08年04月24日
男女雇用機会均等法 ―セクハラ対策強化について―
1.「配慮義務」から「措置義務」へ
セクシャル・ハラスメント(セクハラ)については、以前は事業主に「配慮義務」が求められていましたが、現在では改正により、雇用管理上の「措置義務」が課せられるようになりました。
2.「措置義務」とは?具体的に言うと・・・
(1) 事業主の方針の明確化およびその周知・啓発
職場におけるセクハラに対する方針を明確化し、セクハラに係る言動を行った者につき厳正に対処する旨の方針および対処の内容を就業規則等に規定し、管理・監督者を含む労働者に周知・啓発すること。
(2) 相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
相談のための窓口を定め、相談に対しその内容や状況に応じ適切に対応し、現実に生じている場合はもちろん、その発生のおそれがある場合や該当するか否か微妙な場合であっても広く相談に対応し、適切な対応を行うようにすること。
(3) 職場におけるセクハラに係る事後の迅速かつ適切な対応
事実関係を迅速かつ正確に確認し、職場におけるセクハラの事実が確認できた場合に、行為者および被害を受けた労働者に対する措置をそれぞれ適正に行うとともに、再発防止に向けた措置を講ずること。
(4) 上記3つの措置と併せて講ずべき措置
相談者・行為者等の情報は、プライバシーを保護するために必要な措置を講じ、周知し、労働者が相談をしたこと、または事実関係の確認に協力したこと等を理由として、不利益な取扱いを行ってはならない旨を定め、周知・啓発すること。
3.男性もセクハラの保護対象に
近年、男性に対するセクハラ事案が見受けられることから、男性も保護の対象とすることとなりました。
4.セクハラについても企業名公表の対照に
厚生労働大臣の勧告に従わない場合の企業名公表制度について、セクハラ対策違反も対象となりました。また、紛争調整委員会における調停手続の対象として、セクハラに関する紛争も追加されました。
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セクシャル・ハラスメント(セクハラ)については、以前は事業主に「配慮義務」が求められていましたが、現在では改正により、雇用管理上の「措置義務」が課せられるようになりました。
2.「措置義務」とは?具体的に言うと・・・
(1) 事業主の方針の明確化およびその周知・啓発
職場におけるセクハラに対する方針を明確化し、セクハラに係る言動を行った者につき厳正に対処する旨の方針および対処の内容を就業規則等に規定し、管理・監督者を含む労働者に周知・啓発すること。
(2) 相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
相談のための窓口を定め、相談に対しその内容や状況に応じ適切に対応し、現実に生じている場合はもちろん、その発生のおそれがある場合や該当するか否か微妙な場合であっても広く相談に対応し、適切な対応を行うようにすること。
(3) 職場におけるセクハラに係る事後の迅速かつ適切な対応
事実関係を迅速かつ正確に確認し、職場におけるセクハラの事実が確認できた場合に、行為者および被害を受けた労働者に対する措置をそれぞれ適正に行うとともに、再発防止に向けた措置を講ずること。
(4) 上記3つの措置と併せて講ずべき措置
相談者・行為者等の情報は、プライバシーを保護するために必要な措置を講じ、周知し、労働者が相談をしたこと、または事実関係の確認に協力したこと等を理由として、不利益な取扱いを行ってはならない旨を定め、周知・啓発すること。
3.男性もセクハラの保護対象に
近年、男性に対するセクハラ事案が見受けられることから、男性も保護の対象とすることとなりました。
4.セクハラについても企業名公表の対照に
厚生労働大臣の勧告に従わない場合の企業名公表制度について、セクハラ対策違反も対象となりました。また、紛争調整委員会における調停手続の対象として、セクハラに関する紛争も追加されました。
文責:ヒューマニー部
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08年04月21日
採用の際の労働条件の明示
労働者と使用者の雇用関係は、労働契約を締結することによってはじまります。労働契約とは、労働者は使用者に対し、対価を得て労働に服することを約する契約のことをいいます。使用者は労働契約を結ぶに当たって、労働者に対して賃金、労働時間などの労働条件を必ず明示しなければなりません(労基法第15条)。
