09年06月11日
棚卸資産の税務
税務調査において問題となるこの多い棚卸資産に係わる税務について、国税不服審判所の裁決事例に参考となる事例が有りましたので、参考として御紹介致します。
平15.3.11裁決、裁決事例集No.65 376頁)
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《裁決書(抄)》
1 事実
(1)事案の概要
本件は、婦人服販売業を営む同族会社である審査請求人(以下「請求人」という。)に対する法人税の更正処分等について、〔1〕原処分庁の調査手続等に違法があったか否か及び〔2〕請求人が帳簿から除外した期末たな卸商品についての評価損が認められるか否かを主たる争点とする事案である。
(2)審査請求に至る経緯
イ 請求人は、平成11年6月25日から平成12年5月31日まで及び平成12年6月1日から平成13年5月31日までの各事業年度(以下、順次「平成12年5月期」及び「平成13年5月期」といい、併せて「本件各事業年度」という。)の法人税の青色の確定申告書に別表の「確定申告」欄のとおり記載して申告した。
ロ 原処分庁は、所属の調査担当職員(以下「調査担当職員」という。)の調査(以下「本件調査」という。)に基づき、平成14年3月20日付で、平成12年5月期以後の法人税の青色申告の承認の取消処分(以下「本件青色取消処分」という。)を行うとともに、同年3月22日付で、本件各事業年度について、別表の「更正処分等」欄のとおりとする法人税の各更正処分並びに過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分をした。
ハ 請求人は、これらの処分を不服として、平成14年5月7日に異議申立てをしたところ、異議審理庁は、同年7月29日付で、本件青色取消処分については棄却し、過少申告加算税の賦課決定処分については全部を取り消し、それ以外の処分については、別表の「異議決定」欄のとおり、その一部を取り消す旨の異議決定をした。
ニ 請求人は、異議決定を経た後の処分(以下、法人税の各更正処分を「本件各更正処分」、重加算税の各賦課決定処分を「本件各賦課決定処分」という。)に不服があるとして、平成14年8月28日に審査請求をした。
(3)関係法令等
イ 法人税法第29条《たな卸資産の売上原価等の計算及びその評価の方法》第1項は、内国法人が事業年度終了の時において有するたな卸資産の価額について、その内国法人が選定した評価の方法により評価した金額とする旨規定している。
ロ 法人税法第33条《資産の評価損の損金不算入等》第2項は、内国法人の有する資産につき災害による著しい損傷その他の政令で定める事実が生じたことにより、当該資産の価額がその帳簿価額を下回ることとなった場合において、その内国法人が当該資産の評価換えをして損金経理によりその帳簿価額を減額したときは、その減額した部分の金額のうち、その評価換えの直前の当該資産の帳簿価額とその評価換えをした日の属する事業年度終了の時における当該資産の価額との差額に達するまでの金額は、当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する旨規定している。
ハ 法人税法第126条《青色申告法人の帳簿書類》第1項は、同法第121条《青色申告》第1項又は第2項の承認を受けている内国法人は、財務省令で定めるところにより、帳簿書類を備え付けてこれにその取引を記録し、かつ、当該帳簿書類を保存しなければならない旨規定している。
また、法人税法第127条《青色申告の承認の取消し》第1項第3号は、同法第121条第1項の承認を受けた内国法人につき、その事業年度に係る帳簿書類に取引の全部又は一部を隠ぺいし又は仮装して記載し、その他その記載事項の全体についてその真実性を疑うに足りる相当の理由がある場合には、納税地の所轄税務署長は、当該事業年度までさかのぼって、その承認を取り消すことができる旨規定している。
(4)基礎事実
以下の事実は、請求人及び原処分庁の双方に争いがなく、当審判所の調査によっても、その事実が認められる。
イ 請求人は、平成11年6月25日に設立された法人であるが、平成11年7月14日に、原処分庁に対して、法人税法第122条《青色申告の承認の申請》に規定する青色申告の承認申請書を提出し、平成12年5月期以後の法人税の青色申告の承認を受けた。
また、請求人は、上記申請書と同時に、法人税法第29条第1項に規定するたな卸資産の評価の方法を法人税法施行令第28条《棚卸資産の評価の方法》第1項第1号のトに規定する最終仕入原価法とする旨の「たな卸資産の評価方法の届出書」を提出した。
ロ 請求人は、平成12年5月期の期末たな卸商品の価額が11,819,266円、平成13年5月期の同価額が33,905,590円であったとして、本件各事業年度の法人税の確定申告をした。
ハ 原処分庁は、請求人が期末たな卸商品の一部を帳簿から除外(その価額は、平成12年5月期が96,608,834円、平成13年5月期が203,257,690円であり、各除外されたたな卸商品を併せて「本件除外たな卸商品」という。)しており、このため、本件各事業年度の売上原価が過大であったと認定した。
2 主張
(1)請求人
原処分は、次の理由により違法であるから、その全部の取消しを求める。
イ 本件各更正処分
(イ)本件各更正処分は、以下のとおり、適切な行政指導を怠ったままでなされたものであるから、違法である。
A 本件除外たな卸商品は、売れ残った季節商品であり、その販売価格は、仕入価格の3分の1程度まで下落している。
このため、請求人は、本件調査において、調査担当職員に対して、本件除外たな卸商品は、販売可能な価格で評価すべきものであると説明したにもかかわらず、原処分庁は、これを仕入価格で評価し、一方的に本件各更正処分を行った。
B 請求人の親会社である有限会社Jに対する過去の税務調査では、何度も問題点等についての話合いをし、その上で修正申告書を提出してきたが、本件調査の調査担当職員は、請求人の事務所にわずか2回しか臨場せず、請求人と十分な話合いもしなかった。
