15年02月01日
アイスノンの“白元”の経営破綻に学ぶ
●東京の会社の主力銀行が四国という異常
「アイスノン」という商品がある。ヒット商品だ。そのほかのヒット商品には、「パラゾール」や「ホッカイロ」などもある。
こういうヒット商品や、結構知名度の高いロングセラーの有力商品も多く持っている会社がこれまた知名度の高い、大手日用品メーカーの「白元」という会社である。
ところがこの「白元」が、なんと倒産(経営破綻)をした。東京地裁に民事再生を申請し、倒産が確認された。
こんな有力(と思われていた)な会社が、まぜ倒産したのだろうか。
倒産原因を経営原理に的を絞れば、カイロ事業は資金負担が大きいとか、業界競争が激化したとか、いろんな原因が指摘されるが、煎じ詰めれば経営トップの判断力と采配の善し悪しが根本原因であることは間違いない。この倒産も人為的なミスが原因なのだ。
倒産とはそこに働く人たちの生活を不安に陥れ、多大な犠牲を従業員や家族に強いることになるから、経営者の責任は組織経済に留まらず、従業員への生活責任も大きなものとなる。
倒産時の社長(47歳)は創業者の孫にあたる。いわゆる御曹子。
慶応義塾を卒業し、銀行勤めを経て入社するが、入社してからハーバード大学ビジネススクールに入学、ここで
MBA(経営学修士)を取得。学歴のブランド志向は相当に強いようだ。会社に復帰するや、取締役マーケティング部長に就いた。そして2006年についに社長に就任・・・というトップの経歴である。
しかしこの会社の戦略で真っ先に、「ええ!なぜ?」と思われるのが、主力銀行だ。
「白元」の本社は東京の台東区だ。であるのに取引主力銀行は、四国香川県の百十四銀行。
なぜ四国なのか?という疑問は、ごく自然に誰もが抱く疑問。
その真相が秘められる強い噂には、こんなことが囁かれている。
〈かつて融資していた首都圏の銀行は、社長の私生活を問題視。特に経営トップの交友関係が派手で問題がある、として融資金を引き上げたことがある・・〉という。
自分の学歴同様に交際もブランドで値踏みし、好きなのは芸能界の人間。ある芸能界出身の女性は、その後国会議員に当選したが、この女性との交際も週刊誌に書かれたことがある。
●後継者が学生時代に魂を植えつける
ある信越の会社でも、先代の急死で若い御曹子が社長になったことがある。
「“F先生の経営指導を受けよ”という遺言がありましたから・・」といって、この息子からあるコンサルタントが頼まれ、何年ぶりかでこの会社を訪ねたとき、その人はまず先代の墓参を希望した。
ところが、立派な墓所に行った瞬間唖然としたらしい。掃除や手入れの形跡はなく、中心となる石碑は野鳥の糞まみれ。石材で囲まれた墓所内には、雑草が人を寄せつけないほど生え放題。
この若社長も、ブランド志向が強く、学歴にも表れていた。
そのコンサルタントは数ヵ月で手を引いたが、とうとう銀行がこの会社に言ってきた。
「現在の経営者には融資できません。今後とも貴社の経営者がこのままなら、既に融資した分も繰り上げ返済をお願いしたい」
もちろんこの老舗会社も、倒産し消滅した。
いろんな会社の後継者を見てきたが、後継者育てを、①立派、②やや甘い、③落第(いずれ破綻か?)に分けて見ると、①は、ほんの一粒に過ぎない。
その一粒の例を名古屋の会社で紹介すると、やがて後継者となる息子の東京の学生時代「学生生活月間レポート」が、父親(社長)の手元に到着すると、父親は学費や生活費を送ったという。
受け取ったら、受け取り礼状を即父親に送る約束を果たしていた。
後継者育ては、学生時代の送金方法から考える必要があるが、多くは銀行送金。しかしこれは問題だ。親への感謝の気持ち、お金の大切さがわからない。