【明示する労働条件の範囲】
明示しなければならない労働条件の範囲は、次のとおりです。
1.必ず明示しなければならない事項
(1)労働契約の期間に関する事項
(2)就業の場所、従事すべき業務に関する事項
(3)始業・就業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、
休暇、労働者を2組以上に分けて就業させる場合における就業時転換に
関する事項
(4)賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払い時期に関する事項
(5)退職に関する事項(解雇の事由を含みます。)
(6)昇給に関する事項
2.制度がある場合に明示しなければならない事項
(7)退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算および
支払いの方法、退職手当の支払いの時期に関する事項
(8)臨時に支払われる賃金・賞与などに関する事項
(9)労働者に負担させるべき食費、作業用品その他に関する事項
(10)安全及び衛生に関する事項
(11)職業訓練に関する事項
(12)災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項
(13)表彰及び制裁に関する事項
(14)休職に関する事項
【書面で明示しなければならない労働条件】
労働条件を明示する方法については、前述の(1)〜(5)については、必ず書面を作り、これを労働者に渡す方法により明示しなければなりませんが、当該事項が記載されている部分を明らかにして就業規則を交付する方法でも構いません。
(6)〜(14)労働条件については、法的には書面で明示する必要はなく、口頭でもよいのですが、労働者に理解できる程度に示すことが必要です。後々の労働条件をめぐるトラブルを未然に防止するためにはできればすべてを書面で明示しておくことが望ましいといえます。
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【明示する労働条件の範囲】
明示しなければならない労働条件の範囲は、次のとおりです。
1.必ず明示しなければならない事項
(1)労働契約の期間に関する事項
(2)就業の場所、従事すべき業務に関する事項
(3)始業・就業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、
休暇、労働者を2組以上に分けて就業させる場合における就業時転換に
関する事項
(4)賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払い時期に関する事項
(5)退職に関する事項(解雇の事由を含みます。)
(6)昇給に関する事項
2.制度がある場合に明示しなければならない事項
(7)退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算および
支払いの方法、退職手当の支払いの時期に関する事項
(8)臨時に支払われる賃金・賞与などに関する事項
(9)労働者に負担させるべき食費、作業用品その他に関する事項
(10)安全及び衛生に関する事項
(11)職業訓練に関する事項
(12)災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項
(13)表彰及び制裁に関する事項
(14)休職に関する事項
【書面で明示しなければならない労働条件】
労働条件を明示する方法については、前述の(1)〜(5)については、必ず書面を作り、これを労働者に渡す方法により明示しなければなりませんが、当該事項が記載されている部分を明らかにして就業規則を交付する方法でも構いません。
(6)〜(14)労働条件については、法的には書面で明示する必要はなく、口頭でもよいのですが、労働者に理解できる程度に示すことが必要です。後々の労働条件をめぐるトラブルを未然に防止するためにはできればすべてを書面で明示しておくことが望ましいといえます。
文責:ヒューマニー部
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08年04月17日
登録免許税のなぜ?
「ガソリンの暫定税率の期限切れ」に端を発し、今国会を盛り上げた租税特別措置法の期限切れ問題ですが、この租税特別措置法で先の3月31日に期限切れとなるものには、ガソリンの暫定税率の他にも、私たちの生活にそれ程縁遠くないものも含まれていたことを皆さんはご存知でしょうか?
