09年06月30日
不況期の企業経営 -その5-
昨今の不況期で業績不振に喘ぐ企業が増えています。その業績不振を打破すべく各企業経営者は日夜頭を悩ませていることだと思います。
その業績悪化を招いたのは経営者自身の問題でもありますが、一概に経営者だけの責任だと言えるのでしょうか?赤字決算は経営者だけの責任ではなく、社員個々の「無関心」が原因の一つとも考えられると思われます。社員一人一人が出来ること、その事をよく考えて個々が実行すれば業績不振を脱出する一つの手段になるかもしれません。
なぜ業績不振なのかを社員に理解させるためには
情報公開 → 現状把握・認識 → 危機感の共有化
これがポイントになってくると思います。
情報公開とは、会社の損益計算書の公開です。損益計算書の中身を知ることにより会社の現状がわかり、認識することができます。認識することにより危機感を共有することができます。
同じ意識を持って同じ方向にオールを漕ぐことが重要で、一人でも違った方向に漕いで行くものがいれば前には進みません。そのためにもまずは情報公開がポイントになってくるのです。
情報公開の損益計算書の構造、経費の意味、などを理解することが重要で、理解した上で目標をたてる事が大事です。
損益計算書の中で最も重要視されるのは「営業利益」だと思います。簡単に言うと会社がいくら儲かったかが一目でわかる数字だからです。しかし、以外にもこの数字をあまり意識していない、理解していないケースが多く、どうしても売上のような目に見える数字ばかりに目が言ってしまっているみたいです。逆に言うとこの「営業利益」を社員一人一人が把握している企業は業績がよい場合が多いみたいです。
しかし、情報公開し「営業利益」も把握させていると言っている企業でも社員個々が本当に理解しているかどうかは別です。自分は「言った」つもりでも相手が「聞いた」かどうかはわかりません。「(相手が)聞いた」と思っても、相手が「理解した」かどうかはわかりません。「(相手が)理解した」と思っても、「納得した」かどうかはわかりません。「(相手が)納得した」と思っても、相手が「実行する」かどうかはわかりません。
目標設定や目標管理においても、このプロセスをしっかり把握することが重要です。会社の目標数値なども、その意味をしっかりと理解させ、納得させなければその目標に向かって頑張るわけがないのです。
意味をしっかりと理解させる事ができれば社員個々も自分は今何をやるべきかが明確になり、取り組みやすくなると思います。その個々の小さな積み重ねこそが業績改善の第一歩だと思います。
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その業績悪化を招いたのは経営者自身の問題でもありますが、一概に経営者だけの責任だと言えるのでしょうか?赤字決算は経営者だけの責任ではなく、社員個々の「無関心」が原因の一つとも考えられると思われます。社員一人一人が出来ること、その事をよく考えて個々が実行すれば業績不振を脱出する一つの手段になるかもしれません。
なぜ業績不振なのかを社員に理解させるためには
情報公開 → 現状把握・認識 → 危機感の共有化
これがポイントになってくると思います。
情報公開とは、会社の損益計算書の公開です。損益計算書の中身を知ることにより会社の現状がわかり、認識することができます。認識することにより危機感を共有することができます。
同じ意識を持って同じ方向にオールを漕ぐことが重要で、一人でも違った方向に漕いで行くものがいれば前には進みません。そのためにもまずは情報公開がポイントになってくるのです。
情報公開の損益計算書の構造、経費の意味、などを理解することが重要で、理解した上で目標をたてる事が大事です。
損益計算書の中で最も重要視されるのは「営業利益」だと思います。簡単に言うと会社がいくら儲かったかが一目でわかる数字だからです。しかし、以外にもこの数字をあまり意識していない、理解していないケースが多く、どうしても売上のような目に見える数字ばかりに目が言ってしまっているみたいです。逆に言うとこの「営業利益」を社員一人一人が把握している企業は業績がよい場合が多いみたいです。
しかし、情報公開し「営業利益」も把握させていると言っている企業でも社員個々が本当に理解しているかどうかは別です。自分は「言った」つもりでも相手が「聞いた」かどうかはわかりません。「(相手が)聞いた」と思っても、相手が「理解した」かどうかはわかりません。「(相手が)理解した」と思っても、「納得した」かどうかはわかりません。「(相手が)納得した」と思っても、相手が「実行する」かどうかはわかりません。
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文責 経理サポート部
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09年06月25日
悩ましい?後継者問題〜病医院編
一般企業の経営者の事業承継に対する関心の高まりと同様に、病医院の先生方における事業承継のニーズの高さを最近感じるようになりました。厚生労働省の調査によると、平成19年の開業医の平均年齢は59.4歳となっており、近年は高い水準で推移しています。団塊の世代の退職と同様に、病医院の先生方も次世代へのバトンタッチを考えなくてはならない時期に突入しているのです。
病医院における事業承継を専門的には『医業承継』といいます。あくまで私見ですが、医業承継対策を行う目的は、病医院の永続的な存続へ向けた布石と考えます。つまり、院長先生のご家族や従業員、そして何よりも患者さんからの信頼をバトンタッチしていく第一段階なのです。
当社が行う医業承継対策においては、先ず承継対策の全体スケジュールを作成します。この場合に、後継者がいるのかいないのか? また、誰が後継者となるのか? という事が最も悩ましい問題となります。
「後継者がいれば安泰」というわけではありません。医業ほど専門特化した職種は他に存在せず、例えば、後継者が専門としている診療科目が存在しないとか、診療科目はあるが施設に難がある場合などが殆どです。医業承継対策においては、後継者がいる=1.人材の確保 2.診療環境の整備 の両方を満たしていることとなります。これがブレると、承継対策自体が揺らいでしまい、全てが絵に描いた餅となります。医業承継における後継者問題の重要性は、一般企業におけるそれと比べて、遥かにウェイトの高いものとなります。
病医院の承継は後継者問題が解決しただけで完結するわけではありません。今回は敢えて最もデリケートな問題である後継者問題に触れましたが、承継を口にすることすらタブーの医療業界。誰にも相談できずに悩んでおられる先生がおられましたら、是非当社医業部までご相談下さい。
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病医院における事業承継を専門的には『医業承継』といいます。あくまで私見ですが、医業承継対策を行う目的は、病医院の永続的な存続へ向けた布石と考えます。つまり、院長先生のご家族や従業員、そして何よりも患者さんからの信頼をバトンタッチしていく第一段階なのです。
当社が行う医業承継対策においては、先ず承継対策の全体スケジュールを作成します。この場合に、後継者がいるのかいないのか? また、誰が後継者となるのか? という事が最も悩ましい問題となります。
「後継者がいれば安泰」というわけではありません。医業ほど専門特化した職種は他に存在せず、例えば、後継者が専門としている診療科目が存在しないとか、診療科目はあるが施設に難がある場合などが殆どです。医業承継対策においては、後継者がいる=1.人材の確保 2.診療環境の整備 の両方を満たしていることとなります。これがブレると、承継対策自体が揺らいでしまい、全てが絵に描いた餅となります。医業承継における後継者問題の重要性は、一般企業におけるそれと比べて、遥かにウェイトの高いものとなります。
病医院の承継は後継者問題が解決しただけで完結するわけではありません。今回は敢えて最もデリケートな問題である後継者問題に触れましたが、承継を口にすることすらタブーの医療業界。誰にも相談できずに悩んでおられる先生がおられましたら、是非当社医業部までご相談下さい。
文責 医業部
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09年06月22日
親御さん!間違った対策していませんか?