C また、調査担当職員は、翌事業年度の正規の会計処理による本件除外たな卸商品に係る評価損及びK株式会社(以下「K社」という。)への売掛債権に係る貸倒損失の処理方法や、それに伴って法人税申告が赤字になった場合の青色申告の欠損金繰戻しによる法人税の還付制度(以下「欠損繰戻し還付制度」という。)等の請求人の質問に対して、十分な説明と指導をしなかった。
(ロ)請求人が、平成13年5月期に除外した期末たな卸商品を翌事業年度以降に販売した際、その販売価格が仕入価格を下回ったこともあるので、評価損を計上すべき事実がある。
したがって、平成13年5月期に除外されたたな卸商品は、原処分庁が評価した203,257,690円とするのではなく、販売可能な価格により算定した金額である84,400,000円と評価すべきである。
ロ 本件各賦課決定処分
本件各賦課決定処分は、上記イの本件各更正処分と同様、適切な行政指導を怠ったままでなされた違法なものであるから、その全部が取り消されるべきである。
ハ 本件青色取消処分
本件青色取消処分もまた、適切な行政指導を怠ったままでなされた違法なものであるから、取り消されるべきである。
(2)原処分庁
原処分は、次の理由により適法であるから、審査請求をいずれも棄却するとの裁決を求める。
イ 本件各更正処分
(イ)請求人は、本件各事業年度において、期末たな卸商品の一部を帳簿から除外して法人税の確定申告をしており、請求人の代表取締役であるL(以下「L社長」という。)及び経理担当のM(以下「M」という。)もその事実を認めている。
このため、請求人は、上記確定申告において、売上原価を過大に計上していたことになるから、本件除外たな卸商品の価額を本件各事業年度の請求人の所得金額に加算すべきであり、本件各更正処分は適法である。
(ロ)これに対して、請求人は、本件各更正処分は、適切な行政指導を怠ったままでなされており違法である旨主張する。
しかしながら、原処分庁は、以下のとおり、L社長、M及び顧問税理士に対して、調査で問題となった項目について説明し、指導した上で当該処分を行っているから、違法となる事実はない。
A 調査担当職員は、請求人の事務所へ2回臨場した後、約1か月の間、請求人に対して、電話で何度も、本件調査で問題となった期末たな卸商品の除外についての説明を行うとともに、請求人が主張する当該たな卸商品に係る評価損の計上及びその時期についても説明した。
B その後、調査担当職員は、3回目の臨場を行い、請求人に対して、上記Aと同様の説明を行った。
C また、調査担当職員は、K社に対する売掛債権の貸倒損失の処理についても、その計上時期を十分に説明しており、また、顧問税理士から質問のあった青色申告の欠損繰戻し還付制度についても、適切に説明している。
(ハ)請求人は、異議申立ての段階で、平成13年5月期に除外した期末たな卸商品には評価損が発生していたとして、その評価額を84,400,000円とする在庫表を提示したが、当該商品は、翌事業年度以降に仕入価格以上で販売されているから、評価損の計上はできない。
また、資産の評価損の計上については、災害による著しい損傷その他の政令で定める事実が生じた場合に、当該資産の評価換えをして損金経理によりその帳簿価額を減額したときに限って認められるところ、本件除外たな卸商品は、損金経理による帳簿価額の減額がされていないから、請求人の主張する評価額によって計上することはできない。
ロ 本件各賦課決定処分
請求人は、期末たな卸商品の一部を帳簿から除外して、法人税の確定申告をしており、このことは、国税通則法(以下「通則法」という。)第68条《重加算税》第1項に規定する「納税義務者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠ぺいし、又は仮装し、その隠ぺいし、又は仮装したところに基づき納税申告書を提出したこと」に該当するから、本件各賦課決定処分は適法である。
ハ 本件青色取消処分
請求人は、期末たな卸商品の一部を帳簿から除外して、法人税の確定申告をしており、このことは、法人税法第127条第1項第3号に規定する「帳簿書類の記載事項の全体についてその真実性を疑うに足りる相当な理由があること」に該当するから、本件青色取消処分は適法である。
3 判断
(1)本件各更正処分
イ 請求人提出資料、原処分関係資料及び当審判所の調査によれば、次の事実が認められる。
(イ)原処分庁の本件調査から本件各更正処分までの経緯及び内容は、大要以下のとおりである。
A 調査担当職員は、平成14年1月23日に、請求人の事務所に臨場し、N株式会社(以下「N社」という。)が請求人から委託されて保管する商品は、本件各事業年度の終了時点において、帳簿に計上されていないことを確認した。
B L社長は、調査担当職員の質問に対して、平成13年5月期の期末たな卸商品を除外するようMに指示したこと及び平成12年5月期においても同様のことをしていたことを認めた。
また、この時に、L社長は、調査担当職員に対して、資金繰りが悪化しており、修正申告には応じられない旨申し立てた。
C その後、調査担当職員は、L社長に対して、今回の不正経理が青色申告の承認の取消事由に該当すること及び期末たな卸商品の除外について、法人税の更正処分をすることを連絡した。
D 原処分庁は、本件除外たな卸商品の最終の仕入価格を基礎として、本件各事業年度の期末たな卸商品の価額を算定し、本件各更正処分をした。
(ロ)L社長は、当審判所に対して、以下のとおり答述した。
A たな卸商品は、毎月、Mがパソコンで管理しており、N社へ預けていた在庫商品についても、同社から送付されてくる商品入出庫管理表で確認しパソコンに入力している。なお、本件除外たな卸商品は、このN社へ預けていたものである。
B 平成13年5月期の実際の期末たな卸商品の価額が237,163,280円であることを認識していたが、当時、K社に対する売掛金が回収不能な状況にあり、納税資金が不足したことから、N社への預け在庫(203,257,690円)を期末たな卸商品から除外するようMに指示したものであり、そのため、Mは、当該除外金額を差し引いた後のたな卸表(金額は、33,905,590円。)を作成し、これに基づいて確定申告をした。