それは、『土地・建物の取得に係る「登録免許税」の税率軽減の終了』です。
そもそも、登録免許税とは、住宅などを新築したり購入したりした場合の土地・建物の登記の際、また、銀行などのローンの借入れをした場合の抵当権の設定に係る国税です。租税特別措置法第72条には、「売買により取得した土地・建物に係る登録免許税については、平成20年3月31日まで、税率を1.0%とする。」との規定があり、この部分が今回の期限切れの対象となったのです。
本来前述の原因による登録免許税の税率は2.0%。1%違ったからといって税負担に影響はそれほどない、とお感じになるでしょうが、不動産の固定資産税評価額に税率を乗じて算出される登録免許税ですから、価値のある不動産を購入すればするほど、当然のことながらその税負担には格差が生じます。
今回の一連の期限切れに関しては、平成20年5月31日までの、いわゆる「つなぎ法案」により、ガソリン税以外についてはどうやら期限切れが回避されそうな機運が高まっています。登録免許税についても例外ではありませんから、とりあえず5月いっぱいまでは、前述の通り税率1.0%となりそうですが、あくまで時限立法である租税特別措置法。様々な優遇税制が規定されているこの税法に、期限切れが起こる度に今後も踊らされ続けるのでしょうか・・・
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それは、『土地・建物の取得に係る「登録免許税」の税率軽減の終了』です。
そもそも、登録免許税とは、住宅などを新築したり購入したりした場合の土地・建物の登記の際、また、銀行などのローンの借入れをした場合の抵当権の設定に係る国税です。租税特別措置法第72条には、「売買により取得した土地・建物に係る登録免許税については、平成20年3月31日まで、税率を1.0%とする。」との規定があり、この部分が今回の期限切れの対象となったのです。
本来前述の原因による登録免許税の税率は2.0%。1%違ったからといって税負担に影響はそれほどない、とお感じになるでしょうが、不動産の固定資産税評価額に税率を乗じて算出される登録免許税ですから、価値のある不動産を購入すればするほど、当然のことながらその税負担には格差が生じます。
今回の一連の期限切れに関しては、平成20年5月31日までの、いわゆる「つなぎ法案」により、ガソリン税以外についてはどうやら期限切れが回避されそうな機運が高まっています。登録免許税についても例外ではありませんから、とりあえず5月いっぱいまでは、前述の通り税率1.0%となりそうですが、あくまで時限立法である租税特別措置法。様々な優遇税制が規定されているこの税法に、期限切れが起こる度に今後も踊らされ続けるのでしょうか・・・
文責:資産税部
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08年04月14日
プロ野球シーズンチケット購入の税務上の取扱いは?
今年もプロ野球公式戦がスタートしました。福岡は、福岡ソフトバンクホークスの本拠地であることから、私たちのお客様の中にも、販売促進の一環としてシーズンチケットを購入し取引先を招待していらっしゃる方も多数おられます。
さて、このシーズンチケットの購入費の税務上の取扱はどうなるのでしょうか。
法人税の取扱いにおいて、シーズンチケットは「交際費」とすべきか「広告宣伝費」とすべきか悩ましいところですが、租税特別措置法には『不特定多数の者に対する宣伝効果を発揮するものは、交際費に含まれない』と規定されています。しかし、昭和46年に『野球のシーズン予約席料は、不特定多数の者に対する広告宣伝効果を意図するものではなく、取引先に贈答したものであるため交際費に該当する』との判例が示されたことから、実務上交際費として処理を行います。また、法人税上の「損金」に算入する時期ですが、措置法通達には『接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のあったとき』と規定されています。プロ野球のシーズンチケットにおいてはこれらの「行為のあったとき」っていつ?・・・また悩ましい問題です。シーズンチケットは、シーズンの途中に解約しても解約期間に応じた席料が返金されるものとは考えられませんから、特別な事情がなければ、その球場で開幕戦が行われた日の属する事業年度において「損金」に算入するものと考えられます。
次に、消費税の取扱いです。このシーズンチケットの購入代金は、消費税における「仕入税額控除」の対象となるのでしょうか。シーズンチケットは、野球を観覧するための席料でこれと引き換えに野球を観戦できるものであるため、「仕入税額控除」の対象となります。また、いつ仕入税額控除の対象となるか?という点については、原則は『実際に観戦した日』となります。しかし、前述の通り、法人税において中途解約の出来ないものは、実際にその球場で開幕戦が行われる日において交際費として損金算入されることから、消費税の取扱いにおいてもシーズンチケットの支払いを行った日に課税仕入れがあったものとして取り扱って差し支えないようです。