お金には人を賢者に育てる力があるが、人を堕落させる魔力もある。
「アイスノン」という商品がある。ヒット商品だ。そのほかのヒット商品には、「パラゾール」や「ホッカイロ」などもある。
こういうヒット商品や、結構知名度の高いロングセラーの有力商品も多く持っている会社がこれまた知名度の高い、大手日用品メーカーの「白元」という会社である。
ところがこの「白元」が、なんと倒産(経営破綻)をした。東京地裁に民事再生を申請し、倒産が確認された。
こんな有力(と思われていた)な会社が、まぜ倒産したのだろうか。
倒産原因を経営原理に的を絞れば、カイロ事業は資金負担が大きいとか、業界競争が激化したとか、いろんな原因が指摘されるが、煎じ詰めれば経営トップの判断力と采配の善し悪しが根本原因であることは間違いない。この倒産も人為的なミスが原因なのだ。
倒産とはそこに働く人たちの生活を不安に陥れ、多大な犠牲を従業員や家族に強いることになるから、経営者の責任は組織経済に留まらず、従業員への生活責任も大きなものとなる。
倒産時の社長(47歳)は創業者の孫にあたる。いわゆる御曹子。
慶応義塾を卒業し、銀行勤めを経て入社するが、入社してからハーバード大学ビジネススクールに入学、ここで
MBA(経営学修士)を取得。学歴のブランド志向は相当に強いようだ。会社に復帰するや、取締役マーケティング部長に就いた。そして2006年についに社長に就任・・・というトップの経歴である。
しかしこの会社の戦略で真っ先に、「ええ!なぜ?」と思われるのが、主力銀行だ。
「白元」の本社は東京の台東区だ。であるのに取引主力銀行は、四国香川県の百十四銀行。
なぜ四国なのか?という疑問は、ごく自然に誰もが抱く疑問。
その真相が秘められる強い噂には、こんなことが囁かれている。
〈かつて融資していた首都圏の銀行は、社長の私生活を問題視。特に経営トップの交友関係が派手で問題がある、として融資金を引き上げたことがある・・〉という。
自分の学歴同様に交際もブランドで値踏みし、好きなのは芸能界の人間。ある芸能界出身の女性は、その後国会議員に当選したが、この女性との交際も週刊誌に書かれたことがある。
●後継者が学生時代に魂を植えつける
ある信越の会社でも、先代の急死で若い御曹子が社長になったことがある。
「“F先生の経営指導を受けよ”という遺言がありましたから・・」といって、この息子からあるコンサルタントが頼まれ、何年ぶりかでこの会社を訪ねたとき、その人はまず先代の墓参を希望した。
ところが、立派な墓所に行った瞬間唖然としたらしい。掃除や手入れの形跡はなく、中心となる石碑は野鳥の糞まみれ。石材で囲まれた墓所内には、雑草が人を寄せつけないほど生え放題。
この若社長も、ブランド志向が強く、学歴にも表れていた。
そのコンサルタントは数ヵ月で手を引いたが、とうとう銀行がこの会社に言ってきた。
「現在の経営者には融資できません。今後とも貴社の経営者がこのままなら、既に融資した分も繰り上げ返済をお願いしたい」
もちろんこの老舗会社も、倒産し消滅した。
いろんな会社の後継者を見てきたが、後継者育てを、①立派、②やや甘い、③落第(いずれ破綻か?)に分けて見ると、①は、ほんの一粒に過ぎない。
その一粒の例を名古屋の会社で紹介すると、やがて後継者となる息子の東京の学生時代「学生生活月間レポート」が、父親(社長)の手元に到着すると、父親は学費や生活費を送ったという。
受け取ったら、受け取り礼状を即父親に送る約束を果たしていた。
後継者育ては、学生時代の送金方法から考える必要があるが、多くは銀行送金。しかしこれは問題だ。親への感謝の気持ち、お金の大切さがわからない。
お金には人を賢者に育てる力があるが、人を堕落させる魔力もある。