C 平成13年5月期に除外した期末たな卸商品の評価損は、当該事業年度の帳簿及び決算書に計上していない。
ロ 前記1の(3)のイの規定に同(4)のイの基礎事実及び上記イの各認定事実を照らして見ると、請求人においては、本件各事業年度の終了時に有するたな卸商品を、期末たな卸商品として最終仕入原価法により帳簿に計上すべきところ、請求人の関係者は、虚偽のたな卸表を作成するなどの方法によって、その大部分を除外し、本件各事業年度の決算書等を作成していたことが明らかである。
そして、原処分庁は、上記イの(イ)のDのとおり、各商品の仕入価格を基礎として、本件除外たな卸商品の価額を算定し、本件各更正処分をしたことが認められる。
ハ これに対し、請求人は、原処分庁が十分な話合いもせず、一方的に本件各更正処分をするなど、適切な行政指導を怠っているから、当該各更正処分が違法である旨主張する。
しかしながら、上記イの(イ)のとおり、調査担当職員は、請求人の事務所に臨場した際、本件各事業年度の期末たな卸商品の大部分が帳簿から除外されていたことを確認し、請求人の代表者であるL社長も当該除外の事実を認めたため、原処分庁は、請求人が本件各事業年度の確定申告書に記載した課税標準等及び税額等が、本件調査をしたところと異なっていたとして、通則法第24条《更正》の規定に基づいて本件各更正処分を行ったことが認められる。
また、本件調査の過程に違法となるような事実は認められず、当審判所が調査したところによっても、本件各更正処分に至る過程において、当該各更正処分を取り消すべき重大な瑕疵があったとは認められない。
さらに、課税庁が更正を行うに当たり、納税者等と話合いをし、かつ、同意を得なければならないことを定めた法令上の規定はないから、原処分庁が一方的に本件更正処分をしたことは違法であるとする請求人の主張には理由がない。
ニ なお、請求人は、上記ハに関連して、調査担当職員が、貸倒損失の処理や青色申告の欠損繰戻し還付制度について、適切な指導をしなかった旨主張する。
しかしながら、調査担当職員が適切な指導をしなかったかどうかということは、本件各更正処分が適法か否かの判断に何らの影響を及ぼすものではないから、当該指導の内容を確認するまでもなく、この点に関する請求人の主張は、採用することができない。
ホ また、請求人は、平成13年5月期に除外した期末たな卸商品については、評価損を計上すべき事実があるので、販売可能な価格により算定した金額で評価されるべきである旨主張する。
しかしながら、請求人は、上記ロの認定のとおり、本件各事業年度の終了時に計上すべき期末たな卸商品の大部分を帳簿から除外しているところ、この除外されたたな卸商品については、法人税法第33条に規定する評価換えをして、損金経理によりその帳簿価額を減額していないことから、当該たな卸商品に係る評価損を損金の額に算入するための要件を満たしているとはいえず、販売可能な価格での評価はできない。
したがって、この点に関する請求人の主張は採用することができない。
ヘ 以上のことから、本件各事業年度の請求人の所得金額に本件除外たな卸商品の金額を加算してされた本件各更正処分は、適法である。
(2)本件各賦課決定処分
請求人は、上記(1)のロのとおり、本件各事業年度の期末たな卸商品の大部分を帳簿から除外して法人税の各確定申告書を提出しており、このことは、通則法第68条第1項に規定する「納税義務者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠ぺいし、又は仮装し、その隠ぺいし、又は仮装したところに基づき納税申告書を提出したこと」に該当するから、その隠ぺいし、又は仮装した事実に係る部分の税額に対して、同項の規定に基づいて重加算税を課したことは適法である。
なお、請求人は、原処分庁が適正な行政指導を怠ったまま行った本件各賦課決定処分は取り消されるべきである旨主張するが、この点については、上記(1)のハにおいて述べたとおりであるから、請求人の主張には理由がない。
(3)本件青色取消処分
請求人は、前記(1)のロのとおり、本件各事業年度の期末たな卸商品の大部分を帳簿から除外して法人税の各確定申告書を提出しており、このことは、法人税法第127条第1項第3号に規定する青色申告の承認の取消事由に該当するから、原処分庁が本件青色取消処分をしたことは適法である。
なお、請求人は、原処分庁が適切な行政指導を怠ったまま行った本件青色取消処分は取り消されるべきである旨主張するが、この点については、前記(1)のハにおいて述べたとおりであるから、請求人の主張には理由がない。
(4)原処分のその他の部分については、請求人は争わず、当審判所に提出された証拠資料によっても、これを不相当とする理由は認められない。
以上 棚卸資産の税務上の裁決事例を紹介致しました。損金経理等、期末における会計・税務の参考になれば幸いです。
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平15.3.11裁決、裁決事例集No.65 376頁)
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《裁決書(抄)》
1 事実
(1)事案の概要
本件は、婦人服販売業を営む同族会社である審査請求人(以下「請求人」という。)に対する法人税の更正処分等について、〔1〕原処分庁の調査手続等に違法があったか否か及び〔2〕請求人が帳簿から除外した期末たな卸商品についての評価損が認められるか否かを主たる争点とする事案である。
(2)審査請求に至る経緯
イ 請求人は、平成11年6月25日から平成12年5月31日まで及び平成12年6月1日から平成13年5月31日までの各事業年度(以下、順次「平成12年5月期」及び「平成13年5月期」といい、併せて「本件各事業年度」という。)の法人税の青色の確定申告書に別表の「確定申告」欄のとおり記載して申告した。