シーズン予約席に招待されて野球観戦されたことのある皆さん。招待した側には少々厄介な税務上の取扱いが実は存在する、ということもお忘れなく。
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さて、このシーズンチケットの購入費の税務上の取扱はどうなるのでしょうか。
法人税の取扱いにおいて、シーズンチケットは「交際費」とすべきか「広告宣伝費」とすべきか悩ましいところですが、租税特別措置法には『不特定多数の者に対する宣伝効果を発揮するものは、交際費に含まれない』と規定されています。しかし、昭和46年に『野球のシーズン予約席料は、不特定多数の者に対する広告宣伝効果を意図するものではなく、取引先に贈答したものであるため交際費に該当する』との判例が示されたことから、実務上交際費として処理を行います。また、法人税上の「損金」に算入する時期ですが、措置法通達には『接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のあったとき』と規定されています。プロ野球のシーズンチケットにおいてはこれらの「行為のあったとき」っていつ?・・・また悩ましい問題です。シーズンチケットは、シーズンの途中に解約しても解約期間に応じた席料が返金されるものとは考えられませんから、特別な事情がなければ、その球場で開幕戦が行われた日の属する事業年度において「損金」に算入するものと考えられます。
次に、消費税の取扱いです。このシーズンチケットの購入代金は、消費税における「仕入税額控除」の対象となるのでしょうか。シーズンチケットは、野球を観覧するための席料でこれと引き換えに野球を観戦できるものであるため、「仕入税額控除」の対象となります。また、いつ仕入税額控除の対象となるか?という点については、原則は『実際に観戦した日』となります。しかし、前述の通り、法人税において中途解約の出来ないものは、実際にその球場で開幕戦が行われる日において交際費として損金算入されることから、消費税の取扱いにおいてもシーズンチケットの支払いを行った日に課税仕入れがあったものとして取り扱って差し支えないようです。
シーズン予約席に招待されて野球観戦されたことのある皆さん。招待した側には少々厄介な税務上の取扱いが実は存在する、ということもお忘れなく。
文責:資産税部
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08年04月10日
デリバティブ取引について vol.2
3.なぜこういう税務処理をするのでしょうか?
前回述べたように、デリバティブ取引は時価評価が大原則で、例外処理のためには、色んな制約がかかります。
なぜ、こうなっているのでしょうか?簡単な例で考えてみましょう。
(前提)
現在のドル円の為替レート:100円
当期の決算期は3月31日
(行ったデリバティブ取引)
A「当期の3月31日に40円(注)を支払って」、B「翌期の4月1日に1ドルを60円で購入する契約」を締結します。
(注)現在の為替レート100円と、4月1日の契約60円との差額です(=4月1日の契約が40円ほど有利なため、その調整金を3月31日に支払うという考え方です)。
(時価評価を行わなかった場合)
A3月31日の決算時:40円を費用に計上します。
B翌期の4月1日 :1ドルを60円で購入し(その1ドルを100円で売れば)40円の収益が計上されます。
→こうすれば、当期の3月31日の決算において利益が減少するので、当期の納税額が減少してしまいます。
(時価評価を行った場合)
A―1 3月31日の決算時:40円を費用に計上します。
A−2 3月31日の決算時:デリバティブ取引を時価評価して、40円(現在の為替レートと60円の差額です)の収益を計上します。
→こうすれば、当期の3月31日の決算において費用と収益が同額計上されるので、デリバティブ取引により期間損益が変動することはありません。
なお、翌期は、上記時価評価を行った場合?と同様に40円の収益と、デリバティブ取引の時価評価の戻入の費用40円が計上されるため、これもデリバティブ取引により期間損益が変動することはありません。
以上は、単純な例ですが、この例の為替を金利に変えたり、ドルを砂糖の価格に変えたり、場合によっては「明日の天気」に変えたりすれば、思いもよらないデリバティブ取引を行うことができます。
そういう複雑な取引が出てきても、上記の例のとおり、時価評価という一律の「網」をかけることにより、「期間損益の歪み」をなくし、結果として「課税漏れ」等を防ぐことが可能になります。
4.デリバティブを行うかどうかの判断基準(考え方)
それでは、御社がデリバティブ取引を金融機関等から薦められたとします。どう対応したら良いのでしょうか?
