから、結果として「労使協調による産業育成」となるものである。労使決裂の場合は受諾する事件にはならない。
・以上は現状からみたものである。