ロ 原処分庁は、所属の調査担当職員(以下「調査担当職員」という。)の調査(以下「本件調査」という。)に基づき、平成14年3月20日付で、平成12年5月期以後の法人税の青色申告の承認の取消処分(以下「本件青色取消処分」という。)を行うとともに、同年3月22日付で、本件各事業年度について、別表の「更正処分等」欄のとおりとする法人税の各更正処分並びに過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分をした。
ハ 請求人は、これらの処分を不服として、平成14年5月7日に異議申立てをしたところ、異議審理庁は、同年7月29日付で、本件青色取消処分については棄却し、過少申告加算税の賦課決定処分については全部を取り消し、それ以外の処分については、別表の「異議決定」欄のとおり、その一部を取り消す旨の異議決定をした。
ニ 請求人は、異議決定を経た後の処分(以下、法人税の各更正処分を「本件各更正処分」、重加算税の各賦課決定処分を「本件各賦課決定処分」という。)に不服があるとして、平成14年8月28日に審査請求をした。
(3)関係法令等
イ 法人税法第29条《たな卸資産の売上原価等の計算及びその評価の方法》第1項は、内国法人が事業年度終了の時において有するたな卸資産の価額について、その内国法人が選定した評価の方法により評価した金額とする旨規定している。
ロ 法人税法第33条《資産の評価損の損金不算入等》第2項は、内国法人の有する資産につき災害による著しい損傷その他の政令で定める事実が生じたことにより、当該資産の価額がその帳簿価額を下回ることとなった場合において、その内国法人が当該資産の評価換えをして損金経理によりその帳簿価額を減額したときは、その減額した部分の金額のうち、その評価換えの直前の当該資産の帳簿価額とその評価換えをした日の属する事業年度終了の時における当該資産の価額との差額に達するまでの金額は、当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する旨規定している。
ハ 法人税法第126条《青色申告法人の帳簿書類》第1項は、同法第121条《青色申告》第1項又は第2項の承認を受けている内国法人は、財務省令で定めるところにより、帳簿書類を備え付けてこれにその取引を記録し、かつ、当該帳簿書類を保存しなければならない旨規定している。
また、法人税法第127条《青色申告の承認の取消し》第1項第3号は、同法第121条第1項の承認を受けた内国法人につき、その事業年度に係る帳簿書類に取引の全部又は一部を隠ぺいし又は仮装して記載し、その他その記載事項の全体についてその真実性を疑うに足りる相当の理由がある場合には、納税地の所轄税務署長は、当該事業年度までさかのぼって、その承認を取り消すことができる旨規定している。
(4)基礎事実
以下の事実は、請求人及び原処分庁の双方に争いがなく、当審判所の調査によっても、その事実が認められる。
イ 請求人は、平成11年6月25日に設立された法人であるが、平成11年7月14日に、原処分庁に対して、法人税法第122条《青色申告の承認の申請》に規定する青色申告の承認申請書を提出し、平成12年5月期以後の法人税の青色申告の承認を受けた。
また、請求人は、上記申請書と同時に、法人税法第29条第1項に規定するたな卸資産の評価の方法を法人税法施行令第28条《棚卸資産の評価の方法》第1項第1号のトに規定する最終仕入原価法とする旨の「たな卸資産の評価方法の届出書」を提出した。
ロ 請求人は、平成12年5月期の期末たな卸商品の価額が11,819,266円、平成13年5月期の同価額が33,905,590円であったとして、本件各事業年度の法人税の確定申告をした。
ハ 原処分庁は、請求人が期末たな卸商品の一部を帳簿から除外(その価額は、平成12年5月期が96,608,834円、平成13年5月期が203,257,690円であり、各除外されたたな卸商品を併せて「本件除外たな卸商品」という。)しており、このため、本件各事業年度の売上原価が過大であったと認定した。
2 主張
(1)請求人
原処分は、次の理由により違法であるから、その全部の取消しを求める。
イ 本件各更正処分
(イ)本件各更正処分は、以下のとおり、適切な行政指導を怠ったままでなされたものであるから、違法である。
A 本件除外たな卸商品は、売れ残った季節商品であり、その販売価格は、仕入価格の3分の1程度まで下落している。
このため、請求人は、本件調査において、調査担当職員に対して、本件除外たな卸商品は、販売可能な価格で評価すべきものであると説明したにもかかわらず、原処分庁は、これを仕入価格で評価し、一方的に本件各更正処分を行った。
B 請求人の親会社である有限会社Jに対する過去の税務調査では、何度も問題点等についての話合いをし、その上で修正申告書を提出してきたが、本件調査の調査担当職員は、請求人の事務所にわずか2回しか臨場せず、請求人と十分な話合いもしなかった。
C また、調査担当職員は、翌事業年度の正規の会計処理による本件除外たな卸商品に係る評価損及びK株式会社(以下「K社」という。)への売掛債権に係る貸倒損失の処理方法や、それに伴って法人税申告が赤字になった場合の青色申告の欠損金繰戻しによる法人税の還付制度(以下「欠損繰戻し還付制度」という。)等の請求人の質問に対して、十分な説明と指導をしなかった。
(ロ)請求人が、平成13年5月期に除外した期末たな卸商品を翌事業年度以降に販売した際、その販売価格が仕入価格を下回ったこともあるので、評価損を計上すべき事実がある。
したがって、平成13年5月期に除外されたたな卸商品は、原処分庁が評価した203,257,690円とするのではなく、販売可能な価格により算定した金額である84,400,000円と評価すべきである。
ロ 本件各賦課決定処分
本件各賦課決定処分は、上記イの本件各更正処分と同様、適切な行政指導を怠ったままでなされた違法なものであるから、その全部が取り消されるべきである。
ハ 本件青色取消処分