結論は、Aリスク回避のためであり、B内容が判る=取引自体のリスクの管理ができる場合にのみ、積極的に取り組むべき、と考えます。
A.「リスク回避のため」とはどういう意味でしょうか
「リスクを感じている取引があり、そのリスクを少なくするために行う」という意味です。ドル建ての輸出入がある、長期の借入をしているが変動金利のために金利上昇が恐い、などです。
例えば、ドルの輸入取引がある会社で、為替リスクヘッジのために前述のフラット為替予約を行う場合の取引金額の目安を簡単に言うと、「合計で1年間の輸入金額を超えてはいけない」ということかと思います。従って、毎月決済で3年の契約を行う場合は、1月当たりの金額は、年間輸入金額の1/36(12月×3年)となります。
B.「内容が判る」とはどういう意味でしょうか
社長又は財務担当役員が、「取引の内容やリスクを、資料を見ずに説明できる」ということです。
例えば、「ノックアウト」「ノックイン」とか「オプションの売り」とかは聞いただけで?が何個か頭に浮かんできますし、すぐにリスクを説明することは難しいと思います。こういう取引を行うと、財務の専門家でも自社のリスクの管理をすることは不可能になると思います。
以上は、税務処理等を中心に記載しました。「経理処理、会計処理」はどうなるのかという質問もあるかと思いますので結論のみ書きます。
「中小企業の会計に関する指針」でも、デリバティブ取引は「時価評価」と明記されていますので、税務処理と同様の処理になります。
最後になりますが、もともと判りにくい=難解なものを少しでも判りやすく書こうとしたため、厳密性に欠ける点があることはことはお詫びします。
弊社では、当然、デリバティブ取引の税務処理等をより厳密に議論することが可能です。税理士業界ではあまり人口に膾炙されていない分野のようですので、是非色んな質問、意見をぶつけて頂きたいと思います。税務、経理処理だけではなく、商品の仕組みの解説等各方面で喜んでアドバイスをさせて頂きます。
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前回述べたように、デリバティブ取引は時価評価が大原則で、例外処理のためには、色んな制約がかかります。
なぜ、こうなっているのでしょうか?簡単な例で考えてみましょう。
(前提)
現在のドル円の為替レート:100円
当期の決算期は3月31日
(行ったデリバティブ取引)
A「当期の3月31日に40円(注)を支払って」、B「翌期の4月1日に1ドルを60円で購入する契約」を締結します。
(注)現在の為替レート100円と、4月1日の契約60円との差額です(=4月1日の契約が40円ほど有利なため、その調整金を3月31日に支払うという考え方です)。
(時価評価を行わなかった場合)
A3月31日の決算時:40円を費用に計上します。
B翌期の4月1日 :1ドルを60円で購入し(その1ドルを100円で売れば)40円の収益が計上されます。
→こうすれば、当期の3月31日の決算において利益が減少するので、当期の納税額が減少してしまいます。
(時価評価を行った場合)
A―1 3月31日の決算時:40円を費用に計上します。
A−2 3月31日の決算時:デリバティブ取引を時価評価して、40円(現在の為替レートと60円の差額です)の収益を計上します。
→こうすれば、当期の3月31日の決算において費用と収益が同額計上されるので、デリバティブ取引により期間損益が変動することはありません。
なお、翌期は、上記時価評価を行った場合?と同様に40円の収益と、デリバティブ取引の時価評価の戻入の費用40円が計上されるため、これもデリバティブ取引により期間損益が変動することはありません。
以上は、単純な例ですが、この例の為替を金利に変えたり、ドルを砂糖の価格に変えたり、場合によっては「明日の天気」に変えたりすれば、思いもよらないデリバティブ取引を行うことができます。
そういう複雑な取引が出てきても、上記の例のとおり、時価評価という一律の「網」をかけることにより、「期間損益の歪み」をなくし、結果として「課税漏れ」等を防ぐことが可能になります。
4.デリバティブを行うかどうかの判断基準(考え方)
それでは、御社がデリバティブ取引を金融機関等から薦められたとします。どう対応したら良いのでしょうか?
