08年06月23日

医業承継あれこれ

 私たちは仕事柄、色々な医療機関の承継問題に直面する機会が多いのですが、どの医療機関の承継も一筋縄ではいかないケースが多いように思います。

 例えば医療法人の出資持分評価問題。ご存知の通り医療法人は利益の配当はできません。従って、長年経営を行ってきた医療法人であれば、最初に出資した資本金が何倍・何十倍の価値を持つ財産に変わっていることが多々あります。いざ、相続税の試算のために財産評価を行ったところ、もっている財産の実に75%以上が医療法人の株価だった、などというケースも目にしています。医療法という縛りはありますが、医療法人の出資持分評価額に対する対策及び持分引継ぎ問題は早めに着手して実行していくことが、承継時に発生するであろう相続税に対しての有効な対策だと思います。(上記は主に経過措置型医療法人のみに対してのことです。全ての医療法人に該当するとは限りませんので注記いたします。)

 それから建物・土地・医療設備・これに付随する管理サービスなどのハードウェアの承継問題があります。個人の診療所のみの承継であれば、それほど複雑では無いのですが、医療法人でも病院クラスになると、土地と建物の所有者が違ったり、医療設備を管理して賃貸している別会社をもっていたり、と運営形態がかなり複雑になっているケースが多く見受けられます。この状況をどう引き継ぐかが、承継するご兄弟が多い場合などでは問題になってくることもあります。

 また、診療方針や内部体制・人員などソフトウェアの承継問題もあります。ハードの面とも絡んできますが、お一人に対する承継であれば話は簡単なのですが、承継者が二人、三人となると、誰がどういう形で引き継ぐのかが問題になってきます。協力して今までどおりやれれば一番よいのですが、そうではないケースも見受けられますので、しっかりとした対策が必要になってきます。

 このような問題を解決するには、事前にしっかりとした将来のビジョンを立てて、引き継いでいくそれぞれの方に十分に説明して納得していただくことがまず必要です。そのためには、明確な経営状況の把握や院内の現状分析・将来予想などを、きっちり行っていくことが重要だと考えます。

文責 資産税部


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なかのひと
08年06月23日 | Category: General
Posted by: pronet
よく、『相続税を安くするためにアパートを建てる』という話を聞きます。

 アパートを建てる代表的な理由としては、

1.先祖代々の土地を後世まで残す(財産継承重視)
2.余っている土地があるので、積極的に有効活用を行う(投資重視)
 
が挙げられます。

 しかし、これからは今までとはちょっと様子が違うようです。というのも、日本の人口は減少に転じています。これに、追い討ちをかけるように、大都市圏では分譲マンションの売れ残りが賃貸物件として市場に流入する傾向があります。

 つまり、競争激化の構図です。確かに、アパートを建てたときは相続税が爆発的に軽減されるかも知れません。しかし、アパート収支が予想と全く違っていた場合には、何十年後『建てなきゃよかったのに、引き継いだばっかりに大変なことになってしまった』ということもあり得ます。

 上記2の場合には、相続税も重要ですが、元々投資重視であることから収支計画書にもしっかり目を通し、利回り・キャッシュフローの考え方もしっかりしていらっしゃいます。
 しかし、1の場合には、相続税ばかりを重視しすぎる傾向の方が多いようです。

 6月13日金曜日付けの日本経済新聞にも『福岡の不動産 供給過剰が顕在化』という記事で、福岡のオフィスビルの空室率は9%台で高止まりしていると伝えています。住宅用アパートの話ではありませんが、オーナーの方々のお話を聞く限りではやはり新築物件が増えているとのことです。

 このような状況から、今後は、相続税の軽減も考えながら収支予想をしっかりたててアパート経営を行うことが重要であるといえます。

 相続でちょっと質問したいということがあれば、お気軽に相続の専門である『資産税部』にお問い合わせください。
文責 資産税部


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なかのひと
08年06月19日 | Category: General
Posted by: pronet
  “事業承継”と聞いて「あ〜、8割納税猶予のことでしょ?」と思われる方も多いでしょう。しかし、事業承継には相続時精算課税制度を使ったものもあります。前者の8割納税猶予は『中小企業の経営の承継の円滑化に関する法律(平成20年5月9日成立。同10月1日施行。)』に関連するものですが、後者のものは『特定同族株式等の贈与を受けた場合の特例』というもので、平成19年1月1日から平成20年12月31日までの間に20歳以上である子が60歳以上65歳未満の親から「特定同族株式等」の贈与(その特定同族株式等の贈与価額の合計額が500万円以上となる場合の贈与に限ります。)を受け、かつ、その年12月31日においてその特定同族株式等に係る法人の役員等の地位を有する場合において、確認日の翌日から2月以内に確認書を納税地の所轄税務署長に提出することが確実であると見込まれるときは、その特定同族株式等の贈与について相続時精算課税を選択することができるというものです。これを選択した場合、相続時精算課税の特別控除額2,500万円のほかに、500万円の特定同族株式等特別控除額を控除することができます。
  この特例の適用を受けるためには、さまざまな要件がありますが、主なものに次のようなものがあります。

1.贈与の時において特定同族株式等に係る法人の代表者が2人以上おらず、かつ、贈与の直前及び贈与の時においてその法人の発行済株式又は出資の時価総額(相続税評価額による総額)の合計額が20億円未満であること。