本件青色取消処分もまた、適切な行政指導を怠ったままでなされた違法なものであるから、取り消されるべきである。
(2)原処分庁
原処分は、次の理由により適法であるから、審査請求をいずれも棄却するとの裁決を求める。
イ 本件各更正処分
(イ)請求人は、本件各事業年度において、期末たな卸商品の一部を帳簿から除外して法人税の確定申告をしており、請求人の代表取締役であるL(以下「L社長」という。)及び経理担当のM(以下「M」という。)もその事実を認めている。
このため、請求人は、上記確定申告において、売上原価を過大に計上していたことになるから、本件除外たな卸商品の価額を本件各事業年度の請求人の所得金額に加算すべきであり、本件各更正処分は適法である。
(ロ)これに対して、請求人は、本件各更正処分は、適切な行政指導を怠ったままでなされており違法である旨主張する。
しかしながら、原処分庁は、以下のとおり、L社長、M及び顧問税理士に対して、調査で問題となった項目について説明し、指導した上で当該処分を行っているから、違法となる事実はない。
A 調査担当職員は、請求人の事務所へ2回臨場した後、約1か月の間、請求人に対して、電話で何度も、本件調査で問題となった期末たな卸商品の除外についての説明を行うとともに、請求人が主張する当該たな卸商品に係る評価損の計上及びその時期についても説明した。
B その後、調査担当職員は、3回目の臨場を行い、請求人に対して、上記Aと同様の説明を行った。
C また、調査担当職員は、K社に対する売掛債権の貸倒損失の処理についても、その計上時期を十分に説明しており、また、顧問税理士から質問のあった青色申告の欠損繰戻し還付制度についても、適切に説明している。
(ハ)請求人は、異議申立ての段階で、平成13年5月期に除外した期末たな卸商品には評価損が発生していたとして、その評価額を84,400,000円とする在庫表を提示したが、当該商品は、翌事業年度以降に仕入価格以上で販売されているから、評価損の計上はできない。
また、資産の評価損の計上については、災害による著しい損傷その他の政令で定める事実が生じた場合に、当該資産の評価換えをして損金経理によりその帳簿価額を減額したときに限って認められるところ、本件除外たな卸商品は、損金経理による帳簿価額の減額がされていないから、請求人の主張する評価額によって計上することはできない。
ロ 本件各賦課決定処分
請求人は、期末たな卸商品の一部を帳簿から除外して、法人税の確定申告をしており、このことは、国税通則法(以下「通則法」という。)第68条《重加算税》第1項に規定する「納税義務者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠ぺいし、又は仮装し、その隠ぺいし、又は仮装したところに基づき納税申告書を提出したこと」に該当するから、本件各賦課決定処分は適法である。
ハ 本件青色取消処分
請求人は、期末たな卸商品の一部を帳簿から除外して、法人税の確定申告をしており、このことは、法人税法第127条第1項第3号に規定する「帳簿書類の記載事項の全体についてその真実性を疑うに足りる相当な理由があること」に該当するから、本件青色取消処分は適法である。
3 判断
(1)本件各更正処分
イ 請求人提出資料、原処分関係資料及び当審判所の調査によれば、次の事実が認められる。
(イ)原処分庁の本件調査から本件各更正処分までの経緯及び内容は、大要以下のとおりである。
A 調査担当職員は、平成14年1月23日に、請求人の事務所に臨場し、N株式会社(以下「N社」という。)が請求人から委託されて保管する商品は、本件各事業年度の終了時点において、帳簿に計上されていないことを確認した。
B L社長は、調査担当職員の質問に対して、平成13年5月期の期末たな卸商品を除外するようMに指示したこと及び平成12年5月期においても同様のことをしていたことを認めた。
また、この時に、L社長は、調査担当職員に対して、資金繰りが悪化しており、修正申告には応じられない旨申し立てた。
C その後、調査担当職員は、L社長に対して、今回の不正経理が青色申告の承認の取消事由に該当すること及び期末たな卸商品の除外について、法人税の更正処分をすることを連絡した。
D 原処分庁は、本件除外たな卸商品の最終の仕入価格を基礎として、本件各事業年度の期末たな卸商品の価額を算定し、本件各更正処分をした。
(ロ)L社長は、当審判所に対して、以下のとおり答述した。
A たな卸商品は、毎月、Mがパソコンで管理しており、N社へ預けていた在庫商品についても、同社から送付されてくる商品入出庫管理表で確認しパソコンに入力している。なお、本件除外たな卸商品は、このN社へ預けていたものである。
B 平成13年5月期の実際の期末たな卸商品の価額が237,163,280円であることを認識していたが、当時、K社に対する売掛金が回収不能な状況にあり、納税資金が不足したことから、N社への預け在庫(203,257,690円)を期末たな卸商品から除外するようMに指示したものであり、そのため、Mは、当該除外金額を差し引いた後のたな卸表(金額は、33,905,590円。)を作成し、これに基づいて確定申告をした。
C 平成13年5月期に除外した期末たな卸商品の評価損は、当該事業年度の帳簿及び決算書に計上していない。
ロ 前記1の(3)のイの規定に同(4)のイの基礎事実及び上記イの各認定事実を照らして見ると、請求人においては、本件各事業年度の終了時に有するたな卸商品を、期末たな卸商品として最終仕入原価法により帳簿に計上すべきところ、請求人の関係者は、虚偽のたな卸表を作成するなどの方法によって、その大部分を除外し、本件各事業年度の決算書等を作成していたことが明らかである。
そして、原処分庁は、上記イの(イ)のDのとおり、各商品の仕入価格を基礎として、本件除外たな卸商品の価額を算定し、本件各更正処分をしたことが認められる。
ハ これに対し、請求人は、原処分庁が十分な話合いもせず、一方的に本件各更正処分をするなど、適切な行政指導を怠っているから、当該各更正処分が違法である旨主張する。