結論は、Aリスク回避のためであり、B内容が判る=取引自体のリスクの管理ができる場合にのみ、積極的に取り組むべき、と考えます。
A.「リスク回避のため」とはどういう意味でしょうか
「リスクを感じている取引があり、そのリスクを少なくするために行う」という意味です。ドル建ての輸出入がある、長期の借入をしているが変動金利のために金利上昇が恐い、などです。
例えば、ドルの輸入取引がある会社で、為替リスクヘッジのために前述のフラット為替予約を行う場合の取引金額の目安を簡単に言うと、「合計で1年間の輸入金額を超えてはいけない」ということかと思います。従って、毎月決済で3年の契約を行う場合は、1月当たりの金額は、年間輸入金額の1/36(12月×3年)となります。
B.「内容が判る」とはどういう意味でしょうか
社長又は財務担当役員が、「取引の内容やリスクを、資料を見ずに説明できる」ということです。
例えば、「ノックアウト」「ノックイン」とか「オプションの売り」とかは聞いただけで?が何個か頭に浮かんできますし、すぐにリスクを説明することは難しいと思います。こういう取引を行うと、財務の専門家でも自社のリスクの管理をすることは不可能になると思います。
以上は、税務処理等を中心に記載しました。「経理処理、会計処理」はどうなるのかという質問もあるかと思いますので結論のみ書きます。
「中小企業の会計に関する指針」でも、デリバティブ取引は「時価評価」と明記されていますので、税務処理と同様の処理になります。
最後になりますが、もともと判りにくい=難解なものを少しでも判りやすく書こうとしたため、厳密性に欠ける点があることはことはお詫びします。
弊社では、当然、デリバティブ取引の税務処理等をより厳密に議論することが可能です。税理士業界ではあまり人口に膾炙されていない分野のようですので、是非色んな質問、意見をぶつけて頂きたいと思います。税務、経理処理だけではなく、商品の仕組みの解説等各方面で喜んでアドバイスをさせて頂きます。
文責:経理サポート部
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08年04月07日
デリバティブ取引について vol.1
昨今のドル安の動きを受けて、弊社のお客様の中にもデリバティブ取引の損益の変動でお困りの方がいらっしゃいます。
今回は、難しいと考えられているデリバティブ取引について、可能な限り判りやすく説明したいと思います。
1.そもそも そもそも「デリバティブ取引」って何なのでしょうか。
英語で「derivatives」と書き、「金融派生商品」と訳されています。
「de」とは「から出た」という意味の接頭詞、「riv」は「river」つまり「川=本流=金融の世界では借入や預金のことです」、その後は、接尾詞です。
つまり、金融の本流である借入や預金から出てきた商品ということです。典型的なものが、借入から元本を除いて、金利だけを取引する「金利スワップ取引」です。以下に、基本的な類型を示しました。ポイントは、必ず「何か」と「何か」を「交換」する形になっているということです。従って、デリバティブ取引を見る場合には、「何を交換するのかな」という切り口で考えると判りやすくなるかもしれません。
他に、ノックアウトやノックイン等の言葉が出ることがありますが、これは、上記に付加された、いわば「ソフトクリームのトッピング」のようなものです。(後ほど、少し触れます)
2.デリバティブ取引の税務処理
(原則)
決算期に、まだデリバティブ取引が残っている場合(=その一部でも決済されずに残っている)には、残っている部分について時価評価をして、その損益を計上します。
具体的には、銀行等から送られてくる「時価評価のお知らせ」をもとに決算時において損益を計上するのです。
(例外1:繰延ヘッジ処理)
資産、負債等の価格の変動リスクを回避(以下、「ヘッジ」といいます)する目的でデリバティブ取引を行った場合には、時価評価をしない方法を採ることが可能です。
但し、A価格の変動のある資産、負債が貸借対照表に計上されている、又は、B「予定取引」と言って「そのヘッジ対象取引が行われることが、過去の実績や会社の状況等に照らして、予定されているといえる」、ことが必要です。
具体例でいえば、フラット為替予約=クーポンスワップ=包括的長期為替予約といわれている取引で1年超のものは、一般的には予定取引には該当しにくいと考えます。
