「慎みと嗜み」・渋沢栄一(明治・大正期の日本財界の功労者)
●人間至るところに先生あり。 論語にも「三人行けば必ず我が師あり」と教えられている。
●内に省み疚(やま)しからざれば、千万人といえどもわれ行かん、との自信は世故に通じ、学問を積んでおれば、誰でもなれる境地である。
●成功には嫉視がともない、成功者の多くは老獪(ろうかい)と思われやすい。地位と名誉にはそれに付随する慎みのあることを忘れてはならない。
●礼は、〈仁・義・忠・信〉の始まりでもあり、またその仕上げでもある。
●礼儀はあくまでも精神を学ぶ。あまりにその形式の細目にこだわり過ぎると、かえってその精神を没却して、もぬけのカラになるおそれがある。カラの礼儀は絶対に廃すべきだ。
●文雅(文字を用いた学問)の嗜みは人品を高尚にする。しかし、これとてあまりに過ぎれば、軽んぜられることになる。