しかしながら、上記イの(イ)のとおり、調査担当職員は、請求人の事務所に臨場した際、本件各事業年度の期末たな卸商品の大部分が帳簿から除外されていたことを確認し、請求人の代表者であるL社長も当該除外の事実を認めたため、原処分庁は、請求人が本件各事業年度の確定申告書に記載した課税標準等及び税額等が、本件調査をしたところと異なっていたとして、通則法第24条《更正》の規定に基づいて本件各更正処分を行ったことが認められる。
また、本件調査の過程に違法となるような事実は認められず、当審判所が調査したところによっても、本件各更正処分に至る過程において、当該各更正処分を取り消すべき重大な瑕疵があったとは認められない。
さらに、課税庁が更正を行うに当たり、納税者等と話合いをし、かつ、同意を得なければならないことを定めた法令上の規定はないから、原処分庁が一方的に本件更正処分をしたことは違法であるとする請求人の主張には理由がない。
ニ なお、請求人は、上記ハに関連して、調査担当職員が、貸倒損失の処理や青色申告の欠損繰戻し還付制度について、適切な指導をしなかった旨主張する。
しかしながら、調査担当職員が適切な指導をしなかったかどうかということは、本件各更正処分が適法か否かの判断に何らの影響を及ぼすものではないから、当該指導の内容を確認するまでもなく、この点に関する請求人の主張は、採用することができない。
ホ また、請求人は、平成13年5月期に除外した期末たな卸商品については、評価損を計上すべき事実があるので、販売可能な価格により算定した金額で評価されるべきである旨主張する。
しかしながら、請求人は、上記ロの認定のとおり、本件各事業年度の終了時に計上すべき期末たな卸商品の大部分を帳簿から除外しているところ、この除外されたたな卸商品については、法人税法第33条に規定する評価換えをして、損金経理によりその帳簿価額を減額していないことから、当該たな卸商品に係る評価損を損金の額に算入するための要件を満たしているとはいえず、販売可能な価格での評価はできない。
したがって、この点に関する請求人の主張は採用することができない。
ヘ 以上のことから、本件各事業年度の請求人の所得金額に本件除外たな卸商品の金額を加算してされた本件各更正処分は、適法である。
(2)本件各賦課決定処分
請求人は、上記(1)のロのとおり、本件各事業年度の期末たな卸商品の大部分を帳簿から除外して法人税の各確定申告書を提出しており、このことは、通則法第68条第1項に規定する「納税義務者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠ぺいし、又は仮装し、その隠ぺいし、又は仮装したところに基づき納税申告書を提出したこと」に該当するから、その隠ぺいし、又は仮装した事実に係る部分の税額に対して、同項の規定に基づいて重加算税を課したことは適法である。
なお、請求人は、原処分庁が適正な行政指導を怠ったまま行った本件各賦課決定処分は取り消されるべきである旨主張するが、この点については、上記(1)のハにおいて述べたとおりであるから、請求人の主張には理由がない。
(3)本件青色取消処分
請求人は、前記(1)のロのとおり、本件各事業年度の期末たな卸商品の大部分を帳簿から除外して法人税の各確定申告書を提出しており、このことは、法人税法第127条第1項第3号に規定する青色申告の承認の取消事由に該当するから、原処分庁が本件青色取消処分をしたことは適法である。
なお、請求人は、原処分庁が適切な行政指導を怠ったまま行った本件青色取消処分は取り消されるべきである旨主張するが、この点については、前記(1)のハにおいて述べたとおりであるから、請求人の主張には理由がない。
(4)原処分のその他の部分については、請求人は争わず、当審判所に提出された証拠資料によっても、これを不相当とする理由は認められない。
以上 棚卸資産の税務上の裁決事例を紹介致しました。損金経理等、期末における会計・税務の参考になれば幸いです。
文責 法人ソリューション部
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09年06月08日
追加経済対策による減税措置
追加経済対策による減税措置として、「租税特別措置法の一部を改正する法律案」が4月27日の臨時閣議をへて、国会へ提出されました。平成21年度補正予算とともに、国会で審議中です。
この追加経済危機対策で拡充される税制改正の主な内容は以下の通りです。
1.中小企業の交際費の損金算入特例の拡充
交際費の損金算入特例について、資本金1億円以下の法人(中小企業者等)については、現行の定額控除限度額が「400万円」から「600万円」に引き上げられます。
※ 中小企業者等は、支出した交際費の額のうち定額控除限度額に達するまでの90%部分が損金算入できます。
2.贈与税の軽減
平成22年末までに、居住用の家屋の取得に充てるために直系の尊属(例えば実父母や実祖父母)から金銭の贈与を受けた場合は、500万円まで贈与税が非課税となります。
この特例は、従来の暦年課税又は相続時精算課税の非課税枠とあわせて適用され、暦年課税を選択した場合は610万円(110万円+500万円)、相続時精算課税を選択した場合は4,000万円(3,500万円+500万円)の贈与税が非課税となります。
3.研究開発税制の控除限度額の引き上げ 平成21、22年度の税額控除限度額が、法人税額の20%から30%に引き上げられます。また、平成21、22年度に発生した控除限度超過額は、平成24年度までの法人税額からの控除が可能になります。
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1.中小企業の交際費の損金算入特例の拡充
交際費の損金算入特例について、資本金1億円以下の法人(中小企業者等)については、現行の定額控除限度額が「400万円」から「600万円」に引き上げられます。
※ 中小企業者等は、支出した交際費の額のうち定額控除限度額に達するまでの90%部分が損金算入できます。
2.贈与税の軽減