加えて、Aリスク管理に関する社内規定を定めて、契約時に、リスク回避のために行った旨を明らかにし、Bデリバティブ取引の有効性の判定(ヘッジ対象の資産、負債等とデリバティブ取引の時価の変動が概ね同一であることの判定)を行うことが必要です。
(例外2:金利スワップ等の特例処理)
借入、預金等の金利の変動リスクをヘッジする目的で行った金利スワップ、金利キャップ、金利フロアー取引等は、時価評価をしない方法を採ることが可能です。
但し、借入、預金等とデリバティブ取引の元本金額、終了の日、金利の種類等が同一であることが必要です。
具体例でいえば、短期プライムレートでの借入をTIBORベースの金利スワップでヘッジした場合には、この特例は適用できません。
なお、この取引も、契約時に、リスク回避のために行った旨を明らかにすることが必要です。
(例外3:振当処理)
外貨建資産、負債の価格変動リスクをヘッジする目的で、先物外国為替契約等(いわゆる為替予約です)によりその円貨額(円換算額)を確定させた場合は、時価評価をしない方法を採ることが可能です。
但し、そのヘッジ対象取引である外貨建資産、負債が貸借対照表に計上されていることが必要です。
なお、この取引も、契約時に、円換算額を確定させるために行った旨を明らかにすることが必要です。
次回は、なぜこういう税務処理をするのか、デリバティブ取引を行うかどうかの判断基準等について記載します。
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今回は、難しいと考えられているデリバティブ取引について、可能な限り判りやすく説明したいと思います。
1.そもそも そもそも「デリバティブ取引」って何なのでしょうか。
英語で「derivatives」と書き、「金融派生商品」と訳されています。
「de」とは「から出た」という意味の接頭詞、「riv」は「river」つまり「川=本流=金融の世界では借入や預金のことです」、その後は、接尾詞です。
つまり、金融の本流である借入や預金から出てきた商品ということです。典型的なものが、借入から元本を除いて、金利だけを取引する「金利スワップ取引」です。以下に、基本的な類型を示しました。ポイントは、必ず「何か」と「何か」を「交換」する形になっているということです。従って、デリバティブ取引を見る場合には、「何を交換するのかな」という切り口で考えると判りやすくなるかもしれません。
他に、ノックアウトやノックイン等の言葉が出ることがありますが、これは、上記に付加された、いわば「ソフトクリームのトッピング」のようなものです。(後ほど、少し触れます)
2.デリバティブ取引の税務処理
(原則)
決算期に、まだデリバティブ取引が残っている場合(=その一部でも決済されずに残っている)には、残っている部分について時価評価をして、その損益を計上します。
具体的には、銀行等から送られてくる「時価評価のお知らせ」をもとに決算時において損益を計上するのです。
(例外1:繰延ヘッジ処理)
資産、負債等の価格の変動リスクを回避(以下、「ヘッジ」といいます)する目的でデリバティブ取引を行った場合には、時価評価をしない方法を採ることが可能です。
但し、A価格の変動のある資産、負債が貸借対照表に計上されている、又は、B「予定取引」と言って「そのヘッジ対象取引が行われることが、過去の実績や会社の状況等に照らして、予定されているといえる」、ことが必要です。
具体例でいえば、フラット為替予約=クーポンスワップ=包括的長期為替予約といわれている取引で1年超のものは、一般的には予定取引には該当しにくいと考えます。
加えて、Aリスク管理に関する社内規定を定めて、契約時に、リスク回避のために行った旨を明らかにし、Bデリバティブ取引の有効性の判定(ヘッジ対象の資産、負債等とデリバティブ取引の時価の変動が概ね同一であることの判定)を行うことが必要です。
(例外2:金利スワップ等の特例処理)
借入、預金等の金利の変動リスクをヘッジする目的で行った金利スワップ、金利キャップ、金利フロアー取引等は、時価評価をしない方法を採ることが可能です。
但し、借入、預金等とデリバティブ取引の元本金額、終了の日、金利の種類等が同一であることが必要です。
具体例でいえば、短期プライムレートでの借入をTIBORベースの金利スワップでヘッジした場合には、この特例は適用できません。
なお、この取引も、契約時に、リスク回避のために行った旨を明らかにすることが必要です。