日頃から、相続を取り扱う資産税部では、様々な相続に立ち会います。
最近は、被相続人・相続人の方々もよく勉強されているなぁ、と感心させられることも多く、ご自分たちで様々な対策を行われている方たちもいらっしゃいます。しかしながら、あらら・・・?というようなこともしばしばです。
例えば、ご両親が贈与を行っているようなケース。年間110万円までの贈与は『非課税』、生活費の援助なども贈与の対象にはならない、と、ちまたに売られている本には書いてあります。
本当でしょうか?
こんなケースがあります。生活費の援助は贈与の対象にならないので、月10万円ずつもらっていました。そして、年間110万円までの贈与は非課税なので、年末に110万円両親の口座から子の口座へ振込みました。そして、将来のために両親からもらったお金は一銭も使わずに専用通帳に貯蓄しています。といったケースです。
一銭も使わずに、貯蓄するだけの余裕があるのならば、『生活費の援助』に該当しない可能性があるのです。そうすると、年間の贈与は230万円になり、贈与税の申告の必要があったということになります。
このようなことは、主に相続税申告の税務調査で指摘される事項になります。『税務署が何も言ってこないから認められている』と思い込むのは禁物です。本当に『生活費の援助』だということを証明できるような資料を備えておくことが安心となります。
ぜひ、今一度ご自分の対策が大丈夫なのかご確認ください。
多額の相続税がかかることが見込まれる方は、事前に相続人となる方々に、お話をしてもめないようにしてさしあげてください。それが、家族に対する最後のプレゼントになるのですから。
私たちは、単純に税金を安くするだけでなくそのご家族にあった相続のお手伝いをさせていただいております。ぜひ、お気軽にご相談ください。
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本当でしょうか?
こんなケースがあります。生活費の援助は贈与の対象にならないので、月10万円ずつもらっていました。そして、年間110万円までの贈与は非課税なので、年末に110万円両親の口座から子の口座へ振込みました。そして、将来のために両親からもらったお金は一銭も使わずに専用通帳に貯蓄しています。といったケースです。
一銭も使わずに、貯蓄するだけの余裕があるのならば、『生活費の援助』に該当しない可能性があるのです。そうすると、年間の贈与は230万円になり、贈与税の申告の必要があったということになります。
このようなことは、主に相続税申告の税務調査で指摘される事項になります。『税務署が何も言ってこないから認められている』と思い込むのは禁物です。本当に『生活費の援助』だということを証明できるような資料を備えておくことが安心となります。
ぜひ、今一度ご自分の対策が大丈夫なのかご確認ください。
多額の相続税がかかることが見込まれる方は、事前に相続人となる方々に、お話をしてもめないようにしてさしあげてください。それが、家族に対する最後のプレゼントになるのですから。
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文責 資産税部
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09年06月15日
事業承継とは
私見たっぷりなのですが、事業承継とは、会社社長が、
(1)会社から離れて「自由」になること、そのために、
(2)会社に蓄積させてきた利益を社長に「還元」すること
だと考えています。
具体的には、
(1)長年経営を行い、会社のことしか考えなかった社長が、会社から離れて自由になる、そのために、「役職(取締役等)」を手放し、「株式」も手放します。
(2)その見返りに、手切れ金のような形で、退職金等の資金を手にすることができます。それによって、ますます会社から離れて自由になり、今までとは違った生活ができるようになります。
(本当は、(1)、(2)ができるようになるまでが事業としては大変なのですが、ここではその過程については触れません)
その観点からみると、事業承継対策の大きな柱である、
○社長への退職金の支給
○金庫株(会社が、社長保有の自社株式を購入)
○M&A(社長が保有株式を第三者に売却、MBO等)
は、いずれも、上記の「自由」「還元」の要素を満たしています。
その他の対策、一例ですが、
○生前贈与
○株式評価減対策
○持株会等の親族以外への一部譲渡
○遺留分対策 等は、
「自由」「還元」の要素の一部を満たす方法といえます。
先日も、創業社長の奥様とお話しする機会がありました。夫の事業が成功し息子さん夫婦が会社を継いで、会社は安泰ですが、会社株式と金融資産は創業社長夫婦がお持ちとのことです。その奥様は「会社の株式とお金はいずれ息子夫婦に渡すことになるのは判っています。でも、私達の今までの苦労を考えたら、息子といえどもすんなりと渡すものか、というのが本音なんです」と言われていました。この方の場合も、創業社長夫婦に対する「自由」「還元」をキッチリと形にしたうえで、一方、将来発生する相続税の負担を軽くするという考え方で、じっくりと相談させて頂く必要があると思います。
さて、今年の税制改正で、「相続税、贈与税の8割納税猶予制度」が制定されました。この制度は「十分に検討の価値のある制度」とは考えていますが、「自由」「還元」の要素は満たしていません。創業社長に8割納税猶予の話をするとすんなりと満面の笑みでこの方法を選択する方は少ないのですが、その理由はこんなところにあるのかも知れません。そういう意味では、事業承継対策は、8割納税猶予だけで終わらず、「自由」「還元」の要素を満たす方法を併せて行う必要があると思います。
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(1)会社から離れて「自由」になること、そのために、
(2)会社に蓄積させてきた利益を社長に「還元」すること
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具体的には、
(1)長年経営を行い、会社のことしか考えなかった社長が、会社から離れて自由になる、そのために、「役職(取締役等)」を手放し、「株式」も手放します。
(2)その見返りに、手切れ金のような形で、退職金等の資金を手にすることができます。それによって、ますます会社から離れて自由になり、今までとは違った生活ができるようになります。
(本当は、(1)、(2)ができるようになるまでが事業としては大変なのですが、ここではその過程については触れません)
その観点からみると、事業承継対策の大きな柱である、
○社長への退職金の支給
○金庫株(会社が、社長保有の自社株式を購入)
○M&A(社長が保有株式を第三者に売却、MBO等)
は、いずれも、上記の「自由」「還元」の要素を満たしています。
その他の対策、一例ですが、
○生前贈与
○株式評価減対策
○持株会等の親族以外への一部譲渡
○遺留分対策 等は、
「自由」「還元」の要素の一部を満たす方法といえます。
先日も、創業社長の奥様とお話しする機会がありました。夫の事業が成功し息子さん夫婦が会社を継いで、会社は安泰ですが、会社株式と金融資産は創業社長夫婦がお持ちとのことです。その奥様は「会社の株式とお金はいずれ息子夫婦に渡すことになるのは判っています。でも、私達の今までの苦労を考えたら、息子といえどもすんなりと渡すものか、というのが本音なんです」と言われていました。この方の場合も、創業社長夫婦に対する「自由」「還元」をキッチリと形にしたうえで、一方、将来発生する相続税の負担を軽くするという考え方で、じっくりと相談させて頂く必要があると思います。
さて、今年の税制改正で、「相続税、贈与税の8割納税猶予制度」が制定されました。この制度は「十分に検討の価値のある制度」とは考えていますが、「自由」「還元」の要素は満たしていません。創業社長に8割納税猶予の話をするとすんなりと満面の笑みでこの方法を選択する方は少ないのですが、その理由はこんなところにあるのかも知れません。そういう意味では、事業承継対策は、8割納税猶予だけで終わらず、「自由」「還元」の要素を満たす方法を併せて行う必要があると思います。
