医療法第42条(業務の範囲)には、「医療法人は、病院、診療所又は介護老人保健施設の業務に支障のない限り、定款又は寄付行為に定めることにより、次に掲げる業務を行うことができる。」とあります。次に掲げる業務とは以下のとおりです。

1.医療関係者の養成又は再教育
2.医学又は歯学に関する研究所の設置
3.巡回診療所、へき地診療所の開設
4.疾病予防のための有酸素運動等の特定の施設の設置
5.その他保健衛生に関する業務
6.社会福祉法に規定するケアハウス、老人介護事業、児童介護事業等
7.老人福祉法に規定する有料老人ホームの設置
8.居宅介護の推進事業

※上記規定は、一般の医療法人が行える業務を示したものであり、社会医療法人等、一部の医療法人については、この限りではありません。

 この規定は、逆に医療法人がその掲げられている業務以外を行うことを禁止することを意味することになりますが、資金運用の代表である株式投資を、剰余資金を用いて行うこともできないのでしょうか?
 厚生労働省が示している医療法人のモデル定款をみてみますと、「医療法人のうち現金は、確実な銀行又は信託会社に預け入れ若しくは信託し、又は国公債若しくは確実な有価証券に換え保管するものとする。」とされています。この文言からすると、「確実な有価証券」に投資し安全かつ確実に保管すれば、問題ないと考えられます。
 しかし、投機的な株式投資となると問題があります。非営利を前提とする医療法人の性格面からみても問題ですが、失敗すれば医療機関の存続自体を困難にする可能性があるからです。また、医療法人は営利事業を行うことを禁止されているため、会社を支配する目的で株式を保有する場合には、その会社を通じて営利事業を行うと解釈され、問題があると考えられます。ですから、医療法人からMS法人への出資も不可能と考えるべきでしょう。

【参 考】
  「医療法人の設立・運営と会計・税務」 瀬戸研一、安岐浩一、下條智也著
   医療法42条


文責 医業部


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