(例外3:振当処理)
外貨建資産、負債の価格変動リスクをヘッジする目的で、先物外国為替契約等(いわゆる為替予約です)によりその円貨額(円換算額)を確定させた場合は、時価評価をしない方法を採ることが可能です。
但し、そのヘッジ対象取引である外貨建資産、負債が貸借対照表に計上されていることが必要です。
なお、この取引も、契約時に、円換算額を確定させるために行った旨を明らかにすることが必要です。
次回は、なぜこういう税務処理をするのか、デリバティブ取引を行うかどうかの判断基準等について記載します。
文責:経理サポート部
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08年04月03日
新築住宅は今まで以上に安心を
新築住宅(建設工事の完了から1年以内で人が住んだことがないものをいいます)の買主や発注者を保護するため、住宅瑕疵担保履行法が平成21年10月1日に施行され、新築住宅の請負人(建設業者等)や売主(建設業者や宅建業者)に資金確保措置(保険の加入や保証金の供託)が義務付けられます。
その住宅は、平成21年10月以降に引き渡す(契約時ではないことに注意!)物件が対象となります。
この法律により、もし引き渡された新築住宅に瑕疵が判明した場合、建設業者等が自ら補修するのが原則ですが、倒産などにより補修が困難になった場合に備えて
【保証金供託の場合】
業者が現金や有価証券を法務局などの供託所に預け置く制度です。
供託額は、最低でも2,000万円で供給戸数により増加します。
【保険への加入の場合】
業者が国土交通大臣の指定する保険法人との間で保険契約を締結し、その補修費用等が保険金によりてん補される制度です。
保険金額は1戸当り2,000万円以上であったり、10年以上の期間有効な契約であること等が必要になります。
住宅瑕疵担保履行法では、構造耐力上主要な部分および雨水の浸入を防止する部分に関する10年間の瑕疵担保責任を対象としています。
業者はさらに年2回の届出が必要になります。
建設業者および宅建業者は、免許を受けた国土交通大臣または都道府県知事に年2回(3月31日と9月30日)における保険契約の締結および保証金の供託状況を届け出なければなりません。
この届出を行わない場合は、基準日から50日目以降、新たな請負契約や売買契約ができなくなります。
業者は工期の延長や売れ残りにより引渡し時期がずれ込むことも予想しておかなければならないでしょう。
買主や発注者は、この制度により今まで以上に安心を得られますが、建築コストに跳ね返りがあるかも?しれません。
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その住宅は、平成21年10月以降に引き渡す(契約時ではないことに注意!)物件が対象となります。
この法律により、もし引き渡された新築住宅に瑕疵が判明した場合、建設業者等が自ら補修するのが原則ですが、倒産などにより補修が困難になった場合に備えて
【保証金供託の場合】
業者が現金や有価証券を法務局などの供託所に預け置く制度です。
供託額は、最低でも2,000万円で供給戸数により増加します。
【保険への加入の場合】
業者が国土交通大臣の指定する保険法人との間で保険契約を締結し、その補修費用等が保険金によりてん補される制度です。
保険金額は1戸当り2,000万円以上であったり、10年以上の期間有効な契約であること等が必要になります。
住宅瑕疵担保履行法では、構造耐力上主要な部分および雨水の浸入を防止する部分に関する10年間の瑕疵担保責任を対象としています。
業者はさらに年2回の届出が必要になります。
建設業者および宅建業者は、免許を受けた国土交通大臣または都道府県知事に年2回(3月31日と9月30日)における保険契約の締結および保証金の供託状況を届け出なければなりません。
この届出を行わない場合は、基準日から50日目以降、新たな請負契約や売買契約ができなくなります。
業者は工期の延長や売れ残りにより引渡し時期がずれ込むことも予想しておかなければならないでしょう。
買主や発注者は、この制度により今まで以上に安心を得られますが、建築コストに跳ね返りがあるかも?しれません。
文責 プロネットリアルエステート
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