文責 事業承継部
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09年06月15日
交際費について
今回の税制改正(案)のひとつに交際費の損金不算入限度額(定額控除額)の変更があります。
皆様ご承知のとおり400万円から600万円に引き上げられます。
そこで今更ですが、もう一度、交際費について確認をしたいと思います。
交際費等とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するものをいう。
交際費から除かれる費用
1.福利厚生費
専ら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行等のために通常要する費用
2.飲食その他これに類する行為のために要する費用
その支出する金額が一人当たり5,000円以下のもの(専らその法人の役員若しくは従業員又はこれらの親族に対する接待等のために支出するものを除く)(別途、書類を作成する必要があります。)
3.広告宣伝費
カレンダー、手帳、扇子、うちわ、手ぬぐい、その他これらに類する物品を贈与するために通常要する費用
4.会議費
会議に関連して、茶菓、弁当、その他これらに類する飲食物を供与するために津常用する費用
5.取材費
新聞、雑誌等の出版物又は放送番組を編集するために行われる座談会その他、記事収集のために、又は放送のための取材に通常要する費用
交際費は「該当する」もの「該当しない」のもの判断が極めて難しい項目のひとつです。企業側の経理で交際費処理をしている、していないに拘らず、交際費課税の計算を行います。つまり勘定科目ではなく実質の判断となります。
上記以外にも細かな規定がありますので、ご不明な点は税理士にご確認ください。
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交際費から除かれる費用
1.福利厚生費
専ら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行等のために通常要する費用
2.飲食その他これに類する行為のために要する費用
その支出する金額が一人当たり5,000円以下のもの(専らその法人の役員若しくは従業員又はこれらの親族に対する接待等のために支出するものを除く)(別途、書類を作成する必要があります。)
3.広告宣伝費
カレンダー、手帳、扇子、うちわ、手ぬぐい、その他これらに類する物品を贈与するために通常要する費用
4.会議費
会議に関連して、茶菓、弁当、その他これらに類する飲食物を供与するために津常用する費用
5.取材費
新聞、雑誌等の出版物又は放送番組を編集するために行われる座談会その他、記事収集のために、又は放送のための取材に通常要する費用
交際費は「該当する」もの「該当しない」のもの判断が極めて難しい項目のひとつです。企業側の経理で交際費処理をしている、していないに拘らず、交際費課税の計算を行います。つまり勘定科目ではなく実質の判断となります。
上記以外にも細かな規定がありますので、ご不明な点は税理士にご確認ください。
文責 北九州支店
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09年06月11日
棚卸資産の税務
税務調査において問題となるこの多い棚卸資産に係わる税務について、国税不服審判所の裁決事例に参考となる事例が有りましたので、参考として御紹介致します。
平15.3.11裁決、裁決事例集No.65 376頁)
________________________________________
《裁決書(抄)》
1 事実
(1)事案の概要
本件は、婦人服販売業を営む同族会社である審査請求人(以下「請求人」という。)に対する法人税の更正処分等について、〔1〕原処分庁の調査手続等に違法があったか否か及び〔2〕請求人が帳簿から除外した期末たな卸商品についての評価損が認められるか否かを主たる争点とする事案である。
(2)審査請求に至る経緯
イ 請求人は、平成11年6月25日から平成12年5月31日まで及び平成12年6月1日から平成13年5月31日までの各事業年度(以下、順次「平成12年5月期」及び「平成13年5月期」といい、併せて「本件各事業年度」という。)の法人税の青色の確定申告書に別表の「確定申告」欄のとおり記載して申告した。
ロ 原処分庁は、所属の調査担当職員(以下「調査担当職員」という。)の調査(以下「本件調査」という。)に基づき、平成14年3月20日付で、平成12年5月期以後の法人税の青色申告の承認の取消処分(以下「本件青色取消処分」という。)を行うとともに、同年3月22日付で、本件各事業年度について、別表の「更正処分等」欄のとおりとする法人税の各更正処分並びに過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分をした。
ハ 請求人は、これらの処分を不服として、平成14年5月7日に異議申立てをしたところ、異議審理庁は、同年7月29日付で、本件青色取消処分については棄却し、過少申告加算税の賦課決定処分については全部を取り消し、それ以外の処分については、別表の「異議決定」欄のとおり、その一部を取り消す旨の異議決定をした。
ニ 請求人は、異議決定を経た後の処分(以下、法人税の各更正処分を「本件各更正処分」、重加算税の各賦課決定処分を「本件各賦課決定処分」という。)に不服があるとして、平成14年8月28日に審査請求をした。
(3)関係法令等
イ 法人税法第29条《たな卸資産の売上原価等の計算及びその評価の方法》第1項は、内国法人が事業年度終了の時において有するたな卸資産の価額について、その内国法人が選定した評価の方法により評価した金額とする旨規定している。
ロ 法人税法第33条《資産の評価損の損金不算入等》第2項は、内国法人の有する資産につき災害による著しい損傷その他の政令で定める事実が生じたことにより、当該資産の価額がその帳簿価額を下回ることとなった場合において、その内国法人が当該資産の評価換えをして損金経理によりその帳簿価額を減額したときは、その減額した部分の金額のうち、その評価換えの直前の当該資産の帳簿価額とその評価換えをした日の属する事業年度終了の時における当該資産の価額との差額に達するまでの金額は、当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する旨規定している。
ハ 法人税法第126条《青色申告法人の帳簿書類》第1項は、同法第121条《青色申告》第1項又は第2項の承認を受けている内国法人は、財務省令で定めるところにより、帳簿書類を備え付けてこれにその取引を記録し、かつ、当該帳簿書類を保存しなければならない旨規定している。
また、法人税法第127条《青色申告の承認の取消し》第1項第3号は、同法第121条第1項の承認を受けた内国法人につき、その事業年度に係る帳簿書類に取引の全部又は一部を隠ぺいし又は仮装して記載し、その他その記載事項の全体についてその真実性を疑うに足りる相当の理由がある場合には、納税地の所轄税務署長は、当該事業年度までさかのぼって、その承認を取り消すことができる旨規定している。
(4)基礎事実
以下の事実は、請求人及び原処分庁の双方に争いがなく、当審判所の調査によっても、その事実が認められる。
イ 請求人は、平成11年6月25日に設立された法人であるが、平成11年7月14日に、原処分庁に対して、法人税法第122条《青色申告の承認の申請》に規定する青色申告の承認申請書を提出し、平成12年5月期以後の法人税の青色申告の承認を受けた。
また、請求人は、上記申請書と同時に、法人税法第29条第1項に規定するたな卸資産の評価の方法を法人税法施行令第28条《棚卸資産の評価の方法》第1項第1号のトに規定する最終仕入原価法とする旨の「たな卸資産の評価方法の届出書」を提出した。
ロ 請求人は、平成12年5月期の期末たな卸商品の価額が11,819,266円、平成13年5月期の同価額が33,905,590円であったとして、本件各事業年度の法人税の確定申告をした。
