相続・事業承継ブログ

夫婦年金は、死亡生命保険金と同じくみなし相続財産として相続税は課税されますが、遺産分割協議の対象外とすることができるのでしょうか？
契約者：夫　被保険者：夫＆妻　受取人：夫＆妻

（両方が生きている時は夫に年金が支払われ、夫が亡くなった場合妻に支払われる。）
この夫婦年金の場合、夫が亡くなった後、相続財産には含めず妻に確実に支払われるのでしょうか？

間朝様　コメントありがとうございます。
夫婦年金で年金支払開始後、夫が死亡して妻に支払われる場合の取扱ですね。
相続税法上は、仰せの通り“みなし相続財産”となり、財産評価基本通達２１４（生命保険契約に関する権利の評価）により評価します。
次に民法上の問題です。
この問題についての審判例等は従前より分かれており、特別受益と認めるもの、特別受益と認めないもの、原則は認めるが例外的に否定するもの等がありました。
しかし、平成１６年最高裁において「保険金受取人である相続人とその他の共同相続人との間に生ずる不公平が民法９０３条の趣旨に照らし到底是認することができないほどに著しいものであると評価すべき特段の事情が存する場合には同条の類推適用により、当該死亡保険金請求権は特別受益に準じて持戻しの対象となると解するのが相当である」と判示されました。（平成１６．１０．２９)
従いまして年金は妻に支払われますが、これを遺産分割協議の俎上に乗せるかどうかは、年金の額によると思います。
少額であれば年金は無視して、他の財産について分割協議すれば良いし、高額であれば特別受益として、その分妻の相続分を減らせば、皆が納得のいく遺産分割ができるのではないでしょうか。