平成22年末までに、居住用の家屋の取得に充てるために直系の尊属(例えば実父母や実祖父母)から金銭の贈与を受けた場合は、500万円まで贈与税が非課税となります。
この特例は、従来の暦年課税又は相続時精算課税の非課税枠とあわせて適用され、暦年課税を選択した場合は610万円(110万円+500万円)、相続時精算課税を選択した場合は4,000万円(3,500万円+500万円)の贈与税が非課税となります。
3.研究開発税制の控除限度額の引き上げ 平成21、22年度の税額控除限度額が、法人税額の20%から30%に引き上げられます。また、平成21、22年度に発生した控除限度超過額は、平成24年度までの法人税額からの控除が可能になります。
文責 法人ソリューション部
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09年06月04日
社長が幹部を育てる方法 2
企業活動は永続しなければなりません。単なるお金儲けのためだけならば成長段階のある時点で売却してしまうとかの方法もあるでしょうが、企業とはそもそも社会的な活動をしています。もちろん生活のためという理由もありますが、自分の利己的な欲望というよりも、企業活動が世の中で価値のあるものであって有用なものとして歓迎されていることの方が大切です。
どんなに優れた経営者であろうと、たった一人で成果をあげることはできません。多くの仲間が集まり組織となることによって、一人でやるよりももっと多くの成果を生むことができるからこそ、企業なのです。
経営者は企業内のトップランナーであると同時に、幹部に対してはよいコーチでなくてはなりません。その人の持っている強みを発見し、矯正しながらも小さな成功体験を積み重ねることで自信を持てるよう仕向けていく責任があります。コーチングのやり方ですが、一律の正解があるのではなく、経営者と幹部その人との相性で決めることになります。
人間は評価、判定されることが嫌いです。できれば避けたいものです。また、判定する方もよく知っていればいるほど、情に流されやすいものです。しかし、成長のためには幹部にモノサシを当てはめることも必要です。これは企業外部の環境が持つモノサシです。
井の中の蛙を作るのではなく、競合相手の企業でも十分に通用する幹部を育成しなければなりません。その尺度がなければ、育成しようにも方向が定まりません。
人材育成には目的があります。オールマイティの完璧な人間など存在しませんし、求める必要もありません。また潜在的な能力を評価しても仕方ありません。顕在化され発揮された能力のみが企業活動では意味を持ちますし、この発揮された能力とは事業戦略の方向性と一致していなくてはなりません。
要は、優れたコーチとは、明確な目的のもとに選手の持てる能力を最大限に発揮させ、勝利できるように仕立ててゆく存在です。その為には仕事を任せることも必要です。権限を与え、責任を持たせ、決められた目標に向かって自律的に働いていく幹部を育て、組織を作りあげていくことこそ、真の企業になっていくのではないでしょうか。
自律的に働く幹部を育てるには、手取り足とり一から十まで教えていては間違いなく自律したものにはならないでしょう。
仕事は教えてもらって覚えるものではありません。自分の力で見よう見まねで習って初めて自分のものにできるのです。苦労して得たものこそ真の力になり、それが企業の活力となります。経営者としては、部下のモチベーションを高め、自ら学習して育つような環境を作ってあげることが重要です。プロのリーダーがプロのスタッフ集団を作りそのプロのスタッフが企業を真のものへと成長させていくのです。そういった環境下で育った部下を経営者は信じ任せる事です。
任せられた幹部・部下は自分で意外となんとかしようとするものです。
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人間は評価、判定されることが嫌いです。できれば避けたいものです。また、判定する方もよく知っていればいるほど、情に流されやすいものです。しかし、成長のためには幹部にモノサシを当てはめることも必要です。これは企業外部の環境が持つモノサシです。
井の中の蛙を作るのではなく、競合相手の企業でも十分に通用する幹部を育成しなければなりません。その尺度がなければ、育成しようにも方向が定まりません。
人材育成には目的があります。オールマイティの完璧な人間など存在しませんし、求める必要もありません。また潜在的な能力を評価しても仕方ありません。顕在化され発揮された能力のみが企業活動では意味を持ちますし、この発揮された能力とは事業戦略の方向性と一致していなくてはなりません。
要は、優れたコーチとは、明確な目的のもとに選手の持てる能力を最大限に発揮させ、勝利できるように仕立ててゆく存在です。その為には仕事を任せることも必要です。権限を与え、責任を持たせ、決められた目標に向かって自律的に働いていく幹部を育て、組織を作りあげていくことこそ、真の企業になっていくのではないでしょうか。
自律的に働く幹部を育てるには、手取り足とり一から十まで教えていては間違いなく自律したものにはならないでしょう。
仕事は教えてもらって覚えるものではありません。自分の力で見よう見まねで習って初めて自分のものにできるのです。苦労して得たものこそ真の力になり、それが企業の活力となります。経営者としては、部下のモチベーションを高め、自ら学習して育つような環境を作ってあげることが重要です。プロのリーダーがプロのスタッフ集団を作りそのプロのスタッフが企業を真のものへと成長させていくのです。そういった環境下で育った部下を経営者は信じ任せる事です。
任せられた幹部・部下は自分で意外となんとかしようとするものです。
文責 ワンストップソリューション部
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09年06月01日
新型インフルエンザへの保険給付
先月から国外・国内で大きな騒ぎとなっている新型インフルエンザですが、もし罹患した場合に今加入している保険で給付金はおりるのでしょうか?