ハ 原処分庁は、請求人が期末たな卸商品の一部を帳簿から除外(その価額は、平成12年5月期が96,608,834円、平成13年5月期が203,257,690円であり、各除外されたたな卸商品を併せて「本件除外たな卸商品」という。)しており、このため、本件各事業年度の売上原価が過大であったと認定した。
2 主張
(1)請求人
原処分は、次の理由により違法であるから、その全部の取消しを求める。
イ 本件各更正処分
(イ)本件各更正処分は、以下のとおり、適切な行政指導を怠ったままでなされたものであるから、違法である。
A 本件除外たな卸商品は、売れ残った季節商品であり、その販売価格は、仕入価格の3分の1程度まで下落している。
このため、請求人は、本件調査において、調査担当職員に対して、本件除外たな卸商品は、販売可能な価格で評価すべきものであると説明したにもかかわらず、原処分庁は、これを仕入価格で評価し、一方的に本件各更正処分を行った。
B 請求人の親会社である有限会社Jに対する過去の税務調査では、何度も問題点等についての話合いをし、その上で修正申告書を提出してきたが、本件調査の調査担当職員は、請求人の事務所にわずか2回しか臨場せず、請求人と十分な話合いもしなかった。
C また、調査担当職員は、翌事業年度の正規の会計処理による本件除外たな卸商品に係る評価損及びK株式会社(以下「K社」という。)への売掛債権に係る貸倒損失の処理方法や、それに伴って法人税申告が赤字になった場合の青色申告の欠損金繰戻しによる法人税の還付制度(以下「欠損繰戻し還付制度」という。)等の請求人の質問に対して、十分な説明と指導をしなかった。
(ロ)請求人が、平成13年5月期に除外した期末たな卸商品を翌事業年度以降に販売した際、その販売価格が仕入価格を下回ったこともあるので、評価損を計上すべき事実がある。
したがって、平成13年5月期に除外されたたな卸商品は、原処分庁が評価した203,257,690円とするのではなく、販売可能な価格により算定した金額である84,400,000円と評価すべきである。
ロ 本件各賦課決定処分
本件各賦課決定処分は、上記イの本件各更正処分と同様、適切な行政指導を怠ったままでなされた違法なものであるから、その全部が取り消されるべきである。
ハ 本件青色取消処分
本件青色取消処分もまた、適切な行政指導を怠ったままでなされた違法なものであるから、取り消されるべきである。
(2)原処分庁
原処分は、次の理由により適法であるから、審査請求をいずれも棄却するとの裁決を求める。
イ 本件各更正処分
(イ)請求人は、本件各事業年度において、期末たな卸商品の一部を帳簿から除外して法人税の確定申告をしており、請求人の代表取締役であるL(以下「L社長」という。)及び経理担当のM(以下「M」という。)もその事実を認めている。
このため、請求人は、上記確定申告において、売上原価を過大に計上していたことになるから、本件除外たな卸商品の価額を本件各事業年度の請求人の所得金額に加算すべきであり、本件各更正処分は適法である。
(ロ)これに対して、請求人は、本件各更正処分は、適切な行政指導を怠ったままでなされており違法である旨主張する。
しかしながら、原処分庁は、以下のとおり、L社長、M及び顧問税理士に対して、調査で問題となった項目について説明し、指導した上で当該処分を行っているから、違法となる事実はない。
A 調査担当職員は、請求人の事務所へ2回臨場した後、約1か月の間、請求人に対して、電話で何度も、本件調査で問題となった期末たな卸商品の除外についての説明を行うとともに、請求人が主張する当該たな卸商品に係る評価損の計上及びその時期についても説明した。
B その後、調査担当職員は、3回目の臨場を行い、請求人に対して、上記Aと同様の説明を行った。
C また、調査担当職員は、K社に対する売掛債権の貸倒損失の処理についても、その計上時期を十分に説明しており、また、顧問税理士から質問のあった青色申告の欠損繰戻し還付制度についても、適切に説明している。
(ハ)請求人は、異議申立ての段階で、平成13年5月期に除外した期末たな卸商品には評価損が発生していたとして、その評価額を84,400,000円とする在庫表を提示したが、当該商品は、翌事業年度以降に仕入価格以上で販売されているから、評価損の計上はできない。
また、資産の評価損の計上については、災害による著しい損傷その他の政令で定める事実が生じた場合に、当該資産の評価換えをして損金経理によりその帳簿価額を減額したときに限って認められるところ、本件除外たな卸商品は、損金経理による帳簿価額の減額がされていないから、請求人の主張する評価額によって計上することはできない。
ロ 本件各賦課決定処分
請求人は、期末たな卸商品の一部を帳簿から除外して、法人税の確定申告をしており、このことは、国税通則法(以下「通則法」という。)第68条《重加算税》第1項に規定する「納税義務者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠ぺいし、又は仮装し、その隠ぺいし、又は仮装したところに基づき納税申告書を提出したこと」に該当するから、本件各賦課決定処分は適法である。
ハ 本件青色取消処分
請求人は、期末たな卸商品の一部を帳簿から除外して、法人税の確定申告をしており、このことは、法人税法第127条第1項第3号に規定する「帳簿書類の記載事項の全体についてその真実性を疑うに足りる相当な理由があること」に該当するから、本件青色取消処分は適法である。
3 判断
(1)本件各更正処分
イ 請求人提出資料、原処分関係資料及び当審判所の調査によれば、次の事実が認められる。
(イ)原処分庁の本件調査から本件各更正処分までの経緯及び内容は、大要以下のとおりである。
A 調査担当職員は、平成14年1月23日に、請求人の事務所に臨場し、N株式会社(以下「N社」という。)が請求人から委託されて保管する商品は、本件各事業年度の終了時点において、帳簿に計上されていないことを確認した。
B L社長は、調査担当職員の質問に対して、平成13年5月期の期末たな卸商品を除外するようMに指示したこと及び平成12年5月期においても同様のことをしていたことを認めた。
また、この時に、L社長は、調査担当職員に対して、資金繰りが悪化しており、修正申告には応じられない旨申し立てた。
C その後、調査担当職員は、L社長に対して、今回の不正経理が青色申告の承認の取消事由に該当すること及び期末たな卸商品の除外について、法人税の更正処分をすることを連絡した。
D 原処分庁は、本件除外たな卸商品の最終の仕入価格を基礎として、本件各事業年度の期末たな卸商品の価額を算定し、本件各更正処分をした。
(ロ)L社長は、当審判所に対して、以下のとおり答述した。
A たな卸商品は、毎月、Mがパソコンで管理しており、N社へ預けていた在庫商品についても、同社から送付されてくる商品入出庫管理表で確認しパソコンに入力している。なお、本件除外たな卸商品は、このN社へ預けていたものである。
B 平成13年5月期の実際の期末たな卸商品の価額が237,163,280円であることを認識していたが、当時、K社に対する売掛金が回収不能な状況にあり、納税資金が不足したことから、N社への預け在庫(203,257,690円)を期末たな卸商品から除外するようMに指示したものであり、そのため、Mは、当該除外金額を差し引いた後のたな卸表(金額は、33,905,590円。)を作成し、これに基づいて確定申告をした。
C 平成13年5月期に除外した期末たな卸商品の評価損は、当該事業年度の帳簿及び決算書に計上していない。
ロ 前記1の(3)のイの規定に同(4)のイの基礎事実及び上記イの各認定事実を照らして見ると、請求人においては、本件各事業年度の終了時に有するたな卸商品を、期末たな卸商品として最終仕入原価法により帳簿に計上すべきところ、請求人の関係者は、虚偽のたな卸表を作成するなどの方法によって、その大部分を除外し、本件各事業年度の決算書等を作成していたことが明らかである。
そして、原処分庁は、上記イの(イ)のDのとおり、各商品の仕入価格を基礎として、本件除外たな卸商品の価額を算定し、本件各更正処分をしたことが認められる。