2.贈与者である親が、贈与の直前において、法人の代表者であり、発行済株式の総数又は出資の総額並びに議決権の50パーセント超をそれぞれ有していること。

3.この特例の適用を受けることについて、贈与者である親の推定相続人のすべての同意を得ていること。

  また、この特例の適用を受けるための手続として、贈与税の期限内申告書にこの特例を受ける旨を記載するとともに、相続時精算課税選択届出書、法人の定款の写し、登記事項証明書など一定の書類を添付する必要があります。
  さらに、この特例の適用を受けた場合には、贈与者である親の相続税の課税価格の計算において小規模宅地等の特例、及び特定事業用資産の特例の適用を受けることはできない等の制約もありますので、適用には慎重な判断が必要になりますが、8割猶予の施行を待ちきれないという方は一度検討されてはいかがでしょうか。

文責 事業承継部


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なかのひと
08年06月16日 | Category: General
Posted by: pronet
08年06月12日

リース取引

 先日、所有権移転外ファイナンスリース取引(支払利息の税務上の留意点)について、ご説明いたしました。今回は、リース取引に係るの「中小企業の会計に関する指針」を掲載します。

中小企業の会計に関する指針
 リース取引
  要点 所有権移転外ファイナンスリース取引に係る借手は、通常の売買取引に係る方法に準じて会計処理を行う。ただし、通常の賃貸借取引に係る方法に準じて会計処理を行うことができる。この場合は未経過リース料を注記する。

・所有権移転外ファイナンスリース取引
  リース取引とは、特定の物件所有者である貸手が、その物件の借手に対し、リース期間にわたりこれを使用収益する権利を与え、借手はリース料を貸手に支払う取引をいう。
  リース契約に基づくリース期間の中途において契約を解除することができないリース取引又はこれに準ずるリース取引で、借手が、契約に基づきリース物件からもたらされる経済的利益を実質的に享受することができ、かつ、リース物件の使用に伴って生じるコストを実質的に負担することとなるリース取引をファイナンスリース取引といい、このうち、リース契約上の諸条件に照らしてリース物件の所有権が借手に移転すると認められるもの以外の取引を所有権移転外ファイナンスリース取引という。

・所有権移転外ファイナンスリース取引に係る借手の会計処理
  所有権移転外ファイナンスリース取引に係る借手は、通常の売買取引に係る方法に準じて会計処理行う。ただし、通常の賃貸借取引に係る方法に準じて会計処理を行うことができる。
  なお、法人税法上は、すべての所有権移転外ファイナンスリース取引は売買として取り扱われ賃借人がリース料(賃借料)として経理をした場合においても、その金額は償却費として経理をしたものとされることに留意する。

・所有権移転外ファイナンスリース取引に係る借手の注記
  所有権移転外ファイナンスリース取引に係る借手は、通常の賃貸借取引に係る方法に準じて会計処理を行った場合には、未経過リース料を注記する。
  ただし、重要性がないリース取引については注記を省略することができる。

参考図書 中小企業の会計に関する指針

文責 北九州支店


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なかのひと
08年06月12日 | Category: General
Posted by: pronet
1.帳簿等の保存要件の概要
  仕入税額控除の適用を受けるためには、課税仕入の事実を記載した帳簿及び相手方から受領した請求書のいずれも保存することが要件とされている(消法30-7)。※1
 (注)災害その他やむを得ない事情によって保存できなかったことを事業者が証明した場合は、この限りではない。また、簡易課税制度により控除税額を計算している場合には、この保存要件はない。

2.保存は提示を含むのか
  ここで最高裁判例を検討してみることとする。
  事業者が,消費税法施行令50条1項の定めるとおり,消費税法30条7項に規定する帳簿又は請求書等を整理し,これらを所定の期間及び場所において,同法62条に基づく税務職員による検査に当たって適時にこれを提示することが可能なように態勢を整えて保存していなかった場合は,同法30条7項にいう「事業者が当該課税期間の課税仕入れ等の税額の控除に係る帳簿又は請求書等を保存しない場合」に当たり,事業者が災害その他やむを得ない事情により当該保存をすることができなかったことを証明しない限り(同項ただし書),同条1項の規定は,当該保存がない課税仕入れに係る課税仕入れ等の税額については,適用されないものというべきである。※2

3.適時提示が保存なのか
  税務職員による検査に当たって適時にこれを提示することが可能なように態勢を整えて保存していなかった場合には、法30条7項にいう『事業者が当該課税期間の課税仕入れ等の税額の控除に係わる帳簿及び請求書を保存しない場合』に当たり、事業者が災害その他やむを得ない事情により当該保存をすることができなかったことを証明しない限り、当該保存が無い課税仕入れに係わる課税仕入れ等の税額については、適用されないものである。
  適時提示が保存であり、不提示は不保存との解釈となります。くれぐれも保存に注意!
文責:企業部2部

                                 ※1:
  7第1項の規定は、事業者が当該課税期間の課税仕入れ等の税額の控除に係る帳簿及び請求書等(同項に規定する課税仕入れに係る支払対価の額の合計額が少額である場合その他の政令で定める場合における当該課税仕入れ等の税額については、帳簿)を保存しない場合には、当該保有がない課税仕入れ又は課税貨物に係る課税仕入れ等の税額については、適用しない。
  ただし、災害その他やむを得ない事情により、当該保存をすることができなかつたことを当該事業者において証明した場合は、この限りでない。

※2:
  最高裁平成16年12月16日第一小法廷判決


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なかのひと
08年06月09日 | Category: General
Posted by: pronet
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