今回の発生を受けて各保険会社ではご案内や見解を出したりしていますがそれを纏めますとだいたい下記のようになるようです。
1.通常のインフルエンザと同様に『疾病』として取り扱う。したがって疾病全般による死亡・高度障害・入院を保障(補償)している商品においては新型インフルエンザもその支払い対象となる。
2.新型インフルエンザは『所定の感染症』または保険会社が定める『特定感染症』とは異なるのでそれを対象とした特約つき商品(傷害・災害特約を含む)の支払には該当しない。
簡略に言えば、新型インフルにかかり、入院しても通常の疾病と同じ内容の給付金がでるということのようです。
逆に現状の今回のインフルエンザの症状では重症となるとは考えられていませんので、仮に入院したとしても各自治体のHPなどをみる限り、公的な医療費助成の対象とはならないようなので自分の加入している保険だけでまかなわなくてはならない可能性が高いと思われます。
また余談ですが、これから6・7月と毎年O157などのウイルス性の疾病も発生する時期を迎えますが通常の医療保険での給付以外にこれら伝染性の疾病については傷害保険での入院給付がある場合もありますので、ご自分の加入されている保険について今一度お確かめになることをお勧めします。
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今回の発生を受けて各保険会社ではご案内や見解を出したりしていますがそれを纏めますとだいたい下記のようになるようです。
1.通常のインフルエンザと同様に『疾病』として取り扱う。したがって疾病全般による死亡・高度障害・入院を保障(補償)している商品においては新型インフルエンザもその支払い対象となる。
2.新型インフルエンザは『所定の感染症』または保険会社が定める『特定感染症』とは異なるのでそれを対象とした特約つき商品(傷害・災害特約を含む)の支払には該当しない。
簡略に言えば、新型インフルにかかり、入院しても通常の疾病と同じ内容の給付金がでるということのようです。
逆に現状の今回のインフルエンザの症状では重症となるとは考えられていませんので、仮に入院したとしても各自治体のHPなどをみる限り、公的な医療費助成の対象とはならないようなので自分の加入している保険だけでまかなわなくてはならない可能性が高いと思われます。
また余談ですが、これから6・7月と毎年O157などのウイルス性の疾病も発生する時期を迎えますが通常の医療保険での給付以外にこれら伝染性の疾病については傷害保険での入院給付がある場合もありますので、ご自分の加入されている保険について今一度お確かめになることをお勧めします。
文責 (株)プロネットインシュア
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09年05月28日
新型インフルエンザの対応について
新型インフルエンザが、関西、関東地方を中心に、また先日には九州でも確認され、急速に拡大し、さまざまな影響が出ています。学校が一部休校になったり、企業においても出張の自粛や営業活動の一部停止などの対応が行われています。
企業が新型インフルエンザ対策を行う目的は、主に以下の点が挙げられます。
1.社員と家族、お客様の安全を守ること
2.事業を継続すること
3.感染拡大の防止
新型インフルエンザ発生後のリスクを下げる具体策として、
1.(感染拡大防止)
マスクの着用、こまめにうがいと手洗いをすること、社内清掃、その他フレックス勤務を行うなど
2.(感染の機会を減らす)
在宅勤務、時差出勤、出張や会議の中止
などが言われています。
現在事前に検討がされていない企業では今後の発生に踏まえて対策を行うことが必要になってきます。企業にとって事業継続は不可欠であり、発生に備え、事前に企業の中で絶対欠くことができない業務や一時的に中止できる業務、基本業務、その場合の必要人員などの洗いだしを部署ごとで計画を立てておくことが大切です。
またパンフレットや説明会などにより社員個人の危機意識もあわせて持たせていくことが重要になると思われます。自社で発生した場合のシミュレーションを行うと、何が必要で、課題となる問題も見えてくると思われます。
厚生労働省「新型インフルエンザ対策関連情報」でも、以下のような対応策をまとめられていますので、ご参考になさってみてはいかがでしょうか。
http://www-bm.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/
・国内感染確認後の新型インフルエンザ対策
・事業所・職場における新型インフルエンザ対策ガイドライン
・新型インフルエンザ対策パンフレット
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企業が新型インフルエンザ対策を行う目的は、主に以下の点が挙げられます。
1.社員と家族、お客様の安全を守ること
2.事業を継続すること
3.感染拡大の防止
新型インフルエンザ発生後のリスクを下げる具体策として、
1.(感染拡大防止)
マスクの着用、こまめにうがいと手洗いをすること、社内清掃、その他フレックス勤務を行うなど
2.(感染の機会を減らす)
在宅勤務、時差出勤、出張や会議の中止
などが言われています。
現在事前に検討がされていない企業では今後の発生に踏まえて対策を行うことが必要になってきます。企業にとって事業継続は不可欠であり、発生に備え、事前に企業の中で絶対欠くことができない業務や一時的に中止できる業務、基本業務、その場合の必要人員などの洗いだしを部署ごとで計画を立てておくことが大切です。
またパンフレットや説明会などにより社員個人の危機意識もあわせて持たせていくことが重要になると思われます。自社で発生した場合のシミュレーションを行うと、何が必要で、課題となる問題も見えてくると思われます。
厚生労働省「新型インフルエンザ対策関連情報」でも、以下のような対応策をまとめられていますので、ご参考になさってみてはいかがでしょうか。
http://www-bm.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/
・国内感染確認後の新型インフルエンザ対策
・事業所・職場における新型インフルエンザ対策ガイドライン
・新型インフルエンザ対策パンフレット
文責 ヒューマニー事業部
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