ハ これに対し、請求人は、原処分庁が十分な話合いもせず、一方的に本件各更正処分をするなど、適切な行政指導を怠っているから、当該各更正処分が違法である旨主張する。
しかしながら、上記イの(イ)のとおり、調査担当職員は、請求人の事務所に臨場した際、本件各事業年度の期末たな卸商品の大部分が帳簿から除外されていたことを確認し、請求人の代表者であるL社長も当該除外の事実を認めたため、原処分庁は、請求人が本件各事業年度の確定申告書に記載した課税標準等及び税額等が、本件調査をしたところと異なっていたとして、通則法第24条《更正》の規定に基づいて本件各更正処分を行ったことが認められる。
また、本件調査の過程に違法となるような事実は認められず、当審判所が調査したところによっても、本件各更正処分に至る過程において、当該各更正処分を取り消すべき重大な瑕疵があったとは認められない。
さらに、課税庁が更正を行うに当たり、納税者等と話合いをし、かつ、同意を得なければならないことを定めた法令上の規定はないから、原処分庁が一方的に本件更正処分をしたことは違法であるとする請求人の主張には理由がない。
ニ なお、請求人は、上記ハに関連して、調査担当職員が、貸倒損失の処理や青色申告の欠損繰戻し還付制度について、適切な指導をしなかった旨主張する。
しかしながら、調査担当職員が適切な指導をしなかったかどうかということは、本件各更正処分が適法か否かの判断に何らの影響を及ぼすものではないから、当該指導の内容を確認するまでもなく、この点に関する請求人の主張は、採用することができない。
ホ また、請求人は、平成13年5月期に除外した期末たな卸商品については、評価損を計上すべき事実があるので、販売可能な価格により算定した金額で評価されるべきである旨主張する。
しかしながら、請求人は、上記ロの認定のとおり、本件各事業年度の終了時に計上すべき期末たな卸商品の大部分を帳簿から除外しているところ、この除外されたたな卸商品については、法人税法第33条に規定する評価換えをして、損金経理によりその帳簿価額を減額していないことから、当該たな卸商品に係る評価損を損金の額に算入するための要件を満たしているとはいえず、販売可能な価格での評価はできない。
したがって、この点に関する請求人の主張は採用することができない。
ヘ 以上のことから、本件各事業年度の請求人の所得金額に本件除外たな卸商品の金額を加算してされた本件各更正処分は、適法である。
(2)本件各賦課決定処分
請求人は、上記(1)のロのとおり、本件各事業年度の期末たな卸商品の大部分を帳簿から除外して法人税の各確定申告書を提出しており、このことは、通則法第68条第1項に規定する「納税義務者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠ぺいし、又は仮装し、その隠ぺいし、又は仮装したところに基づき納税申告書を提出したこと」に該当するから、その隠ぺいし、又は仮装した事実に係る部分の税額に対して、同項の規定に基づいて重加算税を課したことは適法である。
なお、請求人は、原処分庁が適正な行政指導を怠ったまま行った本件各賦課決定処分は取り消されるべきである旨主張するが、この点については、上記(1)のハにおいて述べたとおりであるから、請求人の主張には理由がない。
(3)本件青色取消処分
請求人は、前記(1)のロのとおり、本件各事業年度の期末たな卸商品の大部分を帳簿から除外して法人税の各確定申告書を提出しており、このことは、法人税法第127条第1項第3号に規定する青色申告の承認の取消事由に該当するから、原処分庁が本件青色取消処分をしたことは適法である。
なお、請求人は、原処分庁が適切な行政指導を怠ったまま行った本件青色取消処分は取り消されるべきである旨主張するが、この点については、前記(1)のハにおいて述べたとおりであるから、請求人の主張には理由がない。
(4)原処分のその他の部分については、請求人は争わず、当審判所に提出された証拠資料によっても、これを不相当とする理由は認められない。
以上 棚卸資産の税務上の裁決事例を紹介致しました。損金経理等、期末における会計・税務の参考になれば幸いです。
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平15.3.11裁決、裁決事例集No.65 376頁)
________________________________________
《裁決書(抄)》
1 事実
(1)事案の概要
本件は、婦人服販売業を営む同族会社である審査請求人(以下「請求人」という。)に対する法人税の更正処分等について、〔1〕原処分庁の調査手続等に違法があったか否か及び〔2〕請求人が帳簿から除外した期末たな卸商品についての評価損が認められるか否かを主たる争点とする事案である。
(2)審査請求に至る経緯
イ 請求人は、平成11年6月25日から平成12年5月31日まで及び平成12年6月1日から平成13年5月31日までの各事業年度(以下、順次「平成12年5月期」及び「平成13年5月期」といい、併せて「本件各事業年度」という。)の法人税の青色の確定申告書に別表の「確定申告」欄のとおり記載して申告した。
ロ 原処分庁は、所属の調査担当職員(以下「調査担当職員」という。)の調査(以下「本件調査」という。)に基づき、平成14年3月20日付で、平成12年5月期以後の法人税の青色申告の承認の取消処分(以下「本件青色取消処分」という。)を行うとともに、同年3月22日付で、本件各事業年度について、別表の「更正処分等」欄のとおりとする法人税の各更正処分並びに過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分をした。
ハ 請求人は、これらの処分を不服として、平成14年5月7日に異議申立てをしたところ、異議審理庁は、同年7月29日付で、本件青色取消処分については棄却し、過少申告加算税の賦課決定処分については全部を取り消し、それ以外の処分については、別表の「異議決定」欄のとおり、その一部を取り消す旨の異議決定をした。
ニ 請求人は、異議決定を経た後の処分(以下、法人税の各更正処分を「本件各更正処分」、重加算税の各賦課決定処分を「本件各賦課決定処分」という。)に不服があるとして、平成14年8月28日に審査請求をした。
(3)関係法令等
イ 法人税法第29条《たな卸資産の売上原価等の計算及びその評価の方法》第1項は、内国法人が事業年度終了の時において有するたな卸資産の価額について、その内国法人が選定した評価の方法により評価した金額とする旨規定している。
ロ 法人税法第33条《資産の評価損の損金不算入等》第2項は、内国法人の有する資産につき災害による著しい損傷その他の政令で定める事実が生じたことにより、当該資産の価額がその帳簿価額を下回ることとなった場合において、その内国法人が当該資産の評価換えをして損金経理によりその帳簿価額を減額したときは、その減額した部分の金額のうち、その評価換えの直前の当該資産の帳簿価額とその評価換えをした日の属する事業年度終了の時における当該資産の価額との差額に達するまでの金額は、当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する旨規定している。
ハ 法人税法第126条《青色申告法人の帳簿書類》第1項は、同法第121条《青色申告》第1項又は第2項の承認を受けている内国法人は、財務省令で定めるところにより、帳簿書類を備え付けてこれにその取引を記録し、かつ、当該帳簿書類を保存しなければならない旨規定している。
また、法人税法第127条《青色申告の承認の取消し》第1項第3号は、同法第121条第1項の承認を受けた内国法人につき、その事業年度に係る帳簿書類に取引の全部又は一部を隠ぺいし又は仮装して記載し、その他その記載事項の全体についてその真実性を疑うに足りる相当の理由がある場合には、納税地の所轄税務署長は、当該事業年度までさかのぼって、その承認を取り消すことができる旨規定している。
(4)基礎事実
以下の事実は、請求人及び原処分庁の双方に争いがなく、当審判所の調査によっても、その事実が認められる。
イ 請求人は、平成11年6月25日に設立された法人であるが、平成11年7月14日に、原処分庁に対して、法人税法第122条《青色申告の承認の申請》に規定する青色申告の承認申請書を提出し、平成12年5月期以後の法人税の青色申告の承認を受けた。
また、請求人は、上記申請書と同時に、法人税法第29条第1項に規定するたな卸資産の評価の方法を法人税法施行令第28条《棚卸資産の評価の方法》第1項第1号のトに規定する最終仕入原価法とする旨の「たな卸資産の評価方法の届出書」を提出した。
ロ 請求人は、平成12年5月期の期末たな卸商品の価額が11,819,266円、平成13年5月期の同価額が33,905,590円であったとして、本件各事業年度の法人税の確定申告をした。
ハ 原処分庁は、請求人が期末たな卸商品の一部を帳簿から除外(その価額は、平成12年5月期が96,608,834円、平成13年5月期が203,257,690円であり、各除外されたたな卸商品を併せて「本件除外たな卸商品」という。)しており、このため、本件各事業年度の売上原価が過大であったと認定した。
2 主張
(1)請求人
原処分は、次の理由により違法であるから、その全部の取消しを求める。
イ 本件各更正処分
(イ)本件各更正処分は、以下のとおり、適切な行政指導を怠ったままでなされたものであるから、違法である。
A 本件除外たな卸商品は、売れ残った季節商品であり、その販売価格は、仕入価格の3分の1程度まで下落している。
このため、請求人は、本件調査において、調査担当職員に対して、本件除外たな卸商品は、販売可能な価格で評価すべきものであると説明したにもかかわらず、原処分庁は、これを仕入価格で評価し、一方的に本件各更正処分を行った。
B 請求人の親会社である有限会社Jに対する過去の税務調査では、何度も問題点等についての話合いをし、その上で修正申告書を提出してきたが、本件調査の調査担当職員は、請求人の事務所にわずか2回しか臨場せず、請求人と十分な話合いもしなかった。
C また、調査担当職員は、翌事業年度の正規の会計処理による本件除外たな卸商品に係る評価損及びK株式会社(以下「K社」という。)への売掛債権に係る貸倒損失の処理方法や、それに伴って法人税申告が赤字になった場合の青色申告の欠損金繰戻しによる法人税の還付制度(以下「欠損繰戻し還付制度」という。)等の請求人の質問に対して、十分な説明と指導をしなかった。
(ロ)請求人が、平成13年5月期に除外した期末たな卸商品を翌事業年度以降に販売した際、その販売価格が仕入価格を下回ったこともあるので、評価損を計上すべき事実がある。
したがって、平成13年5月期に除外されたたな卸商品は、原処分庁が評価した203,257,690円とするのではなく、販売可能な価格により算定した金額である84,400,000円と評価すべきである。
ロ 本件各賦課決定処分
本件各賦課決定処分は、上記イの本件各更正処分と同様、適切な行政指導を怠ったままでなされた違法なものであるから、その全部が取り消されるべきである。
ハ 本件青色取消処分
本件青色取消処分もまた、適切な行政指導を怠ったままでなされた違法なものであるから、取り消されるべきである。
(2)原処分庁
原処分は、次の理由により適法であるから、審査請求をいずれも棄却するとの裁決を求める。
イ 本件各更正処分
(イ)請求人は、本件各事業年度において、期末たな卸商品の一部を帳簿から除外して法人税の確定申告をしており、請求人の代表取締役であるL(以下「L社長」という。)及び経理担当のM(以下「M」という。)もその事実を認めている。
このため、請求人は、上記確定申告において、売上原価を過大に計上していたことになるから、本件除外たな卸商品の価額を本件各事業年度の請求人の所得金額に加算すべきであり、本件各更正処分は適法である。
(ロ)これに対して、請求人は、本件各更正処分は、適切な行政指導を怠ったままでなされており違法である旨主張する。
しかしながら、原処分庁は、以下のとおり、L社長、M及び顧問税理士に対して、調査で問題となった項目について説明し、指導した上で当該処分を行っているから、違法となる事実はない。
A 調査担当職員は、請求人の事務所へ2回臨場した後、約1か月の間、請求人に対して、電話で何度も、本件調査で問題となった期末たな卸商品の除外についての説明を行うとともに、請求人が主張する当該たな卸商品に係る評価損の計上及びその時期についても説明した。
B その後、調査担当職員は、3回目の臨場を行い、請求人に対して、上記Aと同様の説明を行った。
C また、調査担当職員は、K社に対する売掛債権の貸倒損失の処理についても、その計上時期を十分に説明しており、また、顧問税理士から質問のあった青色申告の欠損繰戻し還付制度についても、適切に説明している。
(ハ)請求人は、異議申立ての段階で、平成13年5月期に除外した期末たな卸商品には評価損が発生していたとして、その評価額を84,400,000円とする在庫表を提示したが、当該商品は、翌事業年度以降に仕入価格以上で販売されているから、評価損の計上はできない。
また、資産の評価損の計上については、災害による著しい損傷その他の政令で定める事実が生じた場合に、当該資産の評価換えをして損金経理によりその帳簿価額を減額したときに限って認められるところ、本件除外たな卸商品は、損金経理による帳簿価額の減額がされていないから、請求人の主張する評価額によって計上することはできない。
ロ 本件各賦課決定処分
請求人は、期末たな卸商品の一部を帳簿から除外して、法人税の確定申告をしており、このことは、国税通則法(以下「通則法」という。)第68条《重加算税》第1項に規定する「納税義務者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠ぺいし、又は仮装し、その隠ぺいし、又は仮装したところに基づき納税申告書を提出したこと」に該当するから、本件各賦課決定処分は適法である。
ハ 本件青色取消処分
請求人は、期末たな卸商品の一部を帳簿から除外して、法人税の確定申告をしており、このことは、法人税法第127条第1項第3号に規定する「帳簿書類の記載事項の全体についてその真実性を疑うに足りる相当な理由があること」に該当するから、本件青色取消処分は適法である。
3 判断
(1)本件各更正処分
イ 請求人提出資料、原処分関係資料及び当審判所の調査によれば、次の事実が認められる。
(イ)原処分庁の本件調査から本件各更正処分までの経緯及び内容は、大要以下のとおりである。
A 調査担当職員は、平成14年1月23日に、請求人の事務所に臨場し、N株式会社(以下「N社」という。)が請求人から委託されて保管する商品は、本件各事業年度の終了時点において、帳簿に計上されていないことを確認した。
B L社長は、調査担当職員の質問に対して、平成13年5月期の期末たな卸商品を除外するようMに指示したこと及び平成12年5月期においても同様のことをしていたことを認めた。
また、この時に、L社長は、調査担当職員に対して、資金繰りが悪化しており、修正申告には応じられない旨申し立てた。
C その後、調査担当職員は、L社長に対して、今回の不正経理が青色申告の承認の取消事由に該当すること及び期末たな卸商品の除外について、法人税の更正処分をすることを連絡した。
D 原処分庁は、本件除外たな卸商品の最終の仕入価格を基礎として、本件各事業年度の期末たな卸商品の価額を算定し、本件各更正処分をした。
(ロ)L社長は、当審判所に対して、以下のとおり答述した。
A たな卸商品は、毎月、Mがパソコンで管理しており、N社へ預けていた在庫商品についても、同社から送付されてくる商品入出庫管理表で確認しパソコンに入力している。なお、本件除外たな卸商品は、このN社へ預けていたものである。
B 平成13年5月期の実際の期末たな卸商品の価額が237,163,280円であることを認識していたが、当時、K社に対する売掛金が回収不能な状況にあり、納税資金が不足したことから、N社への預け在庫(203,257,690円)を期末たな卸商品から除外するようMに指示したものであり、そのため、Mは、当該除外金額を差し引いた後のたな卸表(金額は、33,905,590円。)を作成し、これに基づいて確定申告をした。
C 平成13年5月期に除外した期末たな卸商品の評価損は、当該事業年度の帳簿及び決算書に計上していない。
ロ 前記1の(3)のイの規定に同(4)のイの基礎事実及び上記イの各認定事実を照らして見ると、請求人においては、本件各事業年度の終了時に有するたな卸商品を、期末たな卸商品として最終仕入原価法により帳簿に計上すべきところ、請求人の関係者は、虚偽のたな卸表を作成するなどの方法によって、その大部分を除外し、本件各事業年度の決算書等を作成していたことが明らかである。
そして、原処分庁は、上記イの(イ)のDのとおり、各商品の仕入価格を基礎として、本件除外たな卸商品の価額を算定し、本件各更正処分をしたことが認められる。
ハ これに対し、請求人は、原処分庁が十分な話合いもせず、一方的に本件各更正処分をするなど、適切な行政指導を怠っているから、当該各更正処分が違法である旨主張する。
しかしながら、上記イの(イ)のとおり、調査担当職員は、請求人の事務所に臨場した際、本件各事業年度の期末たな卸商品の大部分が帳簿から除外されていたことを確認し、請求人の代表者であるL社長も当該除外の事実を認めたため、原処分庁は、請求人が本件各事業年度の確定申告書に記載した課税標準等及び税額等が、本件調査をしたところと異なっていたとして、通則法第24条《更正》の規定に基づいて本件各更正処分を行ったことが認められる。
また、本件調査の過程に違法となるような事実は認められず、当審判所が調査したところによっても、本件各更正処分に至る過程において、当該各更正処分を取り消すべき重大な瑕疵があったとは認められない。
さらに、課税庁が更正を行うに当たり、納税者等と話合いをし、かつ、同意を得なければならないことを定めた法令上の規定はないから、原処分庁が一方的に本件更正処分をしたことは違法であるとする請求人の主張には理由がない。
ニ なお、請求人は、上記ハに関連して、調査担当職員が、貸倒損失の処理や青色申告の欠損繰戻し還付制度について、適切な指導をしなかった旨主張する。
しかしながら、調査担当職員が適切な指導をしなかったかどうかということは、本件各更正処分が適法か否かの判断に何らの影響を及ぼすものではないから、当該指導の内容を確認するまでもなく、この点に関する請求人の主張は、採用することができない。
ホ また、請求人は、平成13年5月期に除外した期末たな卸商品については、評価損を計上すべき事実があるので、販売可能な価格により算定した金額で評価されるべきである旨主張する。
しかしながら、請求人は、上記ロの認定のとおり、本件各事業年度の終了時に計上すべき期末たな卸商品の大部分を帳簿から除外しているところ、この除外されたたな卸商品については、法人税法第33条に規定する評価換えをして、損金経理によりその帳簿価額を減額していないことから、当該たな卸商品に係る評価損を損金の額に算入するための要件を満たしているとはいえず、販売可能な価格での評価はできない。
したがって、この点に関する請求人の主張は採用することができない。
ヘ 以上のことから、本件各事業年度の請求人の所得金額に本件除外たな卸商品の金額を加算してされた本件各更正処分は、適法である。
(2)本件各賦課決定処分
請求人は、上記(1)のロのとおり、本件各事業年度の期末たな卸商品の大部分を帳簿から除外して法人税の各確定申告書を提出しており、このことは、通則法第68条第1項に規定する「納税義務者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠ぺいし、又は仮装し、その隠ぺいし、又は仮装したところに基づき納税申告書を提出したこと」に該当するから、その隠ぺいし、又は仮装した事実に係る部分の税額に対して、同項の規定に基づいて重加算税を課したことは適法である。
なお、請求人は、原処分庁が適正な行政指導を怠ったまま行った本件各賦課決定処分は取り消されるべきである旨主張するが、この点については、上記(1)のハにおいて述べたとおりであるから、請求人の主張には理由がない。
(3)本件青色取消処分
請求人は、前記(1)のロのとおり、本件各事業年度の期末たな卸商品の大部分を帳簿から除外して法人税の各確定申告書を提出しており、このことは、法人税法第127条第1項第3号に規定する青色申告の承認の取消事由に該当するから、原処分庁が本件青色取消処分をしたことは適法である。
なお、請求人は、原処分庁が適切な行政指導を怠ったまま行った本件青色取消処分は取り消されるべきである旨主張するが、この点については、前記(1)のハにおいて述べたとおりであるから、請求人の主張には理由がない。
(4)原処分のその他の部分については、請求人は争わず、当審判所に提出された証拠資料によっても、これを不相当とする理由は認められない。
以上 棚卸資産の税務上の裁決事例を紹介致しました。損金経理等、期末における会計・税務の参考になれば幸いです。
文責 法人ソリューション部
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09年06月08日
追加経済対策による減税措置
追加経済対策による減税措置として、「租税特別措置法の一部を改正する法律案」が4月27日の臨時閣議をへて、国会へ提出されました。平成21年度補正予算とともに、国会で審議中です。
この追加経済危機対策で拡充される税制改正の主な内容は以下の通りです。
1.中小企業の交際費の損金算入特例の拡充
交際費の損金算入特例について、資本金1億円以下の法人(中小企業者等)については、現行の定額控除限度額が「400万円」から「600万円」に引き上げられます。
※ 中小企業者等は、支出した交際費の額のうち定額控除限度額に達するまでの90%部分が損金算入できます。
2.贈与税の軽減
平成22年末までに、居住用の家屋の取得に充てるために直系の尊属(例えば実父母や実祖父母)から金銭の贈与を受けた場合は、500万円まで贈与税が非課税となります。
この特例は、従来の暦年課税又は相続時精算課税の非課税枠とあわせて適用され、暦年課税を選択した場合は610万円(110万円+500万円)、相続時精算課税を選択した場合は4,000万円(3,500万円+500万円)の贈与税が非課税となります。
3.研究開発税制の控除限度額の引き上げ 平成21、22年度の税額控除限度額が、法人税額の20%から30%に引き上げられます。また、平成21、22年度に発生した控除限度超過額は、平成24年度までの法人税額からの控除が可能になります。
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この追加経済危機対策で拡充される税制改正の主な内容は以下の通りです。
1.中小企業の交際費の損金算入特例の拡充
交際費の損金算入特例について、資本金1億円以下の法人(中小企業者等)については、現行の定額控除限度額が「400万円」から「600万円」に引き上げられます。
※ 中小企業者等は、支出した交際費の額のうち定額控除限度額に達するまでの90%部分が損金算入できます。
2.贈与税の軽減
平成22年末までに、居住用の家屋の取得に充てるために直系の尊属(例えば実父母や実祖父母)から金銭の贈与を受けた場合は、500万円まで贈与税が非課税となります。
この特例は、従来の暦年課税又は相続時精算課税の非課税枠とあわせて適用され、暦年課税を選択した場合は610万円(110万円+500万円)、相続時精算課税を選択した場合は4,000万円(3,500万円+500万円)の贈与税が非課税となります。
3.研究開発税制の控除限度額の引き上げ 平成21、22年度の税額控除限度額が、法人税額の20%から30%に引き上げられます。また、平成21、22年度に発生した控除限度超過額は、平成24年度までの法人税額からの控除が可能になります。
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09年06月04日
社長が幹部を育てる方法 2
企業活動は永続しなければなりません。単なるお金儲けのためだけならば成長段階のある時点で売却してしまうとかの方法もあるでしょうが、企業とはそもそも社会的な活動をしています。もちろん生活のためという理由もありますが、自分の利己的な欲望というよりも、企業活動が世の中で価値のあるものであって有用なものとして歓迎されていることの方が大切です。
どんなに優れた経営者であろうと、たった一人で成果をあげることはできません。多くの仲間が集まり組織となることによって、一人でやるよりももっと多くの成果を生むことができるからこそ、企業なのです。
経営者は企業内のトップランナーであると同時に、幹部に対してはよいコーチでなくてはなりません。その人の持っている強みを発見し、矯正しながらも小さな成功体験を積み重ねることで自信を持てるよう仕向けていく責任があります。コーチングのやり方ですが、一律の正解があるのではなく、経営者と幹部その人との相性で決めることになります。
人間は評価、判定されることが嫌いです。できれば避けたいものです。また、判定する方もよく知っていればいるほど、情に流されやすいものです。しかし、成長のためには幹部にモノサシを当てはめることも必要です。これは企業外部の環境が持つモノサシです。
井の中の蛙を作るのではなく、競合相手の企業でも十分に通用する幹部を育成しなければなりません。その尺度がなければ、育成しようにも方向が定まりません。
人材育成には目的があります。オールマイティの完璧な人間など存在しませんし、求める必要もありません。また潜在的な能力を評価しても仕方ありません。顕在化され発揮された能力のみが企業活動では意味を持ちますし、この発揮された能力とは事業戦略の方向性と一致していなくてはなりません。
要は、優れたコーチとは、明確な目的のもとに選手の持てる能力を最大限に発揮させ、勝利できるように仕立ててゆく存在です。その為には仕事を任せることも必要です。権限を与え、責任を持たせ、決められた目標に向かって自律的に働いていく幹部を育て、組織を作りあげていくことこそ、真の企業になっていくのではないでしょうか。
自律的に働く幹部を育てるには、手取り足とり一から十まで教えていては間違いなく自律したものにはならないでしょう。
仕事は教えてもらって覚えるものではありません。自分の力で見よう見まねで習って初めて自分のものにできるのです。苦労して得たものこそ真の力になり、それが企業の活力となります。経営者としては、部下のモチベーションを高め、自ら学習して育つような環境を作ってあげることが重要です。プロのリーダーがプロのスタッフ集団を作りそのプロのスタッフが企業を真のものへと成長させていくのです。そういった環境下で育った部下を経営者は信じ任せる事です。
任せられた幹部・部下は自分で意外となんとかしようとするものです。
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どんなに優れた経営者であろうと、たった一人で成果をあげることはできません。多くの仲間が集まり組織となることによって、一人でやるよりももっと多くの成果を生むことができるからこそ、企業なのです。
経営者は企業内のトップランナーであると同時に、幹部に対してはよいコーチでなくてはなりません。その人の持っている強みを発見し、矯正しながらも小さな成功体験を積み重ねることで自信を持てるよう仕向けていく責任があります。コーチングのやり方ですが、一律の正解があるのではなく、経営者と幹部その人との相性で決めることになります。
人間は評価、判定されることが嫌いです。できれば避けたいものです。また、判定する方もよく知っていればいるほど、情に流されやすいものです。しかし、成長のためには幹部にモノサシを当てはめることも必要です。これは企業外部の環境が持つモノサシです。
井の中の蛙を作るのではなく、競合相手の企業でも十分に通用する幹部を育成しなければなりません。その尺度がなければ、育成しようにも方向が定まりません。
人材育成には目的があります。オールマイティの完璧な人間など存在しませんし、求める必要もありません。また潜在的な能力を評価しても仕方ありません。顕在化され発揮された能力のみが企業活動では意味を持ちますし、この発揮された能力とは事業戦略の方向性と一致していなくてはなりません。
要は、優れたコーチとは、明確な目的のもとに選手の持てる能力を最大限に発揮させ、勝利できるように仕立ててゆく存在です。その為には仕事を任せることも必要です。権限を与え、責任を持たせ、決められた目標に向かって自律的に働いていく幹部を育て、組織を作りあげていくことこそ、真の企業になっていくのではないでしょうか。
自律的に働く幹部を育てるには、手取り足とり一から十まで教えていては間違いなく自律したものにはならないでしょう。
仕事は教えてもらって覚えるものではありません。自分の力で見よう見まねで習って初めて自分のものにできるのです。苦労して得たものこそ真の力になり、それが企業の活力となります。経営者としては、部下のモチベーションを高め、自ら学習して育つような環境を作ってあげることが重要です。プロのリーダーがプロのスタッフ集団を作りそのプロのスタッフが企業を真のものへと成長させていくのです。そういった環境下で育った部下を経営者は信じ任せる事です。
任せられた幹部・部下は自分で意外となんとかしようとするものです。
文責 ワンストップソリューション部
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09年06月01日
新型インフルエンザへの保険給付
先月から国外・国内で大きな騒ぎとなっている新型インフルエンザですが、もし罹患した場合に今加入している保険で給付金はおりるのでしょうか?
今回の発生を受けて各保険会社ではご案内や見解を出したりしていますがそれを纏めますとだいたい下記のようになるようです。
1.通常のインフルエンザと同様に『疾病』として取り扱う。したがって疾病全般による死亡・高度障害・入院を保障(補償)している商品においては新型インフルエンザもその支払い対象となる。
2.新型インフルエンザは『所定の感染症』または保険会社が定める『特定感染症』とは異なるのでそれを対象とした特約つき商品(傷害・災害特約を含む)の支払には該当しない。
簡略に言えば、新型インフルにかかり、入院しても通常の疾病と同じ内容の給付金がでるということのようです。
逆に現状の今回のインフルエンザの症状では重症となるとは考えられていませんので、仮に入院したとしても各自治体のHPなどをみる限り、公的な医療費助成の対象とはならないようなので自分の加入している保険だけでまかなわなくてはならない可能性が高いと思われます。
また余談ですが、これから6・7月と毎年O157などのウイルス性の疾病も発生する時期を迎えますが通常の医療保険での給付以外にこれら伝染性の疾病については傷害保険での入院給付がある場合もありますので、ご自分の加入されている保険について今一度お確かめになることをお勧めします。
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今回の発生を受けて各保険会社ではご案内や見解を出したりしていますがそれを纏めますとだいたい下記のようになるようです。
1.通常のインフルエンザと同様に『疾病』として取り扱う。したがって疾病全般による死亡・高度障害・入院を保障(補償)している商品においては新型インフルエンザもその支払い対象となる。
2.新型インフルエンザは『所定の感染症』または保険会社が定める『特定感染症』とは異なるのでそれを対象とした特約つき商品(傷害・災害特約を含む)の支払には該当しない。
簡略に言えば、新型インフルにかかり、入院しても通常の疾病と同じ内容の給付金がでるということのようです。
逆に現状の今回のインフルエンザの症状では重症となるとは考えられていませんので、仮に入院したとしても各自治体のHPなどをみる限り、公的な医療費助成の対象とはならないようなので自分の加入している保険だけでまかなわなくてはならない可能性が高いと思われます。
また余談ですが、これから6・7月と毎年O157などのウイルス性の疾病も発生する時期を迎えますが通常の医療保険での給付以外にこれら伝染性の疾病については傷害保険での入院給付がある場合もありますので、ご自分の加入されている保険について今一度お確かめになることをお勧めします。
文責 (株)プロネットインシュア
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